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公開 2020年04月14日  

3人兄妹が休校中にわっちゃわちゃ!でも確かに感じる"ピンチの中の小さな希望"

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2020年4月、世界を席巻する新型ウイルスの脅威に、日々暗くなりがちな我が家を救おうと立ち上がるものが居た。
その名はウチの次女、2歳。
風邪・胃腸炎・肺炎・とにかく感染症厳禁の心臓疾患児。
頼むからちょっとそこに大人しく座ってて欲しい。


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世界の危機はにぃに・ねぇねと"いっちょ"に

海の向こうではじまった新型ウイルスの脅威は、あっという間に日本に上陸し、そして今、世界は大変な事になっている。

人生、何が起きるかわからない。


ところで我が家には心臓疾患児が居る。

それはこのパンデミックで最も注意が必要と言われる属性のひとつ『基礎疾患持ち』に該当する次女2歳そのひと。

こうした子どもは感染症、特に肺炎に滅法弱い。

主治医にも

「発熱、咳、風邪肺炎の諸症状の際は即、連れて来い」

と言われていて、この新型ウイルス上陸後は特に注意喚起されたものだった。

「極力家から出すな、特に人込みには絶対行くな」

先生それは無理。

毎日毎日、お外に行こう、さあお散歩に、買い物に。

「ソトイクー!」

と言って玄関ドアの前で仁王立ちになる幼児の猛攻をどうして止められようか。

困るマジでじゃあ先生が説得してくださいよと思っていた数日後、長男と長女の小学校が3月末の終業式を待たずに、突然休校となった。


暗澹たる気持ちでサンタか君らは位の大荷物を抱えて帰宅した長男と長女の絵の具セットを片付け…おいおいおい長男!絵の具の箱カビカビやないの!ハァ?何で防災頭巾持って帰って来てないん?なくした?あんなデカいのを?ちょっ…お習字セットの筆カッピカピなんですけど!

持ち帰った学用品の様子には悲惨さがあふれる傍らで、この事態にウキウキワクワクしている人物がいた。

それが次女、平日、日中はいつも自宅にママと2人、最高に暇を持て余している2歳児だ。

2歳児、"カキカキ"をする。

にぃにとねぇねが「オカアタンイッチョ」の時間に出かけなくなって数日、次女は絶好調だった。

何しろ毎朝リビングの机でにぃにが楽しそうなお絵描きの紙を広げてカキカキしたり、ねぇねがむこうのお部屋から沢山ご本を持ってきてくれるのだから。

みんなアタチと遊んでくれるのね、アタチもその紙にクレヨンでお絵描きしまちょう、その絵本はアタチに読んでくれるのね。

やめろ次女、それは長男が学校から貰ってきた宿題のプリントだ。
そしてその本は絵本じゃなくて教科書だ、あと勝手にゲーム機を持ってくるな、長男!なんで次女の手の届くところに自分の大事なものを置いておくの!長女!ビー玉は口にいれちゃうからしまいなさい!


こども部屋に上2人がこもろうものなら、中のひとたちが根を上げるまでドンドンガンガン次女が扉をたたく為、長男と長女は双方とてもじゃないが宿題や学習を続けられない、というより早晩家が壊れる、やめてよして壊さないでウチは社宅よ。

致し方なく、2人はやりたい放題の次女が野放しになっているリビングでプリントに落書きをされ、横暴が行き過ぎた妹に散々翻弄されながら勉強することになってしまった。

じゃあこの暴君を野に放ってママは一体何をしているのかと聞かれれば、次女を上のふたりが囮として引き付けている間に家事をしているのだからホンマごめん。

でも、今ここで掃除と食事の準備が滞るとアンタ達今日お昼ごはんないのよ頑張って。

お陰様で長男の宿題プリントには2歳児がクレヨンで記した謎のマルがいくつか消せないまま残ってしまったが、それを見た時の我々3人のココロはひとつ

「次女ちゃん、マルが書けとる…!」

現在2歳4ヶ月、その人生のウチ入院生活が結構な割合を占める次女は運動発達も言葉も遅れがち、「描く」という動作はクレヨンを持たせてもぐちゃぐちゃと線で紙を埋めるだけだったのが、連日にぃにとねぇねと勉強を…していると思っているのは本人だけで基本邪魔をしてるのだけれど、それをしている間にマルを上手に書けるようになっていた。

これぞ怪我の功名。棚からぼた餅。

そして犠牲になった長男のプリント計5枚。

長男のHPは下がり、次女のレベルは1アップした。

2歳児、"ゴワン"を食べる

「お母さん、今日お昼ごはん何?」
「ママ!今日のご飯なあに?」
「ママ!ゴワン!」
「今日おうどんにするって朝言った!」

「お母さんおやつ何?」
「ママ~おやつ頂戴?」
「ママ!オヤチュ!」
「まだ早い!」

子どもが家に居るという事は、一日中献立と菓子類とジュースの飲食許可について質問を受けまくるという事だ。
それが日々子どもの人数分繰り返されると、この一斉休校の前にプリントにしてどうして配っておいてくれなかったのえらい人達。

