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公開 2022年07月22日  

「夢中で遊ぶ」その経験が、我が子の世界と親子の時間を明るく支えてくれていた。

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【コノビーのほかTwitter・noteでも人気のライター・きなこさんによる書き下ろしエッセイ!】
これは今はもう中学生になった長男が幼児だった頃『遊び』を通して私と長男の間に生まれた今後も消えてなくならない思い出の話です。

遊びをもとめる長男と、何もできなかった私


私達夫婦に最初の子どもが産まれて、その子は男の子だったのだけれど、ふにゃふにゃとした羽二重もちのように柔らかなこの新生児は、朝晩の区別無くびっくりするほどよく泣く子でそれこそ

「こっちが泣きてえよ…」

ため息とともに朝日に向って呟きたくなるような子だった。

しかしその子が立って歩いて、お外の小枝を掴み、木漏れ日のちろちろとした光を踏んで笑うようになると

「これならあと1人、妹か弟がいてくれたら楽しいかもしれない…」

ここまで散々舐めてきた辛酸を、苦労をすっかりきれいに忘れてそんなことを考えたりするようになるのだから私って。それを望んだのは長男が1歳を過ぎて、外の世界で転げまわって遊び始めた頃のことで、実際におなかに2人目の子どもがやってきたのは長男が1歳8ヶ月の頃だった。

しかしその時まで私はひとつも考えていなかった、じきに2歳になる子どもを抱えて妊婦をやるということが相当な無理難題であるということを。


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長男の妊娠中「とにかく一日中眠たい」という悪阻だったものが、不思議なことに2人目の子の悪阻はそれと全然違う、四六時中ひどい車酔いをしているような感じで、朝何とか起き出して洗濯をして食事の用意をするのでもう限界、他の余分なことはとてもこなせるような状態ではなく、外に遊びに行きたくて行きたくて、毎朝起きた瞬間から

(さあお外に行こう、太陽が、空が、風が僕を呼んでいる)

そんな雰囲気を身体に纏ってパジャマのまま靴を履いて外に行こうとする長男を止めて、朝食を食べさせるのが精一杯で、あとは長男の脱いだパジャマだとか、食べ残したパンの欠片があちこちに転がっている部屋の真ん中に浜に打ち上げられた鯨のように横になっていた。

当然長男は退屈して、遊ぼう、遊ぼうと私の髪の毛を引っ張った、しかし私は鯨、何もできません。

あの頃の私は妊娠中の情緒不安定さも手伝って本当によく泣いていた。この子を健やかにのびやかに育てていかないといけないのにどうしよう、今、大好きな外にはとても連れて行けない。

2歳頃の長男はとにかく、いつも遊びと、遊び相手をもとめていた。


ただ、笑ってほしかった


そうやって、暗い感情が凝って固まって落ち込んで、もはや床と同化した何かになろうとしていた私に長男は

(おかあさんはこしょうしたのか)

とでも思ったのか、私を諦めて家にあるもので遊びはじめた。

それは当時それだけしか食べられなくてキッチンに山盛りにしてあったみかんだったり、ほうじ茶の葉だったりしてそれはそれで「やめて」と泣いたのだけれど、自分で引っ張り出してきたもののひとつが普通のブロックよりずっと大きなサイズのレゴⓇデュプロというやつで、初めてそれを見た時

「でか」

と思った。それがうちにはひとセット買ってあったのだった。

この頃の長男はとても電車が好きだった。

オムツがはずれるのはきっとずっと先、言葉は「ママ」も話さない、お洋服の着脱なんか一切興味が無くて「裸でおったらええやんけ」という風情の、いろいろと心配な子だったのだけれど、新幹線の個体識別だけはばっちりで、どれがひかりでこだまでハヤブサでこまちなのかをきちんと指し示す事ができた。


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その大好きな新幹線をブロックを長く繋げて作って遊ぶことをあれは父親か友達がしているのを真似て覚えていた長男は、同じように長い新幹線を作って並べて、作って並べて、それからひとり、ひひひと笑って

