全世界を熱狂させてきたスペースオペラの最高峰「スター・ウォーズ」が、7年ぶりに映画館へと帰ってきた!最新作「スター・ウォーズ/マンダロリアン&グローグー」が公開され、日本中が興奮に包まれるなか、メガホンを取ったジョン・ファヴロー監督が来日し、インタビューに応えた。
「アイアンマン」でMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の基盤を築き、常にハリウッドの最先端テクノロジーを牽引してきたファヴロー監督。しかし、彼が「スター・ウォーズ」新作で何よりもこだわったのは、原点である「日本文化へのリスペクト」だった。シリーズ生みの親、ジョージ・ルーカス監督がかつて日本映画からインスピレーションを得て銀河の神話を創り出したように、ファヴロー監督もまた、黒澤明監督の「用心棒」や「七人の侍」、そして「子連れ狼」の精神を本作の血肉として受け継いでいると語っている。
主演ペドロ・パスカルには「用心棒」を見るよう指示
――本シリーズは「子連れ狼」から大きな影響を受けていると公言されていますが、今回の映画において、日本の映画や文化から具体的にどのような影響を受けましたか。劇中で登場する賞金稼ぎ、エンボは侍の傘を彷彿とさせるビジュアルでした
ジョン・ファヴロー監督(以下、ファヴロー)「まず、エンボについてだね。エンボというキャラクターは、実は私の友人であるデイブ・フィローニ(『スター・ウォーズ』チーフ・クリエイティブ・オフィサー)が作ったキャラクターで、彼がインスピレーションを受けたのが黒澤明監督の『七人の侍』なんだ。あの映画の中で、敵から火縄銃(種子島)を分捕ってくる偉大なサムライがいただろう?…そう、(宮口精二さんが演じた)久蔵(きゅうぞう)だ! デイブは久蔵からインスピレーションを得てエンボを作ったんだよ。
『マンダロリアン』のトーンに関しては、確かに『子連れ狼』の『孤独な戦士と子供』という関係性から強く影響を受けているけれど、あそこまでバイオレントではなく、もっとポジティブな絆を描いている。そして、もちろん黒澤明監督の影響は絶大だ。実は今回、マンダロリアン役のペドロ・パスカルには、撮影前に黒澤監督の『用心棒』を見てくれと頼んだんだ。ジョージ・ルーカスが作った『スター・ウォーズ』の神髄に触れるためには、日本の映画、特にサムライ映画とつながることが不可欠だからね」
――今作の劇伴音楽(スコア)についても、尺八のような和楽器の音や独特の響きが聞こえ、非常に日本的な情緒を感じました。音楽面における日本文化の影響について教えてください
ファヴロー「音楽チームが尺八のような伝統的な和楽器の響きを取り入れていたとしても、私は全く驚かないよ。今作の音楽を手掛けたルドウィグ・ゴランソンは、世界中のあらゆる民族音楽を一つに融合させて全く新しい世界を創り出す、本物の天才だからね。
彼が紡ぐスコアには、日本の伝統的な和太鼓の激しいビートや、伝統的な打楽器のエッセンスがふんだんに盛り込まれているんだ。ルドウィグは、私がプロデュースした映画『ブラックパンサー』でも素晴らしい音楽を手掛けてくれたけれど、あのときも世界中の優れたパーカッショニストたちとチームを組み、独自のビートを生み出していた。彼はそれらすべての要素を天才的な感性でミックスするんだ。
『マンダロリアン』の音楽は、過去の『スター・ウォーズ』作品に比べると、より激しく、より強烈で、ある種の荒々しさを持っている。しかし、あの印象的なテーマ曲のベースにあるのは、まさに日本の和太鼓や和楽器が持つ、魂を揺さぶるようなリズムと精神性なんだよ。ビジュアルだけでなく、音楽の面でも日本文化は作品の根底に深く流れているんだ」
クラシックな技術へのこだわりとは?
――劇中ではあえてクラシカルな「ストップモーション・アニメーション」の技術が使われているのが印象的でした。最新技術を駆使する一方で、こうした手法を残した狙いはどこにあるのでしょうか
ファヴロー「一番の理由は、単純に『私たちがそれが大好きだから』だよ(笑)! パペット(人形)、ミニチュア、そしてストップモーション。これらは作品に『ワビサビ(侘寂)』の精神を与えてくれる。『スター・ウォーズ』は常に最高峰の最新テクノロジーを誇る作品でなければならないが、同時に『古いものと新しいものを融合できる』数少ない稀有な世界でもあるんだ。
マーベルの『アイアンマン』では、完全にデジタルでリアルな世界を作る必要があったから、こういうクラシックな混ぜ方はできなかった。でも『スター・ウォーズ』なら、本物のパペット(グローグー)と、美しいCGキャラクターが同じ画面で自然に共存できる。これは、私が10歳のころに劇場で初めて『スター・ウォーズ』を見て恋に落ちた、あのころの感覚と現代の観客をつなぐためにとても重要なことなんだ」
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