妊娠8か月のりさは、夫サトルと不倫相手・園子の誕生日ディナーの計画を知る。それは彼女が仕掛ける残酷な復讐劇の舞台でした。
復讐のときはすぐそこ
明後日の20時、夫のサトルは不倫相手の園子と、都心の高級イタリアンで誕生日ディナーを予約している。
「誕生日おめでとう、園子。いつまでも俺だけの可愛い園子でいてくれ」
きっと、そんな甘い言葉をささやくのでしょうね。不倫された妻は泣いているのが普通なのかもしれないけれど、私は楽しみで仕方がない。
だって、そのディナーこそが、私が夫と不倫相手に仕掛ける「残酷な復讐劇」の舞台になるのだから―――。
穏やかな幸せは簡単に裏切られた
私はりさ。今、おなかの中には新しい命を宿している、妊娠8か月の妊婦です。胎動を感じるたびに、愛おしさと同時に、この子の父親がとんでもない人間であることを申し訳なく思う。
結婚して5年。穏やかで幸せな日々が、永遠に続くものだと信じていた。私はどちらかといえば大人しいといわれる方で、サトルの明るさに支えられていました。でも、その明るい夫が、私を地獄に突き落とすなんて夢にも思わなかった。
不倫に気づいたのは2か月前で、当時はよく泣いていた。でも今となっては、私の心の中には冷たい炎が宿っていて、復讐することだけを考えている。