同じ事を毎回聞かれて、毎回同じ事を答え続ける事のストレスよ。

そして何より、お昼ごはん。

これまで学校の給食の恩恵にあずかっていた小学生チームの分を毎日毎日作り続けるこの苦労よ。

2歳児の次女1人なら食べる量は知れているしそこまで真面目に作らなくても、麺か某アンパンくんのカレーを出しておけば万事OK、ママはその辺の物を拾って食べますという超適当な昼食を繰り広げる毎日だったのに。

そんな体たらくだから、この休校の開始当初は適当に麺をだし急場をしのごうと連日、次女も大好きなうどんに次ぐうどんでやり過ごしていたのだが、私はある日、ネットニュースで見てしまったのだ。

『休校長期化で子どもの食事と栄養に偏り』

う ち の こ と で す ね ?

我が家のこのありさまを誰か見ていたのだろうか、隠密か?

やはり、育ち盛りの子どもに毎日炭水化物ばかり与えるのは良くないのだろうか、何しろ長男はこの春から6年生。

この先の中学校進学に向けてもっと大きく育てなくては、長男今めっちゃ細い、一体どういう事なのかそれは。

腕白でもいい逞しく育ってほしい。

それで少し心を入れ替えて、百均で買ってきた仕切りのある給食っぽいお皿に、主菜・副菜・果物・ご飯を入れたお昼を用意するようにした。

ママちょっと頑張る。

しかしそれは平たく言うと、夜ごはんのおかずの横流し。

それでも3人の子ども達は、自宅で給食っぽいものが出されるのが面白かったらしくて、結構よく食べてくれた。

そして驚いた事に、この手のご飯には目もくれない次女も結構喜んで食べたのだった。

これまで「緑それは敵」として一切口にしなかった葉物野菜も少し食べる驚き。

この次女、過去持病の為に食事を普通に取れない期間が1年超続いたことがあって、リハビリの為に言語聴覚士さんが付いた事があったが、その方さんが

「幼児や小児で摂食に問題のある子でも、集団保育の中で給食なんかを食べていると、突然食べるようになったりするんですよ、お友達も食べてるからって」

という話をしてもらった事があるが、これか。

ザ・集団心理。


そこまでいかないかもしれないが、やはり毎日ママと一対一で膝突き合わせて、こぼすな、いいからこれを食え、アレも食えばかり言われているよりも、にぃにとねぇねとふざけてゲラゲラ笑いながら食べる方が楽しいもんねえ。

ママちょっと反省した。

この休校が終わってもご飯は楽しくたべようね、でも次女がニンジンジュースで水浴びしだしたらキレ散らかすけど。

次女は食べられるものを少し増やした。

次女のレベルがまた1アップした。


世界を救うものそれは、"アタチ"

ここまで読んでもらって分かる方にはわかると思うが、この新型ウイルスの渦中にあって、長男と長女に四六時中べったりと面倒を見てもらい、さあアタチと遊べ本を読め、2段ベッドの上に登頂させろとソフトに脅迫を行う事で、次女は飛躍的に己が出来る事を増やしている。

もはや自家発電的に発達を遂げて行っていると言って良い。なにそれコワイ。

長男と長女は大体くっついて仲良く遊ぶのだけれど、同時に3分に1回派手な兄妹喧嘩をする。

もう超うるさい、そして兄が手を出し、妹が涙するというのが大体のパターンで、それに対して次女が

「ウルチャイッ!」
「ヤメナチャィッ!」
「ムスコ!ダメ!タタカナイ!」

とうとう3語文のデビューを果たした。

というかそれママの口真似やないの。


次女はこの非常事態の副産物『毎日兄と姉と過ごす日常』を手に入れて猛然と言葉を獲得してきている。

そして言葉で何かを要求できるようになった次女は前にもまして超うるさい、その口調はとにかく強い。

我が家では一番脆弱な体、感染症に対しての抵抗力を本気で持たないか弱い存在の筈なのだが。

今この状況にあっても、人類の英知は新型ウイルス多分負けない。

と思う、思いたい。

少なくとも身体条件的に最弱な我が家の次女は今のところ負けてない。




2020年4月、世界を席巻する新型ウイルスの脅威に、日々暗くなりがちな我が家を救おうと立ち上がるものが居た。

その名はウチの次女、2歳。

風邪・胃腸炎・肺炎・とにかく感染症厳禁の心臓疾患児。

頼むからちょっとそこに大人しく座ってて欲しい。



※ この記事は2024年08月18日に再公開された記事です。

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