日本弁護士連合会(日弁連)は9月18日、名古屋高裁が鈴鹿市の生活保護停止処分を違法として取り消した判決を受けて、自動車保有要件の緩和を求める会長声明を発表した。現行制度で自動車保有が極めて制限的になっている状況を「現代の社会事情にそぐわない」と批判している。
名古屋高裁は6月26日、三重県鈴鹿市による生活保護停止処分を違法として取り消した1審判決を維持する判決を言い渡し、判決は確定した。身体に障害のある生活保護利用者に対し、鈴鹿市が自動車の保有を認めず、見積書の提出に応じなかったことなどを理由に停止処分を行った事案だった
● 「タクシーでの移送に比べ自動車での通院が妥当」との要件が問題
争点となったのは、2014年に厚労省が新設した「タクシーでの移送に比べ自動車での通院が、社会通念上妥当」という要件だ。日弁連は声明で、この要件が「誤った運用を誘発する」として「直ちに削除されるべき」と主張している。
全国の自動車普及率が77.6%(首都圏以外82.3%)に対し、生活保護世帯の自動車保有容認割合は「僅か0.6%」にとどまる。日弁連は処分価値が最低生活費の6か月分までの自動車について、地域の普及率70%を基準に「原則的に保有を認める」よう厚生労働省に求めている。

