「感謝の言葉を言い合うことって苦手…」
「家事を手伝ってほしいけど、前向きにやってくれなくて…」
など、夫婦間のコミュニケーションにおいて、そんなネガティブな言葉を耳にすることって少なくないように感じます。
私が育児で驚いたのは、「会話の主語を変えることで、夫婦間のコミュニケーションがこんなに変わるんだ!」ということでした。
これから育児がいよいよ始まるという方や、なんとなくお互いに言いたいことを言えないことに悩んでいる…、というパパさんママさんにとって、何かきっかけとなればよいなぁと思っております。
「会話の主語を変えると、コミュニケーションが変わる」
そのことに気付いたのは、おむつを替えてほしくて娘がおにゃおにゃ泣いていたある日のこと。
この日はパパもママもお疲れており、どっちかが変えてくれるだろうとお互いに思っていましたがどちらも動かず…。
そんなときにママさんが、私に変えてほしいと伝えたのです。しかしそれは次のような言葉でした。
「パパ、早くおむつを替えてほしいのよー!!」
娘(1歳なのでまだしゃべれない)の言葉を代弁するようにして、婉曲的にパパにお願いをしたのです。
私はおそらく「パパが変えてー!!」と直接的に「ママからのタスクの要望」として依頼されていれば、不承不承だったかもしれないです。
でも、「子どもからの願望」として伝播されたことで、「○○ちゃん、替えようねー!!」と素直に受け止めることができたのです(嘘みたいな本当の話…)。
「会話の主語を変えると、コミュニケーションが変わる」とは、子どもを主語にしコミュニケーションをとること。
会話の出所を変えてしまうことで、「タスクの要望をお互いが直接に」、ではなく「子どもの不快の声を子どもから直接に」、という風に変えてしまうことができるのだと。
子どもからの主張であれば…という認識の変化で、嘘みたいにすっと受け入れることができたのです。
私たち一家ではお互いに何かを言いたいときには、以下のように活用したりしています。
(離乳食を私が作って子どもが食べ終わった後に)
ママ「食器洗いもお願いできる??」
パパ「・・・わかりました」
ごしごし…
会話の主語を子どもに変えて…
↓↓
子ども(ママ)「パパー。今日のごはんは新メニューだったわねー。とってもおいしかったわよー。ごちそうさまでした。いつもおいしいごはん作ってくれてありがとう!!」
パパ「おいしく食べれてよかったねー!!」
なかなか面と向かっては言いにくい感謝の言葉も子どもを主語にすることで、スパッと自然に言えちゃったり。
(パパが用事で帰宅。ママが一日子どもと遊んでくれていた。)
ママ「遅かったね。子どもあやしてないといけないから、お風呂掃除と夕飯の支度をお願いしてもいい??」
パパ「わ、わかった!」
会話の主語を子どもに変えて…
↓↓
子ども(ママ)「パパさん。今日はママが一日遊んでくれてとっても楽しかったのよー。なのでママを労ってあげるのよ。それから今日の夕飯はパパが作ってあげるのよー!」
パパ「そうなのね!!ママさん、今日も一日お疲れ様でした!!いっぱい遊んでくれてありがとうねー!!○○ちゃんもいっぱい遊べてよかったねー!今日はパパがごはん作るねー」
なんで自分ばっかり…と抱え込んでしまうようなことも、子どもの口から伝えることでやんわりと要望を伝えられたり。
実は身近な人にこそ、改めて「感謝」の言葉を伝えるのって難しいのかも、と思いました。
これお願い、あれお願いと任し任されることが多い日常に、これしてくれてありがとうって、実は夫婦ほど言えなくなっているのではないか、と。
育児をしていると、お互いに言いたいことが多く出てくるのは常だと思いますが、しかしながら相手に「気持ちよく」受け取ってもらうための優しさと気遣いを持った伝え方をすることは結構難しい。
お互いに守備範囲が違うため、お互いに使命感を強く持っていることが多いはずなので、「こうすべし!」と思ったら即「こうしてよ!!」と言いたくなってしまうんだろうと思います。
でも冷静に考えたときに誰のための家事、育児なのか。それは、子どもです。
日常の会話を振り返ると、「誰のために」やるのか、ではなく、「誰が」やるのかだけの会話になってしまっていることって少なくないなぁと振り返って思います。
全ての家事、育児は子供にとって必要だからなのに、ああしてこうしてというと、誰が捌くかの“タスク”となってしまう。
子どもは「どんな気持ち」なのかということを起点に、子供を主語にしたコミュニケーションをとることができれば、もっと自然にお互いに言いたいことも言える気がします。
さらに、子どものためにポジティブな気持ちで取り組めるのではないかなぁと。
子どもが話し始めるまでの間の、短いようで長くて、夫婦にとっても子どもにとってもとても大切な時間、ちょっとした工夫で日常に少しのほほえみと彩りを添えていけたら、と願っております。
ライター:亀井