人気料理研究家・コウケンテツさんのエッセイには、「料理をつくるのがしんどい」と感じる方の心を軽くしてくれる言葉がたくさん。
今回は書籍から一部抜粋して、食卓での「こうでなければならない」を変える考え方をご紹介します。
「え、今日餃子だけ?」と言われたら……品数のお悩みを軽くする考え方
11,282 View『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(コウケンテツ著/ぴあ株式会社)より、その一部をご紹介します。
品数問題を解決する
副菜は「ごはん」!
毎日の食卓に品数を多く揃えないといけない。
そんな品数問題について悩まれている方も多いと聞きます。
「え!?今日餃子だけ?」
と言われ、ブチギレそうになった経験、ございませんか?
餃子は、見た目のシンプルさとは裏腹に、ものすごく手間がかかります。
キャベツ、 ねぎ、ニラなどの野菜を大量に刻んで餡を作る。
その餡を1個ずつ皮で包む。フライパンにきれいに並べて焼く。
そうです、これは大仕事です。
大量の野菜とひき肉と調味料とを和えるので、大きなボウルだって必要です。
さらに、餃子の餡を包むときには、調理スペースも広くとられてしまう。
やることがいっぱい。
こうした手間も時間も空間も必要な料理を作るときには、どうしたって他に品数を増やすのが難しくなります。
「テーブルの脚が折れるくらい品数を揃えないといけない」といわれる食のおもてなしの国、中国にロケに行ったときのこと。
訪問したご家庭でこんな光景がありました。
保存容器にギュウギュウに詰め込んだ冷たい水餃子をそのままレンジで温め、タレをたっぷりぶっかけただけの晩ごはん。
副菜どころかお米などの主食もない。
それをとてもおいしそうに食べていたお父さん。
その姿を見て、我が目を疑いました。
全然、話ちゃうやんけ。
いや、まてよ、そもそも餃子には野菜もたっぷり、お肉だってたっぷり入っている。
皮は小麦でできているから炭水化物も補えるのか。
そうか、餃子こそ、これ1品だけで一食分まかなえるパーフェクトな料理だったのか。
餃子を作ったら、はい、今日の料理はおしまい。
全然OKなのです。
とはいえ実際、餃子だけでおなかいっぱいにしようと思うとかなりの数が必要になりますので、餃子の日はライスのみ添えましょう。
いわゆる餃子ライスですよね。
気持ちや時間に余裕のあるときだけもう一品副菜を作る。
実はこんなふうに、「品数をもっと減らしてもいいのでは?」と僕が講演会などで提案すると、「子どもの栄養が心配」とか、「品数が少ない = 手抜きどはん=母親としてどうなのか」、と自問自答してしまう方が多いようです。
ちょっと待ってください。
そもそも、その1食、もしくはその日1日で必要な栄養 素をきっちり摂らなければいけない、と考えるのはあまりに無理というもの。
例えばうちの場合、なんとなく最近のごはんを振り返って、「茶色いお肉系ばっかりだったな」と感じたら、「今日はちょっと野菜系のおかずを入れてみようかな」くらいのゆるさで考えています。
時には野菜料理のかわりにきゅうりを丸ごと1本添えて良しとする日もあります。
トトロ好きの子どもたちは意外に大喜びしてくれます。
これが、我が家の実情です。
大皿料理の落とし穴
今も昔も日本の食卓はごはんに汁物、主菜に副菜といった献立が主流です。
そして ごはんは飯碗に、汁物は汁椀に、主菜は平皿に、副菜は小鉢に、と個別盛りが基本。
それにプラスして、お箸やスプーンなどのカトラリー、飲み物用のグラスや湯飲みといったように、様々な食器を使います。
そう、使う食器の数が多すぎるんじゃ!
その結果、洗い物も多すぎるんじゃ!
これが「料理がめんどうくさい」という気持ちを引き起こす大きな原因のひとつ。
みなさんも料理を作るというより、どちらかというと料理の準備や後片付けが大変なのではないでしょうか?
料理を作るのと後片付けはセットですから。
また、料理中に発生する調理器具の洗い物問題もあります。
調理に使ったフライパンや鍋は、食べる前にある程度洗って、キッチンをすっきりしておく方が本当はベスト。
食後、短時間で、手早く片付けができる。
はい、わかってるんです。
でも作るのに精いっぱいで、しかも子どもがいたりするとなかなかそこまで手が回らない。
そうなると結局最後にまとめてすることになって、より時間がかかってしまいます。
そんなわけで、洗い物の手間を少しでも減らして料理を楽しくする工夫のひとつとして、僕は大皿料理をおすすめしています。
食卓の真ん中に全員分のお料理を一皿でドーンと置いて、あとは各々で取って食べてもらうというビュッフェスタイルです。
しかし、この「大皿どん!」スタイルは、一歩間違えれば洗い物が いつもより増えてしまうことに。
例えば、こちらの献立。 メインは麻婆豆腐、副菜は卵スープとサラダ、そしてごはん。
これを大皿に盛り付けて各々が取り分けてみます。
そうするとどうなるか。
大皿料理だからお皿が減るはずだったのに、麻婆豆腐用の取り皿、ごはん用の茶碗、スープ皿、サラダ用の取り皿が人数分必要になるのです。
そうなると、結局最初から 1人分ずつ盛り付けるのと同じ量の食器を使うことに。
しかも大皿に盛った分、大皿 を洗う必要も出てきてしまうという、まさに本末転倒!
大皿料理が、一転して片付ける食器が山盛り料理にならないよう、作るときの鉄則をお伝えします。
①大皿料理といっても大皿は使わない。
フライパンごと、鍋ごとテーブルに出す。
②取り皿は平皿を各自1枚のみ。
③汁物、汁気の多い料理は作らない。
④お茶碗は使わず、ごはんも②の取り皿(平皿)に盛り付ける。
この場合使用する食器は4人家族だと平皿4枚とカトラリーとコップだけです。
また、料理に使ったフライパンを食事前に片付ける必要がなくなります。
①のフライパンごと、鍋ごとに抵抗がある人もいるかもしれませんが、その場合は食卓の真ん中にあえて出しても見栄えする、お気に入りの鍋やフライパンをひとつ持っているとよいですね。
毎日のおうちごはん、今までの「こうしなくちゃ」を少しずつ手放して、少しでも楽しさが戻ってくるといいですね。
書籍には、コウケンテツさんが一汁一菜すら作るのがしんどかった日のことや、子どもから「一緒にお料理したい!」ときのポイントなど、お料理のしんどさを和らげるヒントがたくさん。
本記事で紹介した「大皿料理」のおすすめレシピも。
おうちごはんを「作っている人」にも「食べるだけの人」にもぜひ手に取っていただきたい1冊です。
(編集:コノビー編集部 大塚)
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