これがこだま

これがひかり

これがこまち

そう言った訳ではないけれど、目の前で作って私に見せてくれた。

思えば私もこういうブロックで家とか車とか、そういうものを作るのが子どもの頃はとても得意だった。私が昔遊んだのはこれよりもっと小さいブロックだったけど。そんな風に小さい頃のことを思い出した私は、横になった状態で長男に色々なものを作ってあげるようになった。

(お外には連れて行けないけど、浜に打ち上げられた鯨だけど、これなら一緒に遊べるし)

そう思って色々なものを、車とか動物とか作っては

「これ、なんだと思う?」

という当てっこ遊びを沢山した。知育とか、右脳とか、これをやって何かが伸びるとかではなくてただ、外に遊びにいけなくて本当につまらないぜ、と言う顔をしている長男に笑ってほしいなあと思って。


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そうしたら長男は私が作った車を指さして

「しんかん!」

と言った、長男の言葉で新幹線のことだ、車だよ。

それでも一度作って当てっこをして遊んだ車を、長男は見よう見まねで作るようになる。
上手だねえ、私が言うと「せやろ」という顔をして鼻を膨らませる長男の顔がおかしくて、悪阻の真っただ中ではあったけれど、私たちは笑いあった。

それまでの私は、新米の親として肩にえらく力が入っていたというか、1人目の子である長男に

あれもしてあげないといけない

これもしてあげないといけない

とガチガチに体中の筋肉のこわばった母親であったのだけれど、ここにきてふと全身の力が抜けたと言うか、一緒に遊んで楽しければそれでまずはいいんじゃないかなと思ったのだった。ゲラゲラ笑いながら遊ぶ長男の姿には、なんだか妙な説得力があった。

そう思えたのはいいけれど、依然私は悪阻の真っ最中で、でもそんなある日、長男はブロックで作った四角い『何か』を

「どーじょ」

と私に手渡してくるようになる。


私と長男の間で育った「何か」


長方形のパーツをふたつ並べ、その上を正方形のパーツで留めるようにして作られたそれは、最初一体何なのか全然分からなかった。家…にしては平たいし、乗り物…ならタイヤも何もついていない。


「なあにこれ?」

私は聞いたのだけれど、長男は職人のような真剣なまなざしでせっせと同じものを何個も作っては次々に私にそれを渡してくるばかり。まあええから、どうぞどうぞ。

思えばこれが、誰にも教わらずに親の真似でもないものを長男が作った「オリジナルブロック作品第一号」で、後にそれは「プレゼント」ならびに具合の悪いママへの「お見舞い」であったのじゃないかと分かる。

というのも、私が悪阻でへばっていた季節は丁度春の初め頃で、この長男は3月生まれ、お誕生日があった。
私の実家にとっては初孫で夫の実家では最も近距離に住んでいる孫である長男のお誕生日にはいくつものリボンの掛けられた箱が家にずらりと並んだ。

よかったねーうれしいねー

私達夫婦は長男にそう言って、自分達の子どもの成長が皆に喜ばれていることを喜んだ。


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長男はそのことを覚えていて「ひとつ僕もママになんか贈ってあげよう」と思ったのかどうかはわからないけど「なんかしてあげないと」と思ったのだろうことは何となくわかる。

まだ言葉をほとんど話せなかった長男は、好きな遊びをひたすら続けることで、自分の中にあった「まま大変やな」という労わり?励まし?そういう気持ちを私に形にして伝えてくれた、そういうことなのかもしれない。

そして私も「ありがとねぇ」とか「じょうずだねぇ」とか、ありきたりではあるけれど、長男の気持ちに応えて、2歳になったばかりの長男の中にだいじな何かが育っていく、そんな時間を共有していたのじゃないかと、思うのだ。

