脳トレ四択クイズ | Merkystyle
それでも誰かを求めてしまうのだから - 小泉今日子『木枯らしに抱かれて』|カワムラユキ

それでも誰かを求めてしまうのだから - 小泉今日子『木枯らしに抱かれて』|カワムラユキ

誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに、そんな「待つ時間」をテーマにして選曲&言葉を綴っていただきます。

 

 

あの人の面影を蒸し返すように、華やかで賑やかな光が向日葵越しに、夕暮れの代官山を彩っている

 

選びきれていない言葉の断片を、順序も気にせずランダムに紡ぎ出してゆく

 

スクリーンの残光が彼らの瞳に映るたび、昔の恋を思い出したり、もう名前も忘れてしまった人たちについてを語り出す不毛さは、平和に呆けた証のようで

 

僕は産まれる前の記憶を消し去ったように、君とは未来のことばかりを

 

明るく軽やかな旋律、胸の奥に微かな影を落とした

 

「好きになるということは、もっと単純なことだと思っていました」書いては消すスマホの中では、ただ夢中になりたかっただけという本心を隠したままに

 

大人になるにつれて臆病になり、傷つくことを覚え、失うことには敏感になる

 

それでも誰かを求めてしまうのだから、人の心というものは不思議

 

みな急ぎ足で、それぞれの夜へ向かう

 

どんなに賑やかな街でも、本当に淋しい気持ちは、案外静かな場所でしか育たないのかもしれない

 

歌はもう終わっているのに、余韻だけは胸の中に

 

恋というものは、終わったあと、いちばん美しくなるのか

 

君と僕だけは黙ったまま、あらゆる可能性だけを灯し続けてゆくだけ

 

 

小泉今日子『Kyon30 ~なんてったって30年!~』(2012年、 ビクターエンタテインメント)収録

配信元: 幻冬舎plus

提供元

プロフィール画像

幻冬舎plus

自分サイズが見つかる進化系ライフマガジン。作家・著名人が執筆するコラム連載、インタビュー、対談を毎日無料公開中! さまざまな生き方、価値観を少しでも多く伝えることで、それぞれの“自分サイズ”を考え、見つける助けになることを目指しています。併設のストアでは幻冬舎の電子書籍がすぐに立ち読み・購入できます。ここでしか買えないサイン本やグッズ、イベントチケットも。