「値上げしてるからね、なんでもかんでも」
そんな月岡あかり(野呂佳代)の言葉に、テレビの前で頭を大きく頷いた。
少し前は500円で食べられる“ワンコインランチ”には様々な選択肢があったが、今ではそれを探している間にランチ休憩が終わってしまうほど、ワンコインで食べられる昼食は見当たらない。
コンビニのツナマヨおにぎりが一つ200円を超えるなんて、誰が思っただろう。
おにぎりを中心にお昼ご飯を選ぶと500円はゆうに越えてしまう。
大好きなマクドナルドの500円ランチが、私のセーフティーネットだ。ありがとう、マクドナルド。
都知事選への出馬のために月岡あかり(野呂佳代)はパートを辞めたのだが「みんなシフトを増やしたがっていたから大丈夫」と、あかりの退職による職場への影響はないと言及していた。
他のパートの方達は、それほどまでに沢山働かないと生活が苦しいのだろう。
その結果、仕事によって時間と体力が奪われる毎日。
日々を生き抜くことに心身の全てを捧げなくてはいけない現状の人も少なくないのではないか。
五十嵐(岩谷健司)のナレーションにもあったように「夢や希望は贅沢品」になってしまったのか?
「銀河の一票」(関西テレビ)第4話は、そんな私たちの生活に身近な社会問題が浮き彫りになった回であった。
生活困窮問題は本当に“対岸の火事”なのか?
前回の第3話で都知事選への出馬を決めたあかりは、茉莉(黒木華)と共に早速選挙の準備に取り掛かる。
茉莉は勉強のため大手6社の新聞を必ず読むようにとのノルマをあかりに課した。
“都知事選は良くも悪くも人気投票”という側面がありながら、こと茉莉&あかりはそこに甘んじない本気度が伺える。
今の世の中、顔と名前が売れている元タレントなどのメディアに出ていた人が政治に参入しては、社会問題への拙い理解度やとても勤勉とは思えない政治に向き合う姿勢が明るみになり、「なんだかなぁ……。」と思うことが多々ある。
顔が売れている人の政治参入が全てそうである……。とはもちろん思わないが、昨今の選挙を見ているとあまりにも“目立ったもの勝ち”な人気投票感を感じて仕方がない。
こればっかりは投票する側である私たち有権者がしっかりと見極めなくては……。と痛感する。
そんな真っ直ぐに選挙への準備を進めていく2人は、かつて茉莉の父である幹事長(坂東彌十郎)の元秘書、五十嵐隼人(岩谷健司)を頼ることとなる。
彼は“テンサウザンド”と呼ばれ、彼がいれば選挙への勝利確率が10倍、いや1000倍になると言われている有能な男だ。
しかし、何を隠そう、かつて父の命令で彼にレンガ(手切れ金)を差し出し、政界から非情に追い出したのは茉莉だったのだ。
五十嵐は現在、親から相続した銭湯裏にあるコインランドリーで「よろず困りごと相談所」を営んでいた。
打ち出す政策の内容は“選挙に勝つため”の戦略に則った政策にする必要があるのだが、茉莉らが協力を仰ぐ五十嵐……通称ガラさんの元に集まるのは、選挙では不利とされている生活困窮者支援を必要とする者達だ。
そのため、ガラさんは茉莉らには協力できないと断る。
なぜ選挙では生活困窮者支援を打ち出すと不利なのか?
それは多くの有権者にとって生活困窮問題は“対岸の火事”であり、そうなったのも自己責任だと思っているからだ。
安全圏ではまさか自分がそちら側にいくとは思わないのだろう。
しかし人生は何があるかわからない。
車椅子での生活を余儀なくされている茉莉の母:星野桃花(小雪)がライブ配信で言っていたように「なんでみんな一生歩ける設定?」

不謹慎ではあるが、私もあなたも急な事故に遭い突然歩けなくなる日が来るかもしれない。
そうなった時、今まで当たり前に出来ていた仕事は出来なくなり、生活はどうなるだろうか?
人々はその想像力が足りない。
しかし冒頭でも述べたように、物価高などによってそれぞれの生活が手一杯だと、自分より困っている人のことを心配をする余裕が持てないのも無理はないし、今より大変な生活を想像することなどしたくないだろう。
このように生活困窮者問題にも様々な側面が混在していると言える。
だけども生活保護についてよく槍玉に挙げられることがあるが、誰しもがその受給の可能性を秘めて生きていることは忘れてはいけない。
決して他人事ではない……。桃花の一言はそれを我々に思い出させた。
まつり陣営に強力な第3の仲間、爆誕。
一度は茉莉らのお願いを断ったガラさんだったが、ガラさんの相談所を利用する若者、北斗(阿久津仁愛)が倒れたことによって自体は一変した。
彼はうつ病で働けない母親に仕送りをしていたら、奨学金の返済金や国民健康保険料が払えなくなってしまったのだ。
その痛みを隠すためにいつも笑っていた北斗。
前回の第3話、成年後見人の竹林(中山求一郎)に引き続き、今回も私は人を疑ってしまった。
浮上した「置き配盗難事件」の犯人が、少しでも北斗だと思ってしまったことを反省したい。
いやしかし……。
このドラマはあえて“そうではない人”を疑わせることで、視聴者が無意識に抱いてしまう偏見の多さを顧みてもらう仕掛けなのではないだろうか?
「無意識に抱いている感情が差別や偏見に塗れていないですか?」そんなことを問われているような気がして、ハッとする。
(「いや、北斗のこと疑っていないんだけど……」という視聴者が多かったらどうしよう。ただ私が偏見に塗れていただけだ。)
そんな北斗は、茉莉がガラさんを選挙に誘う会話をこっそりと聞いていた。そのことを仲間達に「ガラさんは世界を変えるんだ」と胸を踊らせて話していた北斗。
ガラさんはそんな北斗と、北斗のような人々のためにも、選挙への参加を決意したのだろう。

コインランドリーにある洗濯機の中から、当時渡されたレンガ(手切れ金)を取り出した時には思わずニヤけてしまった。
ガラさん、あんたかっこよすぎるよ。
こうしてあかり陣営に強力な仲間が加わり、都知事選勝利への基盤が固められていくのであった。

