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公開 2021年02月23日   更新 2022年03月19日

ステイホーム育児に注ぐ親心。「今日たのしかった?」にキラリな答え。

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『ステイホーム』という言葉が世にでて早1年、世界がウイルスと闘っている今日、ちょっとお出かけが難しくなってしまった毎日。
子ども達は楽しい?親は大変?うちの休日のある日のお話です。


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週末育児を制する者

「年が離れているきょうだいは、喧嘩をしない」

毎週末、次女が生まれる時に言われたことのあるこの言葉を最近は本当に

「ウソや…」

と思う。

ウチの末っ子である次女は、まだ幼稚園にも保育園にも通っていない3歳児で、平日はパパと兄である長男と姉である長女がそれぞれ会社と学校に出かけてしまうと

「みんないなくなってあたしは独りぼっち」

そんな、寂しい表情をする。

それで、え?ママおるよ?と母である私が必死に存在をアピールすると朝の機嫌が悪い時には軽くため息をつかれることがある。

お母さんはとても寂しい。


だから土日、普段通りの時間に起きて朝ごはんを食べる次女は、休日だからとずっと布団にくるまったまま起きてこない兄姉父の元に行き、それぞれに馬乗りになって、布団からはみ出している主に頭部をつねって叩いてひっかいて全員を叩き起こす、結構手荒。

まだ力加減を知らない次女の容赦ないやり口に長男は怒り、長女は泣く、そして発生するきょうだい喧嘩。

『ステイホーム』

この言葉が国内に定着して約1年。

『今日はお休みだから、早く家の事を片付けてみんなでどこかに出かけよう』

そういう選択が難しい今、早朝から狭い家の中できょうだい喧嘩の火種を撒いて歩く次女をお休みの日にいかに遊ばせ楽しく過ごさせるか、そう

次女を制する者が土日を制するのだ。

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休日の陣・午前の部

どうして、3歳児は

「ちょっと待ってて」

が出来ないのだろう。

キッチンのカウンターの上の小さな蓋つきの陶器の中にチョコレートが入っていて、それがまだ残っているでしょとか、お仕事中のパパにプリン買って来てって電話しようよとかそういう事をはっきりと理解してたどたどしいながら会話をする癖に

「お母さんね、今こっちの畳のお部屋を掃除したいから、このお部屋で遊ぶのはちょっと待ってて?」

「エー…?」

人が掃除機を抱えて今から掃除すると言っているのに、分かっていないフリをして、手に持っている細かいブロック入りのプラスチックケースをひっくり返して、中身をザラ―っと畳に撒きその上から更に折り紙を振り撒く。

この時の次女は微かにニヤリとしている。

確信犯だ。
そうですかそれならこちらにも考えがあります。

「パパ!この人お外に連れてってください!」

「ハイッ!」

朝8時過ぎから早々に散歩に連れ出してもらうのだ。

育児は人海戦術。

土日に夫がいるのはとても助かる。

自宅のある集合住宅は外に出ると小さな広場があるので、そこに次女を連れ出してもらい、広場を探検し、建物の外周をぐるりと歩いて来て欲しいと夫に頼む。

夫は、次女と長女、2人の娘を連れて、まだ外遊びをしている子どもの姿もまばらな自宅の周辺をぽこぽこ歩いて私の掃除と片付けの時間を稼いでくれる。

「ほんの20~30分でいいから!よろしく!」

そうは言ったものの、一度外に出た夫はなかなか帰ってこられない。

だって次女が帰ろうとしないから。

次女は冬の道端に生えている猫じゃらしを摘み、小石を拾い、焚火する予定もないのに枯れ枝を集める。

それから、どんなに今はどこにも行かないんだよと言っても『パパの車』を見にすこし離れた場所にある駐車場まで遠征して、何度も夫が

「寒いし、体が冷えるからもう帰ろ?ね?」

そう呼び掛けても断固拒否の姿勢を見せる。

何を言っても返事は全部「イヤ!」だ。

次女は本当にお外が好きで、一度外に出してしまうとなかなか家の中に入ってくれない。

次女との散歩は本当に大変だ。

頑固で言う事を全然聞いてくれないから予定していた事がどんどん押してくる。

しかもこの子は「アルケナイダッコ」と「ヤッパリオリル」を3分ごとに繰り返す。

ほんの短い距離を歩く間に抱きあげたり降ろしたり。

お陰で私は無駄に上腕二頭筋が仕上がっている 、ここだけ筋肉質。

この次女が13kgを越えた今、この子の土日の散歩は殆ど夫の仕事になった。

そして長女はひたすらその辺の草を抜いたのを次女から渡され、せっせと受け取る。

そうやってお付きのじいやとねえやを引き連れた姫が、お外を散策して1~2時間、残された長男を動員して家の中は綺麗に磨かれ、次女を拝むようにしてやっと帰宅した夫と長女はクタクタになっている。

