旅行やドライブ、船釣りなど楽しい移動の時間も、乗り物酔いをしてしまうと台無しになってしまいます。実は、乗車前や乗車中の食事内容は、乗り物酔いの発症に大きく影響します。脂肪分の少なくない揚げ物やクリーム料理、乳製品、柑橘類、消化の悪い卵や濃い味付けの食べ物は、胃に負担をかけて酔いやすくなるため注意が必要です。また、食べ過ぎや空腹も酔いの原因となるため、適度な量で消化のよい食事を心がけましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「乗り物酔いしやすい人」が乗車前に「食べてはいけない食べ物」はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 規絵(医師)
旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。
乗り物酔い対策に向いている食べ物・飲み物

乗り物酔いを防ぐ効果がある食べ物はありますか?
ガムやグミ、キャンディ、チョコレートなど噛みごたえがあるものが挙げられます。噛むことで覚醒作用が得られ、血糖値を上げて脳を目覚めさせる効果が期待できます。また、梅干しは酸味によって唾液の分泌を促し、三半規管の働きを整えるのに役立ちます。さらに、消化が良く胃に負担をかけないバナナやリンゴ、クラッカーなどの軽い炭水化物もおすすめです。食後すぐの乗車は避け、適度に食事を摂ることが大切です。
乗り物酔いを予防できる飲み物を教えてください
ミネラルウォーターやノンカフェインのお茶、スポーツドリンクなど刺激の少ないものが適しています。炭酸水は胃酸の分泌を抑制し、自律神経を整える効果が期待できます。また、生姜を使ったジンジャーティーや生姜湯、ペパーミントティーも、吐き気や胃の不快感を和らげる作用があるとされています。
乗り物酔いになったときの食べ物・飲み物

乗り物酔いになったときに食べた方がよいものを教えてください
乗り物酔いになったときは、キャンディやチョコレート、ガムがおすすめです。これらは血糖値を上げて脳を活性化し、噛むことで覚醒効果が期待でき、酔いの緩和につながります。また、梅干しも酸味で唾液の分泌を促し、三半規管のバランスを整える効果があるため効果的です。
乗り物酔いの最中はどのような飲み物を選ぶとよいですか?
乗り物酔いの最中に選ぶとよい飲み物は、清涼感のあるペパーミントティーや生姜を使ったジンジャーティー、炭酸水などです。ペパーミントティーは胃の不快感を和らげ、生姜は吐き気を抑える効果が期待できます。また、炭酸水は自律神経を整え、胃腸の不快感を軽減する作用があります。氷水や氷をお口に含むのも効果的ですが、飲みすぎには注意しましょう。柑橘系飲料は症状を悪化させることがあるため避けてください。
