夏など蒸し暑い時期は汗が原因で、肌にトラブルが起きる方も少なくありません。
手のひらや足の裏に、小さなブツブツがでてきたり皮がむけてきたりする汗疱(異汗性湿疹)も、夏に起きやすい肌トラブルの1つです。
今回は、汗疱(異汗性湿疹)について検査法・治療をまとめました。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
汗疱の診断と治療

汗疱を疑ったらどのような検査を行いますか?
汗疱は水ぶくれなど特徴的な皮膚の症状を観察したうえで、必要に応じて症状が似た他の疾患との区別をつけるための検査を行います。たとえば汗疱と似たような症状のある、水虫の可能性についての検査です。患部の皮膚を採取して、水虫の原因菌である白癬菌が存在していないか、顕微鏡で確認をします。金属などのアレルギーが疑われる場合は、パッチテストを行い、アレルギー反応の有無を確認するのです。
鑑別が必要な皮膚の病気を教えてください。
汗疱に似た症状で最も間違えやすい疾患は水虫ですが、他には手足口病などのウイルス性の疾患・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)があります。疾患の症状や必要に応じた検査を行うことで、汗疱とその他の疾患の鑑別をすることが多いです。
汗疱の治療方法が知りたいです。
汗疱は軽症であれば数週間で自然に治ります。ただ、強い痒みや痛みを伴う場合や水ぶくれが大きくなってしまうなど、症状が重い場合や悪化してしまった場合は自然治癒が難しい可能性が高いです。更に悪化する前に皮膚科を受診しましょう。
治療は症状に合わせた薬物療法が検討されることが多いです。痒みがある方には抗ヒスタミン薬やアレルギー薬を、炎症を起こしている場合はステロイド外用薬が処方されます。汗疱で皮膚がかたくなってしまった方には、皮膚を軟らかくする軟膏が処方されることも多いです。
また、金属アレルギーがある場合は、歯科金属や食物(ニッケル・コバルトなどの金属が多く含まれている豆類やチョコレート)に含まれる金属を取り除く必要があります。
編集部まとめ

汗をかきやすい春から夏にかけて多くなる汗疱。暑い時期になると毎年、症状に悩まされるという方も少なくありません。
汗疱の症状がでやすい方は汗をかいたらすぐに拭き取り、肌を清潔に保って予防をすることが大切です。湿気の多い梅雨どきなどはとくに注意をしましょう。
エアコンの除湿機能をうまく使うのもよいです。汗疱になりにくい状態を作って、できるだけ予防を心がけて過ごして下さい。
ストレスなども汗疱の原因とされています。睡眠不足を避けて飲酒・喫煙・食生活の改善もしていくとよいです。
汗疱の症状がある間は、水仕事を避けて肌への刺激をできるだけ減らすことが悪化をさせないポイントになります。
セルフケアでも改善されやすい汗疱ですが、長引く・悪化する・何度も繰り返す場合は皮膚科に相談をして、適切な治療を行ってもらいましょう。
参考文献
汗疱について|メディカルノート