このブロックのプレゼントは結構長い間、長男のお気に入りの遊びになってそのまま、彼の妹へ、そして更にその下の妹に引き継がれた。

そうやって色々試行錯誤を重ねて一緒にブロック遊びをして今、13歳になった長男はテスト勉強の合間、部活から帰宅してすぐ

「ホンマは疲れてんねんけど…」

なんて言いながら、一番下の妹にちょっとした工作やブロックの動物を作っては手渡してやるお兄ちゃんになった。それの基礎部分はきっと2歳になる前のあの頃、私と長男、二人で作ったものだ。

長男とは

『小さい頃結構一緒に遊んでたよね、楽しかったよね』

という思い出があるからか、思春期でなかなか難しい年頃になった彼を私自身はなんだかんだ言って可愛い息子で『いい奴』だと思っている。

それは年頃の息子と母親なのでちょっとした言い合いになることだってあるけれどあの日、お見舞いの品をせっせと作っては私の所に持って来てくれた息子のことは基本的に

「まあでも優しいところのある子やから」

なんて思って、妙に信頼している。


【執筆者:きなこさんより】

レゴグループが90周年とのことで、記事を寄稿させていただきました。

私にとってレゴⓇブロックは、自分の子ども時代から13歳10歳4歳の子ども達を育てている現在までずっと親しんできた大切なオモチャです。
子ども達はいつもそれを使って宇宙も、南の島も、氷の王国も、そして未来も、色々な世界を組み立ては遊んできました。

空想の世界を創造する時のあのわくわくした気持ちを子ども達がたくさん知ることができますように、そして子ども達が遊びに夢中になっている時のきらきらしたまなざしをその子のママとパパが見ることができますように。

子ども達が大いに遊び、そこから健やかな心を育てる世界であってほしいと願っています。


子どもたちの「遊び」のためにできること

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子どもの健やかな成長のために、親がしてあげられることは何だろう?
情報が溢れている今、かえって何をしていいか分からずプレッシャーを感じてしまうこともあるかもしれませんね。

子どもたちの心や体にとって、一番大切なのは「遊ぶこと」。

夢中になって遊んでいるうちに空想の世界は大きく広がり、創造遊びやごっこ遊びを通じて「生きるために必要な力」が育まれます。
難しく考えすぎず、思い切り自由に遊べればそれでOK!

そのためには、ママやパパが安全な遊びの環境を整えてあげることが大切です。


レゴグループ創立90周年を祝って、世界中を遊び場に!

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自分だけの世界やアイデアをカタチにして自由に遊べる「レゴ®ブロック」。
パッケージ通りに作るもよし、お手本にとらわれずにオリジナルの作品を組み立てるのもよし。目の前には無限の世界が広がっていることでしょう。

レゴ®ブロックを通じて楽しい遊びを追求し続けているレゴグループは、2022年8月10日に創立90周年を迎えます。

「世界中を遊び場に」をテーマとして、日本でも店舗やショッピングモール、街などあちこちの場所を「遊び場」にする計画が進行中!
子どもたちが楽しい時間を過ごせるよう、さまざまなアクティビティを予定しています。

詳しくは、スペシャルコンテンツも満載の90周年特設サイトへ!




作った作品はおうちに持ち帰れる!最新イベント情報


全国のレゴストアとトイザらス全店などのお店で、「レゴ®グループ90周年限定ミニセット」が作れる無料の体験イベントを実施中。

90周年を記念した特別なレゴ®ブロックのミニセットをお店で作ろう。作った作品はそのままプレゼント!

対象店舗など詳細は下記のリンクへ。

※ミニセットがなくなり次第終了。開催日時などは各店にお問い合わせください




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Q1.レゴ®ブロック、レゴ®デュプロをお持ちですか。
Q2.記事を読んで、印象に残った点を教えてください。(複数回答可)
Q3.記事を読んで、レゴ®ブロックを購入したいと思いましたか?
Q4.記事の感想を自由に記入してください。
ご協力ありがとうございました!
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