●軽微な行為と悪質な行為の境界線
一般的に、正当な理由に基づいた1、2回の抗議であれば、市民の権利行使として問題視されません。しかし、同じ人物が日に何度も電話をかけ続けたり、長時間にわたって罵声を浴びせたりする行為は、たとえ事実だと信じていても、市の業務を意図的に妨害する悪質な行為と判断される可能性があります。
この「悪質性」の判断は、行為の回数、時間、内容、そして市の業務への影響の度合いなど、総合的な状況によって慎重に行われます。
●まとめ
今回の騒動では、投稿者や拡散者が、不正確な情報を拡散したことで民事上の損害賠償責任を問われる可能性があります。また、抗議の電話をかけた人は、その行為が悪質な態様だった場合、偽計業務妨害罪に問われる可能性もゼロではありません。
いずれの場合も、「虚偽だと知らなかった」という認識は、刑事罰の成立を難しくする一方で、民事上の責任や、悪質な行為に対する刑事責任を完全に免れるものではないと言えます。インターネット上で情報を発信する際には、その真偽を十分に確認することが不可欠です。 (小倉匡洋/弁護士ドットコムニュース編集部・弁護士)

