派遣会社とは?仕組みや正社員、パートとの違いを解説
一般的に耳にする機会も多い「派遣」という働き方。でも、実際はどんなものなのか、よくわかっていないという人もいるのでは?ここからは、派遣会社の仕組みや、派遣社員と正社員、パート・アルバイトとの違いについて詳しく見ていきましょう。
派遣会社の仕組み

派遣会社の主な役割は、派遣先と求職者の仲介。人材がほしい派遣先と契約を結び、仕事を探す求職者を「派遣社員」として、派遣先に紹介します。
これだけ聞くと、正社員などの転職エージェントと似ているように思えますが、派遣社員の場合、雇用主は派遣先ではなく、あくまで派遣会社。派遣先から業務内容の指示を受ける一方、給与の支払いなどは派遣会社が行います。賃金の金額はもちろん、社会保険、有給休暇などの福利厚生も、どの派遣会社と契約しているかや、その契約内容によって変化します。
なお、派遣社員の賃金は、派遣先が派遣会社に支払った料金から、手数料や福利厚生費、教育訓練費などを差し引いた金額で決定されるのが一般的。派遣会社に支払われる手数料の割合によって賃金が違ってくるため、派遣社員として働く場合は派遣会社をしっかりと吟味することが大切です。
派遣社員と正社員の違い
派遣社員と正社員の大きな違いは、どこに雇用されているか。前述のとおり、派遣社員の雇用先は派遣会社、一方で正社員の雇用先は勤務先です。
また、雇用期間や勤務日数・時間、残業の有無などの面でも、派遣社員と正社員では違いがあります。下の表で派遣社員と正社員の違いをまとめているので、参考にしてみてください。
| 派遣社員 | 正社員 | |
| 雇用先 | 派遣会社 | 勤務先の会社 |
| 雇用期間 | 同じ派遣先で最長3年 | 契約期間の制限はなし |
| 給与 | 時給制が一般的 | 月給制や年俸制が一般的 |
| 賞与 | 時給に含まれるのが一般的 | 支給されるのが一般的 |
| 退職金 | 時給に含まれるのが一般的 | 退職時に支給されるのが一般的 |
| 勤務日数・時間 | フルタイムのほか週3~4日、時短勤務など契約によって違う | フルタイムが一般的 |
| 残業 | 契約内容によっては断ることも可能 | あり |
| 業務内容 | 雇用契約で定められた業務のみを行う | 会社の事情に応じて多様な業務に対応 |
| 転勤 | なし | 勤務先による |
| 福利厚生 | 派遣会社による | 勤務先による |
なお、正社員として転職したい場合は、正社員向けの転職サイトや転職エージェントを使うのがおすすめ。ワーママ向け転職サイト・転職エージェントのおすすめ記事では、特に子育て中のママが使いやすい転職サイトやエージェントを詳しく紹介しているので、正社員も視野に入れている人は併せてチェックしてみてくださいね。
>>ワーママ向け転職サイト・転職エージェントのおすすめ記事はこちら
派遣社員とパート・アルバイトの違い
派遣社員と同じく、勤務時間に融通が利くイメージが強いパート・アルバイトといった雇用形態。派遣社員との大きな違いは正社員と同じく雇用先で、パート・アルバイトも正社員同様、勤務先の会社と直接、雇用契約を結びます。
また、一般的な派遣社員は、同じ派遣先で最長3年しか働けないのに対し、パート・アルバイトは無期雇用で契約することも可能。有期雇用契約の場合でも、契約年数の上限は5年と、派遣社員よりは長めの設定です。ただし、給与面を比較すると派遣社員の方が時給は高め。そのほか、業務内容や福利厚生などにも違いがあります。詳しくは下の表でまとめているので、参考にしてみてください。
| 派遣社員 | パート・アルバイト | |
| 雇用先 | 派遣会社 | 勤務先の会社 |
| 雇用期間 | 同じ派遣先で最長3年 | 契約内容による |
| 給与 | 時給制、パート・アルバイトに比べて高めの設定が一般的 | 時給制が一般的 |
| 賞与 | 時給に含まれるのが一般的 | 契約内容による |
| 退職金 | 時給に含まれるのが一般的 | 契約内容による |
| 勤務日数・時間 | フルタイムのほか週3~4日、時短勤務など契約によって違う | フルタイムのほか週3~4日、時短勤務など契約によって違う |
| 業務内容 | 派遣契約で定められた業務のみを行う | 労働契約で定められた業務を主に行う。ただし、会社の事情に応じて変更になる場合も |
| 転勤 | なし | なし |
| 福利厚生 | 派遣会社による | 契約内容と勤務先の規定による |
派遣会社の選び方
いざ派遣で働こうと思っても、どこの派遣会社に登録すべきか迷ってしまうという人も多いのでは?
実際、初めての派遣登録かや、特定の資格や経験の有無などによっても、それぞれに合う派遣会社は違います。また、面談での担当者の対応やサポート体制なども要チェックポイント。ここからは派遣会社の選び方を詳しく紹介するので参考にしてみてください。
初めての派遣なら大手の派遣会社がおすすめ