そして靴下が汚れているだの手を洗いなさいだの鼻をかみなさいだの言っている間に時間は大体昼。

世界のすべてを承服しない、超絶頑固な3歳児に付き合うと休日の半日があっという間に経過してしまう。

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休日の陣・午後の部

午後は昼寝をして欲しい、そもそも幼児には昼寝が必要だと思う。

親のインターバルの為に。

でもこの3歳児は日のある内に決して寝てくれない。

お布団をひいても、お気に入りのソファにこれもまたお気に入りの毛布を敷いてあげても絶対に寝ない。

午後は長男や長女の通信教育の教材とか習い事の宿題なんかをリビングの机でやる事にしているのだけれど、アタシもそれ一緒にやりたいと言って机に登る。困る。

そして私は買い物に出たい。

こんな時代でも平穏無事に暮らせているのだから、 あまり文句ばかり言ってはいけないけれど今、買い物が本当に不自由になったなあと、それについてだけは時代を嘆きたいと思う。

特に次女は、私と一緒にスーパーの生鮮食品売り場について来て、魚を見たり野菜を見たりするのがとても好きだ。

でも私の住んでいる地域は人口の割に商店が少ないのか近くのスーパーは常に混雑して、今そういう所に子どもをぞろぞろ連れて出かけるのは少し心配になる。

じゃあ長男長女が勉強している間、夫に次女を預けて私が1人で出掛けてくればいいのだけれど、実はウチには関所がある。

次女。

次女には長男や長女のように「スーパーはちょっと密だからねえ」が通じない。

最近なんだか足が遠のいているスーパーに私も連れて行けと、私がコートに袖を通した瞬間に玄関扉の前に靴を抱えて待ち構えていて、私がどいて頂戴とお願いしても「イヤ!」としか言わない。

「ママはさあ、別に楽しい所には行かないんだよ、お野菜買うだけだから」

「イヤ!次女チャンモイク!」

そうやって玄関で母と娘がどいてどかないの膠着状態になる。

時間にして大体数十分、絶対に昼の温かい内に買い物に出たい母と、絶対にママとスーパーについて行きたい次女との攻防は、結局本当は少し昼寝をしたい眠たがりの夫が

「しょうがないからパパと車でその辺ぐるーっと出かけるか」

そう言って車のキーを取り出すまで続く。次女は車も好きだ。

行先はどこでも良いらしい。

パパの運転する車の後部座席のチャイルドシートに収まって、近所をぐるりと周遊し、ガソリンスタンドでガソリンを入れ、とにかく近所をドライブして、近くのやたらと広くてその分、お客さんがまばらなドラッグストアに寄って小さなお菓子を買ってもらって帰って来ることを休日の楽しみにしている。

その隙に私は近所の割と混雑しているスーパーを足早に駆け抜けて買い物をして帰宅する。

それが済んだら日が傾いて時間はもう夕方。

洗濯物を畳んで、夕飯を作り、お菓子を手にしっかり握りしめて帰宅した次女は、次女の留守中に彼女の奇襲を避けて取り組んだ課題を終えた兄と姉と3人で子ども向けのアニメを見る。

文字にするととても平坦で、平凡で、あまり楽しそうに見えない休日。

そんな休日を我が家はこの1年ずっと続けている。

少し神経質かなと思うけれど、うちの場合はこの暴れん坊の次女が基礎疾患を抱えているので、普通の家より少し用心しないといけない。

この休日の夜、寝る前にいつも私の布団に潜り込んで来る次女に私は聞いてみた

「今日、楽しかった?」

「ウン!」

「明日どこ行きたい?」

「エート、オクスリヤサン!」

物心ついて、大人と上手に会話が出来るようになってから人生がずっとステイホームの次女は、楽しい場所が近所のドラッグストアか、ガソリンスタンドになってしまっている。

家から車で行けば、1時間か2時間の場所に動物園だって遊園地だって何でもあるのに。

そういう場所を知っている親からすると、こんな生活はつまらないだろうなあと思う。

早くこの生活が明けるといい、それが終ったら、遊園地も、動物園も、水族館だって連れて行ってあげたい。

それは、きっとどこの家のお父さんもお母さんも思っている事だ。

※ この記事は2024年11月15日に再公開された記事です。

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