「あと少しで辞書に載る」出所者の社会復帰を支える"職親"プロジェクトの東京支部が発足

「あと少しで辞書に載る」出所者の社会復帰を支える"職親"プロジェクトの東京支部が発足

刑務所や少年院を出た人の社会復帰を民間企業が支援する団体の東京支部が立ち上がり、9月25日に東京都内で発足式が開かれた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

刑法犯が減る一方、高止まりの「再犯者率」

「親」のように本人の就「職」をサポートする「職親(しょくしん)プロジェクト」は2013年に始まった。9月24日時点で、全国1270社が参加し、これまでに刑務所出所者ら1251人を採用している。

日本では刑法犯の検挙人員が2004年以降、減少傾向にあるが、初めて事件を起こす「初犯者」に比べ、再び事件を起こす「再犯者」の減り方は緩やかだ。そのため、再犯者率は依然として高止まりしており、2023年は47%に達している。

一方で、仕事を持つ人は無職の人よりも再犯に至る割合が低いことから、雇用や就労支援は再犯防止に欠かせない取り組みとなっている。

職親プロジェクトは、就職の斡旋だけでなく、住まいの確保や教育、居場所づくりにも力を入れている。矯正施設にいる段階から面談や職業体験をおこない、出所後に自立した生活を送れるよう継続的にサポートを続けている。

東京支部は全国16番目。多くの企業が集まり、人材が流入する首都・東京に拠点ができたことで、事件を起こした人の立ち直りを後押しする取り組みがさらに広がると期待されている。

「東京を最も更生支援が機能する都市に」

この日の発足式では、職親プロジェクトを実施する「日本財団」の尾形武寿会長があいさつした。

「出所したら罪もきれいになっているはずだが、問題なのは社会がそれを受け入れる体制になっているか。一緒に生活していける社会が必要で、それを具現化しているのがこのプロジェクトです。『職親』という言葉が辞書に載るのもあともう少し」

また、東京支部長に就任した安藤公一さんはこう強調した。

「人間関係で最も重要な自尊心を与えるのが職親プロジェクトです。最大の目標は、この東京を日本で最も更生支援が機能する都市にすること。多様で革新的な企業を取り込み、職親のネットワークを拡大したい」

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