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公開 2018年10月18日  

命がけの出産…新しい命の誕生は奇跡の連続なのです<投稿コンテストNo.12>

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緊急入院ですぐに出産することになった、あおい空のその先さん。
産まれてきた小さな子どもをすぐにはかわいいと思えなかった、など赤裸々な体験がつづられています。ぜひご覧ください。


>【第一話】から読む


長女を出産した時の話。その日は、とても晴れた眩しい一日だった。


8ヵ月検診の当日。

いつもの通いなれた道を自分で運転していた。

春の眩しい日差しに少々汗ばみながらも「妊婦って息も苦しいし、身体もずんと重くだるくなるんだねぇ」なんて思いながら走っていました。

病院に到着し、いつものように血圧や尿の検査などを済ませ待合室で待っていると、私の前に車イスが。

「あおさん、車イスに乗って」看護師さんがやってきました。

:「どうしたんですか?」

看護師:「即入院して貰います」

:「はい?何で?」

看護師:「すぐに安静にしないと母子共に危険な状態です。」

:「えっとー。車あるし荷物ないので一度家に帰っていいですか?」

看護師:「ダメ。本当に危険って言ってるでしょ。妊婦なんだから。」

こんなところで、大の大人が説教をされるとは思わなかった。

・ 外が眩しいと感じたのは、血圧が上がっていたから
・ 息苦しいと感じたのは、肺に水が溜まり酸素が体に入っていないから
・ 倦怠感や体が重く感じたのは、腎不全を起こしているから

感じた違和感は、『妊婦だから』ではなく妊娠高血圧症候群を発症していた事を後で知ることとなる。

無知というのは本当に恐ろしいものです。


個室が空くのを待っている間、大部屋で先生から説明を受けました。

現在、母子共に危険な状態であり、この病気を治すのは妊娠の終了しかないこと。

お腹の中に胎児のいる状況では母体に対し治療が出来ないので、緊急帝王切開にてすぐに出しますという話。

先生:「赤ちゃんね、まだ肺が出来てないから、一応、肺を作る注射打っとくね」

:「肺を作る注射?!一応ってそんなんで出来るの?」


隣からは「40週過ぎたのにのんびりさんだね。ふふふ」なんて幸せそうな会話が聞こえてくる。

私は一人ぼっちで、早産で不安しかない。


個室に移動して、光による刺激を受けない(血圧が上がらない)ようカーテンを閉められる。

隙間からも入らぬようカーテンは洗濯ばさみで止められて…携帯やゲームも禁止。

腎不全のこともあるので、水も飲んじゃダメ。真っ暗な空間で不安倍増。


あれよ、あれよと準備は進み手術室へ。

そこで待っていたのは…学生たちの群れ。

先生:「珍しい症例だから、学生連れてきちゃった。えへ」

麻酔科A:「麻酔を入れます。楽にして下さい。」

チク…(失敗) チク…(失敗) チク…(失敗) チク…(失敗)プチ…10回以上失敗して、心で何かが切れる音がした。

:「全身麻酔に変えて。痛いから。」

麻酔科B:「私が。仕留めて見せます!!」

(心の声)私:「最初から上位医師をだしてよ、このへたくそが(怒)」

手術室に産声が上がる。

肺、出来たの??


無事に帝王切開終了。

医師:「お母さ~ん、赤ちゃんですよ。」

「…。無理…。」

自分の抱いていた出産のイメージと程遠く、骨と皮だけの変な生き物を見ているようでした。

感動とはいかなかった。


子どもはNICUへ。

私はその後、そのまま意識が無くなり、しゃべれるまで回復したのは3日後。

肺に水が溜まっているので、ベットで溺れてる状態で苦しく、「い、医大に殺されるぅ。」とうなされていたようです。

「病室足りないから出て今から」といきなりの退院宣告までの1週間がジェットコースターのような日々でした。

看護師さんたちに「赤ちゃんからの最初のプレゼントでゆっくり休む時間を貰ったのだから、育児は私たちに任せてゆっくりして下さいね。」と送り出されました。

2人きりの帰り道、夫は医師から「奥さんの命とお子さんの命どちらを取りますか」と質問されて帰って泣いたと笑いながら言っていました。

いつも一緒にいたから、それが普通だった。

でも、突然いなくなって一人でいる時間がとても不安だったと。


今年、第二子を出産(今回はいつ生まれても良いように早めに準備はしました)。

入院時には「あー、あのあおさん!!覚えてるわ~。」と看護師さんたちが集まってきました。

「そうそう、産科の点滴台なくなっちゃって小児科から借りてきたよね。」

「私、あんなチューブだらけの患者見たの初めてだった。」など自分が重症患者だったことを知りました。


1100gで生まれた長女は何の障害もなく小学生に。(身長も大きい方)

今は可愛いけど、その当時は可愛いと思えず「愛情は産んだら無料配布されるものじゃない。お母さんも
ある日突然なれるもんでもない。共に成長するもの」と病院で言われ少し楽になったこともありました。

長女を出産した時を同じく、同じ病院で産んだ近所のお母さんが同じ病気で産後すぐに亡くなりました。(後に知らされました)

一緒に登校する子たち。

母を知らない彼を見てなぜか時々涙が流れます。

奇跡的に母子共に助かった命。

お母さんが必死に守った命。

何がそれを分けたのだろう。

出産は命がけって言うけど、あながち間違っていないと思う。

命をかけて、どちらかが亡くなることもある。

母子共に亡くなることもある。

それが新しい命が誕生するってこと。

経験しないと、一生味わえない経験。

生まれた子の数だけあるドラマ。


それを経験したお母さんだからこそ、子どもの事に真剣に悩み苦しみ、頑張れるんだと思います。

出産したすべてのお母さんに、出産を頑張ったと胸を張って生きて欲しいですね。

ライター:あおい空のその先


※ この記事は2024年11月26日に再公開された記事です。

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連載「第一回 記事投稿コンテスト 『出産』」 #12
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