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公開 2022年10月12日  

出会いは3歳の幼馴染み。とても立派でどこまでも面白い、そんなあなたがやっぱり好き。

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幼馴染っていいよね、とわりと思っているほうなので子どもたちの縁もできる限り長く続くといいなと思ったりします。


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”なっちゃん”と出会った日のことは今でも覚えている。

保育園の2歳児クラスから通っていた旧バラ組さんの子どもたちと、年少さんのサクラ組さんから入園するお友達の対面式のような場だった。

廊下のあちら側とこちら側にそれぞれ向かい合う形で並んだ。

先生が列の端のほうでなにかを言って、私たちは初めましてのご挨拶をしたのだった。

その時、私の前に立っていたのがなっちゃんだった。

少し小柄で、短く切りそろえられた髪が自分によく似ていると思った。

なっちゃんはじっと私の顔を見ていた。


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私は一日中なっちゃんといるようになった。

なっちゃんは頭がよくて、賢くて、一緒に遊んでいるとすごく面白かった。

世界が広がるような、眩しさがあった。

年長さんになると私たちの遊びはお絵描きが中心になったのだけど、なっちゃんはお絵描きもやっぱり飛び切り上手だった。

私たちはお教室の床に寝そべって、お絵描き帳にいろんなお姫様の絵をいくらでも描き連ねた。

なっちゃんの描くお姫様はキラキラした四角い眼をしていて、髪は水色や赤色で、ほんとうの外国のお姫様のようだった。

対して私の描くお姫様は顔も目も丸く、少しやぼったくて少し子どもじみていた。

なっちゃんのようなお姫様を真似てみようとしたけれど、私にはその技量がなく、どうしても描けなくて、きっとなっちゃんには4つも上のお姉ちゃんがいるからだと思った。


なっちゃんといるといつもほんの少し背伸びをして世界を見ているようで、誇らしくて楽しかった。

保育園を卒園して、小学生になってもやっぱり私となっちゃんは仲良しで、うんざりするほど喧嘩をして、「ぜっこう」もして、仲直りもして、クラスが離れて少し疎遠になって、また仲良くなって、なんだかいろいろ順当にぜんぶやって、やがて小学校を卒業した。


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中学生になった私たちはそれぞれ違う部活に入って、それなりにそれぞれ仲のいい友達がいたんだけれど、やっぱり相変わらず仲良しだった。

部活がテスト休みになると、テスト勉強もせずに遊びまくっていた。

周りの友達がテスト勉強に勤しむ中、お互い遊んでくれるのが自分たちしかいなかったのだ。

そして、中学生とは思えない馬鹿な遊びに付き合ってくれるのもまた、お互いしかいなかった。


あるテスト休みの午後、私達はなっちゃんの部屋のベッドの脚に縄跳びを括り付けて、窓から縄跳びをつたって降りるという、なんの為だかまじで分からない遊びを真剣にやろうとしていた。

縄跳びをいくつかつなげて窓から垂らし、強度を確かめるために庭に降りたなっちゃんが縄跳びにぶら下がった途端、縄跳びはブチンとちぎれてしまった。

なっちゃんはなにかのコントみたいにドスンと尻もちをついて、それはあまりに見事な尻もちで、尻もちのお手本があったら参考画像として差し込みたいほどの尻もちだった。

驚きのあまり呆然とするなっちゃんと華麗な尻もちが私の笑いの琴線に触れすぎてしまって、過呼吸になるほど笑った。

今思うと、子どものころお腹が痛くなるほど笑ったあの時もその時も、隣にはなっちゃんがいた。

なっちゃんといると「スベスベマンジュウガニ」だって「戦艦ポチョムキン」だって、なぜだか知らないがものすごく面白くなった。


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※ この記事は2024年10月11日に再公開された記事です。

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