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公開 2021年09月03日  

かわいすぎ注意報!3歳の「言い間違い」を忘れたくない母の”矛盾”

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少しずつ、忘れてしまう子どもたちの小さい頃の姿。
それに抗いたい、私の救世主とは。


娘の繰り出す言葉の魔力


我が家には、7歳の息子と3歳の娘がいる。

息子も小学生になり、はや半年。

私が付き添わずとも1人で学校へ歩いて行っていることに、未だに静かに驚きつつも、頼もしく感じている。


一方、3歳の娘も幼稚園児になり半年経つ。

正直こちらはまだまだ手が掛かる。

それに加えて、我が家の最年少メンバーであるがゆえ、親の感覚として不思議とまだ赤ちゃんの延長線上にいるように感じるのも確かなのである。

とはいえ娘は着々と成長しており、語彙も増えてきた。

私の話し相手にも、十分なってくれる。


「お母さんさ、今日しめじを買いにスーパーに行ったのに、肝心のしめじ買い忘れて、スイカとか豆腐買ってきちゃったんだよ。ダメよね」

「おかあしゃん」

「うん?」

「そういうこともあるよ」

「…うん(ニンマリ)」


舌足らずの言葉と少し大人びた慰めの言葉。

3歳の発する言葉に宿るこのミスマッチに、今日も私は口元を綻ばせてしまう。


そう、私はこうした娘の言葉づかいや言い間違いが、好きで好きでたまらない。

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「忘れる」と共にあった私の半生


小学校3年生の時、校長先生の話で、今でも心に強く残っている話がある。

「皆さんは”忘れる”という言葉に、どんなイメージを持ちますか」

校長先生はそう切り出し、続けて、以下のようなことを語ってくれた。


”忘れる”ということは全部が全部、悪いわけではない。

例えばなにか失敗をしてしまった時、自分に”忘れる力”がなかったら?

悲しい出来事に遭遇した時、その深い悲しみがずっと同じ濃さで自分の周りに残っていたら?

明日もまた生きていく為に、”忘れる力”が必要な時もあります。


それまで「忘れる」ということにネガティブな印象を持っていた当時の私は、この話に深く感銘を受け、それ以来、私は「忘れる」を味方につけた。

若かりし日の、恥ずかしいミス、情けない気持ち、悲しい出来事……。

もうどうしようもなくツラくても、「私は前を進むために、忘れる。忘れることが出来るんだ」と自分に言い聞かせて生きてきたのである。


そうして私は結婚し、現在30代も半ばになった。

この世の終わりか、いや、なんなら終わってくれ!とヤケになった1人目の出産の痛みをほとんど忘れて、2人目を産んだ。

変わらず「忘れる力」に支えられてこれまでを生きてきたのだ。


一方でそんな今、娘の舌足らずの言葉に接し、カワイイ言い間違いを浴びている。

現在の私はこれまでの人生を支えてくれた「忘れる力」が、すっかり怖くなってしまったのである。

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3歳の、あざとい作戦


ある日の買い物帰り。


「むすめちゃんのチョコレートはどこなの?」

「溶けるから冷蔵庫入れるよ」

「おやつになったら “れいこうぞ“ から出して」

ズッキューン!!

撃ち抜かれるハート。



新しく買ったハンカチ。

「これは、キティちゃん」

「そうだね。ミミィちゃんもいるね」

「これは?いぬ?」

「そう、これは犬。ポムポムプリンだって」

「“とぬとぬ“ ぷりん」

バッキューン!!


あまりのかわいさに、降伏不可避で撃ち抜かれる日々。

「むすめぇ!カワイイよォ〜!!」

笑うと怒られるので、思い切り抱きしめてヒィヒィ言いながら頬擦りした。



そんなある夜、寝る時間になった子どもたちに声をかける。

「寝る時間だよ、自分で出したものは自分で片付けてー」

息子はささっと片付ける。

一方の娘は片付けしてる風であるが、「なんだかつかれちゃって、もうできない」なんて言って、早々に手が止まっている。

こうなると結局私も手伝うパターンが多いのだけれど、その様をちゃんと片付けた7歳の兄が「ズルい」という視線でこちらで見ている。


「お母さん手伝わないよ。娘ちゃんが自分で片付けてね」

突き放されて、一度おもちゃの元に戻った娘が、今度は何かぶつぶつ言いながらこちらに近寄ってきた。


「おかあしゃん、め…やき」

「え、何?」

「…ば…やき。めばばやき…」


めばば…やき…!キュン!


これは実は最近発掘された言い間違い。

○目玉焼き

×めばばやき


これを初めて聞いた時も、例によって可愛さのあまり「めばばやきだねぇ〜!!」と頬擦りをしたのであった。

そんな折にこの発言。

娘、このタイミングでまさかの、可愛がられようとしている。

そしてあわよくば、流れで片付けてもらおうとしている。

3歳なのに策士すぎない?


でもここは母の威厳として笑わない、耐えるんだ。

娘の思い通りにはならないぞ!

と思ったら、後ろから息子がひとこと。

「え?妹ちゃん目玉焼きって言えないの?カッワイイ〜!!」


息子、易々と落城。

あなたのそういうさっぱりしたところ、お母さん好きよ。

結局「めばばやき〜」と3人で言いながら片付けをし、次は歯磨きだぞ〜と洗面所に向かったのであった。

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残しておきたい、今がある


ベッドに入ると息子が「息子も小さい時、言えない言葉あった?」と聞いてきた。

うんうん、あったはず。

「とうも、ころし」とか定番の間違いもあったし、他にもあったはずだけど、残念ながら思い出せない。

ほんの2、3年前のことなのに、すぐ忘れてしまう。

記憶とは意外に儚いもの。

大切にしたいものばかりが、するりを指の隙間からこぼれ落ちてしまう。ように思える。

校長先生のお話は、実際、これまでの私を支えてきてくれた。

けれども、人間とは勝手なもので、今は忘れてしまうことがシンプルに悲しいのだ。


息子は期を逃してしまったけれど、娘の今だけ限定の舌足らずや言い間違いは、現在進行形で愛でることができる。

何度でも繰り返し反芻したいのがホンネではあるが、しかし同時に、それらをスマホの動画に残すのは、難易度=星5つなのである。

なぜならそれらの言葉は不意打ちでくる。

こちらのハートがズッキューン!!となっている間に急いでスマホを取りに行っても、本人が「あれ?なんか笑われてる?」と感じるや否や、貝のように口を閉ざしてしまうのだ。



そんなわけで最近、私はこのジレンマを解消すべく、対策を立てることにした。

クラウドサービスに申し込んだのだ。

記憶がダメなら記録もアリ、ということで。

動画撮影は写真に比べてどうしても容量が大きくなるので、最近は控えていたけれど、これで気兼ねなく撮影もできるようになった。

子ども達の「今」を、バッチリ残しておける。

そのうち、「我が家の日常」とかで丸一日、定点カメラでリビングを撮っておくのも楽しそう……。

あれこれ目論んでは、未来の私に向けて楽しみをせっせと蓄えていきたい。

そこに「れいこうぞ」と「とぬとぬぷりん」と「めばばやき」が映っていれば、もう最高というしかないのだ。

※ この記事は2024年10月31日に再公開された記事です。

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