●量刑相場が「正しい」わけではない
ここまで書いてきたのは、「無期懲役なら十分だ」とか、「これが正しい」とかいうことではありません。
まず、量刑相場、というものを全く無視することはできないでしょう。
たとえば刑の重さが、なんとなく悪い印象が強いから死刑にしよう、などと決まってしまえば、著しく公平性を害することになりかねません。
たまたま担当した裁判官や裁判員によって刑が重くなったり軽くなったりという「当たり外れ」があるのは問題でしょう。
最高裁も、量刑はこれまでの傾向を出発点として判断されるべきだとしています(最高裁平成26年(2014年)7月24日判決)。無期懲役が事実上の上限になっているのには、この公平さの要請もあります。
しかし、だからといって、これまでの量刑が「正しい」保証はありません。
また、法律そのものがそうであるように、量刑がどのようにあるべきかも、社会の流れの中で変わっていくものでしょう。
これまでの量刑傾向が変わっていくことも否定されるものではありません。
今の刑が不当だと感じるなら、その感覚を言葉にすることには大きな意味があると思います。
小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

