インフルエンザを予防するには、日常生活での基本的な感染予防策が重要です。石鹸を使用した15秒から20秒間の手洗い、マスクの着用、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事により免疫機能を正常に保ちましょう。室内湿度を50%から60%に保ち、定期的な換気により室内の空気を入れ替えることで、ウイルスの生存時間を短縮できます。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
インフルエンザの予防方法
インフルエンザを予防するには、日常生活での感染予防や環境整備など、さまざまな方法があります。
日常生活での感染予防策
インフルエンザ予防の基本的で効果的な対策は、適切な手洗いの実践です。石鹸を使用した手洗いを15秒から20秒間行うことで、手指に付着したウイルスを効果的に除去することができます。特に外出後や食事前、咳やくしゃみの後などのタイミングでの手洗いが重要です。石鹸が使用できない場合は、アルコール濃度60%以上の手指消毒剤も有効です。
マスクの着用は飛沫感染の予防に効果があり、感染者がマスクを着用することで咳やくしゃみによる飛沫の拡散を大幅に減少させることができます。また、未感染者がマスクを着用することで、ある程度の感染リスクを低減することも可能です。
ほかにも、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事により、免疫機能を正常に保つことも予防の基本となります。睡眠不足は免疫力を低下させ、感染リスクを高めるため、成人では7時間から8時間の睡眠を確保することが推奨されています。
環境整備と生活習慣の改善
室内環境の適切な管理は感染予防において重要な要素です。室内湿度を50%〜60%に保つことで、ウイルスの生存時間を短縮し、鼻腔や気道の粘膜機能を正常に保つことができます。ただし、湿度が高すぎるとカビの発生につながるため、バランスの取れた管理が必要です。
定期的な換気により室内の空気を入れ替えることも効果的です。1時間に1回程度、窓を開けて新鮮な空気を取り入れることで、室内のウイルス濃度を低下させることができます。
人込みや密閉された空間への不要な外出を避けることも、感染リスクの低減につながります。特に流行期には、混雑した公共交通機関の利用時間をずらす、大規模なイベントへの参加を控えるなどの配慮が効果的です。外出時は他の人との距離を適切に保ち、長時間の密接な接触を避けるよう心がけましょう。
体調管理と早期対応
日々の体調管理と健康状態の把握は、早期発見と感染拡大防止の基本です。毎朝の体温測定により体調の変化を客観的に把握し、37.5度以上の発熱や咳、のどの痛みなどの症状が現れた場合は、他の人との接触を避けて医療機関を受診します。軽微な症状であっても、感染の可能性を考慮して慎重に対応することが重要です。
症状が現れた場合の対応として、十分な水分摂取と安静を心がけます。市販の解熱剤や咳止めなどの対症療法薬の使用により症状の緩和は図れますが、根本的な治療ではないため、医師の診察を受けることが重要です。また、症状がある期間中は外出を控え、家族など同居者への感染拡大防止に努めます。
職場や学校への報告と適切な休養の確保も重要な要素です。無理な出勤や登校は感染拡大を招く可能性があるため、完全に回復するまでは自宅での療養に専念することが求められます。
まとめ
毎年冬になると私たちの生活に大きな影響を与えるインフルエンザですが、その流行メカニズムや適切な対策を理解することで、感染リスクを大幅に減らすことができます。特に学級閉鎖のような集団感染を防ぐためには、個人の予防意識の向上と社会全体での取り組みが欠かせません。日々の手洗いやマスク着用といった基本的な予防策から、ワクチン接種による免疫獲得まで、さまざまな方法を組み合わせることで効果的な予防が可能となるでしょう。
参考文献
[厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)]国立感染症研究所 インフルエンザ
[文部科学省 学校において予防すべき感染症の解説]