初めて派遣社員として働くなら、大手の派遣会社への登録がおすすめです。大手の派遣会社は取り扱っている仕事の数も多く、その職種内容も多種多様。幅広い職種や業種、エリアをカバーできるのが大きな魅力です。
また、派遣実績が豊富で、勤務開始後のサポート体制も充実しています。初めての派遣で不安という人も安心して働きやすいでしょう。
有資格者や経験者は専門分野に特化した派遣会社がおすすめ

派遣会社によって、得意とする職種や業務はさまざま。もし、有資格者や特定の職種や業務の経験者で、その資格や経験を生かして働きたいなら、専門分野に特化した派遣会社への登録もおすすめです。
派遣会社の担当者もその分野に精通しているため、より希望に即した仕事を紹介してもらいやすいでしょう。また、専門性の高い職種は給与も高めに設定されていることもポイントです。
優良派遣事業者かをチェック

「優良派遣事業者認定制度」とは、派遣会社の中から、法令やコンプライアンスを遵守した事業運営などで一定の要件や基準を満たしている派遣会社を認定する制度のこと。認定の要件には、派遣社員のフォローアップやキャリア形成、トラブル予防などの項目も含まれています。
このため、派遣登録をするなら「優良派遣事業者」を選んだ方が安心。なお、認定を受けている事業者については、「優良派遣事業者認定制度」公式サイトの「認定事業者一覧」でも確認できます。参考にしてみてください。
>>参考:優良派遣事業者認定制度公式サイト「認定事業者一覧」
最初の面談では担当者の対応をチェック

派遣登録の際、最初に行われるのが担当者との面談です。面談では担当コーディネーターによる、希望職種や条件のヒアリング、また派遣会社によってはスキルチェックなどが行われます。
直接来社する場合や、電話のみの場合、web面談など、面談形式はさまざまですが、このときチェックしたいのが、担当のコーディネーターが希望条件にしっかりと耳を傾けてくれるかどうかという点です。
使いやすいと人気の派遣会社は、担当者が親身に対応してくれることが多め。一方、明らかに面倒くさそうにされるなど、対応がよくない場合は違う派遣会社への乗り換えを検討してみてもよいでしょう。
サポート・研修体制をチェック
派遣会社では就業のためにさまざまなサポート・研修体制を整えています。また、就業後のトラブルなどの相談にのってくれることも一般的。より安心して働ける派遣会社を探すなら、研修の充実度や就業後の面談回数などもチェックしておくとよいでしょう。
スキルに自信がないなら研修が充実した派遣会社がおすすめ

派遣社員として働きたいけど、スキルに自信がないという人は、スキルアップのための研修が充実した派遣会社を選ぶのがおすすめです。また、専業主婦などでブランクがある人も研修制度を利用することで、安心して働き始められるでしょう。
なお、研修内容は派遣会社によってさまざまで、ビジネスマナーやパソコンスキルから、語学習得の支援、ITエンジニアなど専門分野のスキル支援など多岐にわたります。まずは自身が働きたい職種を考え、それに合った研修が充実している派遣会社を選ぶとよいでしょう。
就業後のトラブルが不安なら面談回数が多い派遣会社がおすすめ

派遣会社ではコーディネーターが派遣先を紹介しますが、就業後は、各派遣先への営業担当者が派遣社員と面談を実施し、派遣先への要望などを聞き取ります。ただし、面談の頻度は派遣会社によって違う点に注意しましょう。
就業後のトラブルが不安な人は、この面談の頻度を事前にチェックするのがおすすめ。面談回数が多い派遣会社の方が、悩みは相談しやすいでしょう。なお、多くの派遣会社の面談頻度は1~2カ月に1回ほどと言われています。参考にしてみてください。
派遣会社の事業所は近い方が何かと便利

派遣会社の事業所の場所もチェックしておきたいポイント。特に単発などで働きたい場合は、自宅の近くや乗り換えなしで行ける場所などに派遣会社の拠点があると、通いやすく便利です。
また、派遣会社は事業所付近の事情に精通していることが多め。自宅近くなど比較的通いやすい派遣先を紹介してもらえる可能性が高まるのも、大きなメリットです。
派遣で働きたいなら複数の派遣会社への登録がおすすめ

派遣会社は登録したら、必ずそこで働かなければならない、というわけではありません。派遣社員として働くなら、まずは複数の派遣会社へ登録するのがおすすめです。
派遣会社によって、コーディネーターの対応やサポート内容などもさまざまあるほか、取り扱っている仕事も違います。1社だけに登録するのではなく、複数社に登録してから、メインで利用する派遣会社を決めたり、自身の条件に合う派遣先を見つけたりする方が、効率よく派遣先を決めやすいでしょう。