街頭インタビュー動画で誹謗中傷「削除拒否は幇助」、出演女性が制作会社提訴、ネット配信のルール問う

街頭インタビュー動画で誹謗中傷「削除拒否は幇助」、出演女性が制作会社提訴、ネット配信のルール問う

●放送には「上乗せ」の規律、ネット配信は自由放任

「放送事業者には放送法やBPOによる『規律された自主規制』が課され、国民の知る権利に応える社会的責務があります。

さらに、恋愛リアリティショー出演者が多数の誹謗中傷を受けて自ら命を絶つという痛ましい出来事が起こりました。民放連(一般社団法人日本民間放送連盟)はこの後に『放送内容によっては、SNS等において出演者に対する想定外の誹謗中傷等を誘引することがあり得ることに留意する。また、出演者の精神的な健康状態にも配慮する』との基準を加えるなど、通常の刑事・民事責任に上乗せした規律を重ねてきました」(水谷さん)

一方、放送にあたらないネット配信は、名誉毀損など一般の法規制が及ぶのみで、こうした自主規制の枠組みはない。

水谷さんは「承諾書に同意していても、公序良俗や消費者契約法に反する内容であれば無効になる可能性があります」と指摘する。

●「正直者が損をしない」仕組みを

そのうえで水谷さんは、根底には現在のエコシステムの問題があるのではないかと指摘する。放送とネット配信で規律に大きな差がある現状において、「同じようなコンテンツが消費されながら、配信経路によってルールが異なることで、『いびつな競争』が生じている」と話す。

注目を集めるほど利益につながるアテンション・エコノミーの下では、自主的なルールなどに縛られず、「炎上させてでも注目を集めたほうが得」というインセンティブが働きやすい。

一方で、ネット配信の「自由」さは、放送では到底できないコンテンツを生み出している。重要なのは、アテンションの獲得ばかりが重視されやすい現在の情報空間において、流通する情報の多様さをいかに確保するか、だ。

解決策のひとつとして、自主的に一定のルールに従う配信者には、コンテンツの可視性をあげるといった各種の優遇措置を与えたり、市場から評価されやすくする方法なども考えられるとし、「『正直者が損をしない』エコシステムへ変えていく必要がある」と語った。

撮影前に交わした承諾書は、公開後に生じた被害まで免責するのか。放送の枠組みの外で広がるネット動画に、取材される側を守るルールをどう及ばせるのか。審理の行方が注目される。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

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