SNSで流行の「フィギュア風」加工、法的に問題あるの? グラビアアイドルも警鐘

SNSで流行の「フィギュア風」加工、法的に問題あるの? グラビアアイドルも警鐘

●実在の人物の場合は名誉毀損リスクも

──タレントや芸能人の写真を使う場合はどうでしょう。

この場合は「肖像権」や「パブリシティ権」が問題になります。肖像権とは、本人の承諾なく容姿を撮影・公表されない権利です。AIで加工していても、元の人物が特定できれば侵害とされる可能性があります。

パブリシティ権とは、有名人の名前や顔の「経済的価値」を守る権利です。タレントの写真を無断で広告や商品に使えば、その人気や知名度を利用して利益を得ることになるため、パブリシティ権の侵害とされる可能性があります。

そして、名誉毀損のリスクもあります。タレントの写真を加工して、奇妙なポーズをとらせたり、セクシーな服を着せたりすれば、その人の社会的評価を損なうおそれがあります。特に、侮辱的・性的な加工は、名誉毀損として損害賠償や刑事責任を問われることがあります。

●フリー素材なら自由に使ってもいい?

──「フリー素材」や購入した素材なら問題はないのでしょうか。

「ネットに公開されているから自由に使える」と誤解している人もいますが、公開されていても、著作権は消滅しません。

また、画像や音楽で「フリー素材」とされているものも、利用条件があります。「商用利用可」「改変可」と明記されていなければ、AI加工やSNS投稿は違反になる可能性があります。有料素材でも「AI学習や二次利用禁止」といった規約があれば、それに従う必要があります。

利用範囲によってもリスクは変わります。家族内で楽しむなら問題は小さいですが、SNSに公開すればリスクは大幅に高まります。特に収益化や商品化すれば、侵害者が利益を得ていることが明らかなので、訴訟リスクがさらに高くなるでしょう。

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