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公開 2018年11月21日  

20年後の娘へ。あなたを授かって、私はこんなに変わったよ<投稿コンテストNo.99>

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「自分の力では何ともならないことがある」。妊娠をきっかけに、そう感じるようになったというHana mamaさん。退院するときに助産師さんに言われた一言が心に響きます。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10517002010

>【第一話】から読む

20年後のハナちゃん(仮名)へ


お母さんはあなたと出会うまで

「人生は頑張れば何でも出来る!」

そう考えて生きてきたの。

大事なのは「自分が強くなること」だって。


だから、お仕事も、お料理も、ダイエットだって

すごく頑張ってきたわ。


でも、あなたがお腹に入って

だんだん考え方が変わった。

「自分の力では何ともならないことがある」


お母さんの代わりに

お父さんが頑張っても解決しない。

病院の先生が頑張っても解決しない。

そんなことだってたくさんある。


どんなに赤ちゃんを望んでも、

赤ちゃんを授かることのできない人もいる。

どんなに生まれてきたい命でも、

お腹の中で叶わなくなってしまうこともある。


赤ちゃんが生まれるという出来事は奇跡の積み重なりで

人間の力が及ばない次元で起こっているのかもしれない。


「神頼み」って好きじゃなかったのよ。

それは頑張ることが苦手な人がすることだと思っていたから。


でも、あなたがお腹に来てから

お母さん、心の中で、どれだけ神さまにお願いするようになったか。


「命が育ちますように」

「健康な体に育ちますように」

「無事にお腹から出てこられますように」

あなたは助産院で産まれたのよ。

あなたが産道をゆっくり進んでくる間

お母さんはお腹を丸めてあなたに話しかけていたの。


ハナちゃん、こっちだよー

お母さんこっちにいるよー

安心して出ておいで―


助産師さんがお部屋を月明りくらいにしてくれたわ。

子宮の中と同じ明るさなんだって。


お母さんね、誰かから聞いたの。

出産はお母さんより赤ちゃんの方が痛いって。

赤ちゃんは狭い産道を、

自分の頭蓋骨を折りたたんで前に進むんだって。


それを知った時は辛くて涙が出そうだった。

それまで自分の痛みの事ばかり心配していたから。


潮が満ち引くように、

お母さんのお腹がズーンズーンと痛くなるけど

きっとその波にあなたが乗って、

少しずつ前に進もうとしているような気がした。


お腹の痛みが強くなってきたら

正座をして、かかとを立てるの。

その片方のかかとで肛門あたりを押さえると

痛みが逃げるのよ。


四つん這いでいきむお母さんに

助産師さんが

「来た!」

「手を出して、ほら頭よ!」

とお母さんの手を掴んで、頭を触らせてくれたのよ。

そして、もう一回いきむと

「頭が出たよ!もう一回!」

そして、ボヨンボヨンという感覚と同時に

「体が出るよ、手を出して!受け止めて!」


あなたの体が完全に出て、

お母さんとへその緒で繋がった状態で

お母さんが仰向けに体制を整えて

さっきまでお腹の「中」にいた

そのお腹の「上」にあなたを抱きかかえる。


少し上の胸で抱きかかえると

もうおっぱいを飲もうと口にくわえる。


ハナちゃん、生まれてきてくれてありがとう。

神さまにも、どれだけ感謝してもしきれない。


退院するとき助産師さんが言った。

「子育ては生き直すことに似ているかもしれない」


お母さんはあなたを育てていく中で

今までと少し考え方を変えてみようと思ったの。

それが助産師さんがあの時言った

「生き直す」という意味だったのかもしれない。


頑張るだけじゃなくってもっと誰かに頼ってみよう。

神さまにだって、また頼んでみよう、ってね。


そしてその時、助けてあげたいと思ってもらえる

いつもニコニコしたお母さんでありたいな、ってね。


「この先もずっとハナちゃんが幸せでいられますように」


ライター:Hana mama


※ この記事は2024年10月07日に再公開された記事です。

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