
「おーい、そこの君!」見知らぬ車が急停車し、運転席の男に声をかけられる。助手席には妻らしき女性、後部座席には子ども。いかにも“普通の家族”という光景だった。男は申し訳なさそうに「急にごめんね。ちょっと頼みがあるんだ」と切り出す。その正体が“ガソリン代詐欺”の常習者だとは、このとき知る由もない。
■善意を利用する“家族ぐるみ”の罠



「旅行中でガソリンがなくなりそう。でもカードが不具合で使えない。代わりにこのジュエリーを安く売るよ」。それが決まり文句だったという。作者のkasutera(@kasutera5)さんは、同様の手口に計2回遭遇している。1回目は男2人組、2回目は子連れ夫婦。違うのは人数だけで、ストーリーもセリフもほぼ同じ。「本当は○ドルなんだけど安く売るよ!」と強調するところまで一緒だったというから驚きだ。
対応に困っていると、現地の友人が現れた。「ありゃ、ああいう詐欺だ」「うますぎる話はまず疑えよ」と冷静に忠告する友人。一方でもう1人は怒りをあらわにし、詐欺師と口論を始める。彼が激怒した理由は、過去に同様の被害に遭っていたからだった。
■“人助け”のはずが800ドル消えた!?
さらに衝撃的なのは“偽チェック詐欺”の体験だ。ATM前で声をかけてきた男は「給料のチェックを現金化したいが、口座が凍結されていて使えない」と訴える。「君の口座に入金して、現金を渡してくれないか?」。困っているならと引き受けたkasuteraさんは、900ドルのチェックを自身の口座に入金した。
残高は確かに900ドル増えていた。確認後、現金を引き出して男に手渡す。男は800ドルだけ受け取り、100ドルは礼だと残して去った。「人助けができて100ドルももらえた」。そう思ったのも束の間だった。
数日後、口座からなんと900ドルが消えていたのだ。チェックは偽物と判断され、無効に。入金直後に表示された残高は“仮”だったのだ。結果的に800ドルをだまし取られていた。「しばらく悶えました(笑)」と振り返るが、その代償は決して軽くない。
■「うまい話には裏がある」は世界共通
子ども連れの詐欺、日本では珍しく感じるかもしれない。しかしアメリカでは起こりうる現実だという。kasuteraさんは現在ロサンゼルス在住のアクターで、英語と日本語の声優としても活動中。海外ならではの規格外エピソードを漫画化している。
「うまい話には裏がある」。その教訓は国境を越えて共通だ。善意につけ込む巧妙な手口は、誰にでも起こり得る。だからこそ、疑う勇気もまた必要なのだろう。
取材協力:kasutera(@kasutera5)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

