妊娠8カ月のカオリさんは出産を控え、楽しみと不安が入り混じっていました。そんな中、夫・リンヤさんが仕事を辞めて起業すると言い始め、半年だけと許したカオリさん。
息子のマモルくんが誕生しても、毎晩飲み歩くリンヤさんでしたが、半年経っても会社は軌道に乗らず、カオリさんが職場復帰を早めて家計を支えるように……。ようやく会社が軌道に乗り始めても帰りが遅い日が続き、息子の1歳の誕生日も帰宅しないリンヤさん。カオリさんは、起業仲間のひとりに協力してもらい、リンヤさんがいる飲み屋に潜入。そこで、「家族は踏み台」という発言を耳にし、すべてを壊す覚悟を決めます。
後日、起業家や投資家が集うイベントで、大企業の社長夫婦から気に入られたリンヤさん。そこへ、乗り込んだカオリさんは、今までの裏切りを暴露し、離婚と慰謝料請求を宣言。リンヤさんは、家族は支え合うものなのに、妻が不満を言うのはおかしいと反論しますが、「あなたは何をした? 支え合うって何?」と問われ、黙り込みます。
自分が大勢の人の前で悪者になっていく状況に耐えかね、リンヤさんはうわべだけの謝罪。「でも仕事だけは手を抜いていない」と涙ながらに訴えるのでした。
夫は周囲の同情を誘い出して…
夫は、離婚に応じてしまえば、息子にも会えなくなると情に訴えようとします。
























「俺だって、父親なんだぞ」
渾身の演技に周囲の人々が同情し始め、心の中で、あざ笑うリンヤさん。
カオリさんは、この期に及んでも息子を盾にする夫に失望し、「覚悟はいいな?」と詰め寄りました。
そして、普段から仕事を部下に押し付けて、キャバクラに通い詰めていたことを、起業仲間のタカギさんが暴露したのでした。
仕事を理由に“かわいそうな夫”を演じた結果、仕事すらまともにしていなかったことを、仲間からバラされたリンヤさん。成功をともに目指して起業したはずが、最後は仲間に裏切られるという皮肉な結末ですね。
しかし、信頼を積み重ねてこなかった報いが、ようやく表面化しただけのこと。どんなに言葉でとりつくろっても、もともとの人間性は隠しきれないということですね。
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