「継父=危険」のデータなし…京都男児殺害事件で広がる言説、ステップファミリー研究者が指摘「親にならなきゃ」の罠

「継父=危険」のデータなし…京都男児殺害事件で広がる言説、ステップファミリー研究者が指摘「親にならなきゃ」の罠

●初婚家族とは「構造」が違う

菊地教授が繰り返し強調するのが、ステップファミリーと初婚家族の「構造」の違いだ。

「親子関係が先にあって、その後に再婚カップル、夫婦関係が形成される。この順番はステップファミリーに特有のものです」

しかし、同居しているメンバーだけに限定すると、親が2人いて子どもがいる「核家族」であるかのように見える。

「離婚や死別という経験もあって、これから再婚してどういう家族を築くかとなったとき、2人の親と子どもからなる初婚のような核家族を理想像として思い描きやすい。逆に、それ以外の家族のあり方を想像しにくい。家族の形が多様化している日本社会でも、ステップファミリーに適当な家族モデルは簡単には見つからないのです」

●「親にならなきゃ」という圧力

事件の報道から菊地教授が読み取るのは、典型的な葛藤のパターンだった。

結希さんの母親が継父と再婚したのは前年12月とされ、1年経たないうちに事件は起きたことになる。

「結希さんが『本当のお父さんじゃない』と口にしたことが引き金となったとも報じられています。関係が浅く、信頼関係が十分にできていない段階で、『早く親にならなくては』『父親として認められたい』というプレッシャーを背負って継子に接し、しつけをしようとすると、子どもは抵抗・反発し、継親子の関係が悪化してしまうのはよくあるパターンです」

一般的に、なぜ継親は追い詰められていくのか。その鍵は家族の構造にあるという。

2人だけの時間を共有してきた同居親と子どもに、継親が加わると、継親も子どもも家族の中で孤立感を抱えやすい(アウトサイダーになりやすい)という。

「初婚から離婚そして再婚へという家族移行の過程を、親子はともに経験しています。日常のなかでの生活習慣やさまざまな思い出、そして価値観を共有しているのです。途中から加わる継親は、これらを共有していないため、疎外感や孤立感を抱えやすい」

その一方で、同居親や周囲から『親代わり』として期待され、プレッシャーを抱え込むという。

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