日本弁護士連合会(日弁連)は9月18日、高齢者を狙って不動産を強引に買い取る「押し買い」被害の増加を受け、宅地建物取引業法の改正を求める意見書を発表した。クーリング・オフ制度の導入や適合性原則の明文化など、抜本的な法改正を求めている。
意見書によると、高齢者の国民生活センターへの不動産売却トラブル相談が2018年度から2021年度まで毎年600件を超える高水準で推移しており、とくにリースバック(売却後も賃貸で住み続ける仕組み)に関する相談が2020年度の56件から2024年度の251件へと急増しているという。
●「高齢者の生活基盤を侵害」
日弁連は意見書で、不動産押し買い被害について「高齢者の『終の棲家』を奪い、生活基盤を侵害するもの」と指摘。
被害の特徴として「単身独居の高齢者が大半」「宅地建物取引業者が事前に電話を架けて、あるいは突然自宅を訪問し、その日のうちに不動産を売却させる契約を締結させる」「市場価格よりも廉価であるにもかかわらず、適正価格であると誤信させている」ことを挙げた。
法改正の具体的な要求として、宅地建物取引業者が買主となる売買についてクーリング・オフ制度を導入し、「引渡済み、代金支払済みの場合をクーリング・オフ制度の適用除外としないこと」を求めている。また、「取引対象となっている不動産の価額又は評価額について根拠を明示した上で説明する義務」の明文化や、適合性原則の導入も要求した。
高齢者保護の観点から、「高齢者が不動産売買の当事者となる場合には親族等の立会いを求める」法定指針やガイドラインの策定も求めている。

