救急車が到着するまでの心臓発作への応急処置について、メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「心臓発作」が起きた時の”対処法”はご存じですか?やってはいけないことも医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
心臓発作が疑われるときの対処法

心臓発作が疑われる場合は、早めに119番へ連絡し、無理に動かず安静にすることが重要です。ここでは、心臓発作が疑われるときの対処法について解説します。
心臓発作とは
心臓発作とは、心臓に急な異常が起こり、胸痛や息苦しさ、冷や汗などの症状が現れる状態を指して使われることが多い言葉です。代表的な原因には、急性心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群があります。
急性冠症候群では、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心筋に十分な酸素が届かなくなります。短時間で重篤になることがあるため、疑わしい症状がある場合は早急な対応が必要です。
心臓発作の症状
心臓発作では、胸の痛みや圧迫感、締め付けられる感じが代表的です。痛みは胸の中央から左胸に出ることが多く、左肩、腕、背中、首、顎、みぞおちに広がることもあります。
そのほか、息苦しさ、冷や汗、吐き気、強い不安感、顔色不良、めまい、失神などを伴う場合があります。高齢の方や糖尿病のある方では、強い胸痛が目立たず、息切れやだるさ、吐き気などが中心になることもあります。
心臓発作が疑われるときにまず行うべきこと
心臓発作が疑われる場合は、まず119番に連絡します。本人が「少し休めばよい」と言っていても、胸痛や息苦しさ、冷や汗、失神などがある場合は、早めに救急につなげることが大切です。
救急車を待つ間は、本人を安静にさせ、無理に歩かせないようにします。衣服やベルトをゆるめ、呼吸しやすい状態にします。可能であれば、症状が始まった時刻、痛みの場所、持病、服用中の薬、アレルギーの有無を確認しておきましょう。
安静にさせる姿勢と環境の整え方
意識があり呼吸ができている場合は、本人が楽に感じる姿勢で安静にします。多くの場合、上半身を少し起こした姿勢や、背もたれに寄りかかる姿勢の方が呼吸しやすくなります。無理に横に寝かせる必要はありません。
周囲の方は、本人を一人にせず、呼吸や意識の状態を確認しながら救急車を待ちます。寒い場所では身体を冷やさないようにし、暑い場所では涼しい環境へ移します。ただし、歩かせたり階段を移動させたりするのは避けます。
さらに、飲食は控えてください。市販薬や家族の薬を自己判断で飲ませることも避けます。救急隊が到着したら、症状の経過、発症時刻、持病、薬の情報を伝えられるようにしておくと、搬送後の判断に役立ちます。
救急車が到着するまでの応急処置

救急車が到着するまでは、意識や呼吸の状態に応じて、安静や胸骨圧迫などの対応が必要です。ここでは、救急車が到着するまでの応急処置について解説します。
意識がある場合
意識がある場合は、まず本人を安静にさせます。無理に歩かせたり、車で移動させたりせず、救急車の到着を待ちます。息苦しさがある場合は、上半身を少し起こした姿勢や、本人が楽に感じる姿勢をとらせるとよいでしょう。
また、飲食は控え、自己判断で市販薬や家族の薬を飲ませないようにします。胸の痛み、息苦しさ、冷や汗、意識が遠のく感じが強くなる場合は、救急隊が到着するまで本人のそばを離れず、呼吸や反応を確認します。
意識がない場合
呼びかけても反応がない場合は、すぐに119番通報を行い、周囲にAEDを持ってきてもらいます。呼吸が普段どおりでない、または呼吸が確認できない場合は、胸骨圧迫を開始します。
胸骨圧迫は、胸の真ん中を強く、速く、絶え間なく押します。AEDが届いたら電源を入れ、音声ガイダンスに従って操作します。電気ショックが必要かどうかはAEDが判断するため、指示に従うことが大切です。
胸骨圧迫は、救急隊に引き継ぐまで続けます。途中で本人が動き出す、普段どおりの呼吸が戻るなどの変化があれば、呼吸を確認しながら救急隊の到着を待ちます。

