新幹線でまさかの事態、服に飛んできたのは…隣客の「とろろ蕎麦」 弁償させられるのか?

新幹線でまさかの事態、服に飛んできたのは…隣客の「とろろ蕎麦」 弁償させられるのか?

新幹線の座席で、隣の客が食べていた「とろろ蕎麦」の汁が飛んできた。そんなトラブルがSNSに投稿された。

SNS「Threads」の投稿者によると、隣の女性が食べたとろろ、汁などが服に飛び散ったため「飛んでるので気をつけてもらっていいですか?」と注意したところ、「はい、すいません」とだけ返され、そのままやりとりは終了したという。

汚れた服の弁償はされなかったそうだ。

この投稿をうけて「クリーニング代請求しましょう」など同情する声が寄せられた。

公共交通機関での飲食が原因の“飛び散り被害”は、誰にでも起こりうる身近なトラブルだ。こうした場合、「加害者」に弁償を求めることはできるのだろうか。損害賠償請求の可否について、民事トラブルに詳しい新保英毅弁護士に聞いた。

●その場で連絡先を交換し、クリーニング代の実費を振り込んでもらおう

——新幹線で隣に座った客が食べていたとろろ蕎麦の汁などがはねて、服にかかった場合、クリーニング代を請求することはできるでしょうか。

法律上は、相手に対し、クリーニング代相当の損害賠償請求ができる可能性が高いです。

というのも、狭い新幹線の座席で食事をする場合、周りの乗客に迷惑が掛からないよう注意すべき義務があると考えられます。今回のケースで、相手がとろろ蕎麦の汁を隣に飛散させたことは不注意であり、過失と評価できます。

そして、この過失により、相談者の衣服が汚れるという損害が発生しているため、不法行為による損害賠償請求の要件を充たしています。

ただし、このような損害額は少額であり、弁護士に依頼したり、民事裁判などの法的手続をとることは時間や費用の観点から現実的ではありません。

そのまま下車してしまうと、その後で相手を特定することも難しくなります。

現実的には、その場で汁の飛散により衣服が汚れた状況を確認してもらい、お互いの連絡先を交換して、後日クリーニング代を振り込んでもらう約束を取り付けるのがよいでしょう。

相手が個人賠償保険に加入している場合、保険対応が可能な場合もありますので、この点も確認しておかれることをおすすめします。

【取材協力弁護士】
新保 英毅(しんぼ・ひでたか)弁護士
2004年弁護士登録。相続・遺産分割事件、中小企業の法務の案件を多く取り扱っている。モットーは「依頼者ひとりひとりに適したオーダーメイドのサービス」。
事務所名:新保法律事務所
事務所URL:http://shinbo-law.com/

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