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公開 2023年03月16日  

ラン活の常識、6年でこんなに変わるの…?闘いはすでに始まっていた年中の冬

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小学校のランドセル、考えて、見に行って、選んでっていうあの晴れがましくも楽しく嬉しいイベントが、夏から春にドンドン早まっていることを、わたしは最近知りました。もうすぐうちの次女がいわゆるラン活に突入するのですけれど、入り口から既に戸惑っている、わたしの話です。


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わたしの、春のお悩み

さて、これは完全なるわたしの個人的な悩みであるのですけれど聞いていただけますか。

「今、ランドセルをどうしよう」

もしこれを読んでいるあなたが、私にそのランドセルを検討しないといけない年ごろの子の他に、すでに小学5年生と中学2年生の子どもがあることをご存知であるのなら

「今さら何を言うているのよ」

というお気持ちになるでしょうし、実のところ私もそう思っているのですけれど、何しろ最初に長男のランドセルがウチにやって来たのは9年前、その次に長女のランドセルがウチに届いたのが6年前。

育児の業界というのは大変に移ろいの早いもので、例えばたった3歳、年が違うだけでも、それまで「これが常識ですねん」とか「こういう風にきまっています」という通例だったり法令だったり、ともかくいろんなことが違ってくるもので、1番目と2番目の学年差が3学年、年齢が2歳半あいているだけでも、長男の通っていた幼稚園が長女の通う年にはこども園になっていたり、長男の時には母子手帳になかった予防接種の項目が、長女の時にはいくつか増えていたりしたものだから、いちいち驚きを隠せない、だからこそ

(6年のブランクを経て、新入学準備をするのやから、第1子を入学させるつもりで挑まねばなるまい、以前の経験はきっとあんまり役に立たない)

とは思っていたけれど丁度去年の今頃、同じ関西に住んでいる弟の下の子が年長さんになるかならないかの春にもうランドセルを決めて注文したと聞いて、つい自分の過去のことを基準にして一体何を言うているのかと思ったのでした。

その時はとっさに、弟は洋服だとか身の回りのものにとても凝る質であるし、その妻であって私には義理の妹にあたる人はすごくお洒落な、ちゃきちゃきの神戸っ子なので

「ははあ、さてはすごいこだわりのランドセルなのやろ、2人ともお洒落さんやからなあ」

と思ったら、そういうことでもないのですって。

「何言ってんの、ちょっと人気のある工房のオーダー品なら最近は春に決めるもんなんや」

「は、春ていうのは、それは年長さんが終るころの3月とかではなくてけ?」

そのような事実を弟当人から聞いて私はつい、地元訛りが口から飛び出したものでしたよ。

「だって長男の時は年長さんのお盆に買うたがやで、実家に帰っとる時にあすこのホラ、大きいショッピングモールでよ、それだって、随分と気が早い話やねってお母さんと話とったがに」

令和の今も、大体一年を通して探せば大きなショッピングモールやスーパーや、あとは家具やファブリックを売るお店にもちゃあんと置いてあるランドセルも、その商戦の火ぶたが切って落とされるのは、年中の終わりから年長の春、まさに今この時だと聞いて私はたまげた。

世界にある常識みたいなものは、どんどん刷新されてゆくものなのだ。

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上の子、どうしてた?

そもそも長男の、我が家にとっての初めてのランドセルを買いましょうと実家から車で30分ほどの距離にあるショッピングセンターに行った時も、私はちょっと驚いたんだ、そうそう、いま思い出しました。

あんまり大きな声で言いたくはないけれど、元号が昭和の時代に小学1年生になった私のランドセルは赤色だった。

あの当時、男の子はみんな黒、女の子はみんな赤。

うちはとても牧歌的な田舎であったので、もしかするともっと都会の方にはフルオーダーのカラーバリエーション豊富な7色のランドセルであるとか、私立小学校で最初から揃いの革に箔押しのランドセルでもっとシックな茶色とか紺色があったのかもしれないけれど、私の記憶にあるものはどの子も、厳重な規則であるかのように黒と赤。

だから私はそれ以外の色がランドセルの世界にあるなんて、あんまり考えたことがなかったのですよ。

それが9年前、初めて「もうすぐ小学生になる子」の親になってみて、意気揚々ランドセル売り場に足を踏み入れてみるとそこには

「な、七色どころかこれは何色あるねんな」

嘆息とともにそう呟いてしまう程の、さまざな色のランドセルがそこかしこに氾濫しているではないですか。

早生まれで年長の夏もまだ5歳であった長男が、小学生になるのだという実感もあいまいなままに

「ランドセルは、青がいいねん」

と言っていた『青』だって、濃紺から、空色、水色、瑠璃色、瑠璃紺色、世界にあるあらゆる青をこちらに揃えましたという案配で、青で一体何色そろえるつもりなんやと突っ込み必須のバラエティー。

当時も今も服装持ち物、靴、髪型、そういう『外見』にまつわるものの一切に拘らないということが、拘りの長男に

「ウーン…こっちの青と、こっちの青と、ママはどっちがいいと思う?」

こんなことを言わせたのだから大したものだと思う。

トレーナーを裏返して挙句後ろ前に着ていても

「ええやん別に」

なんて言って涼しい顔をしている子だったのに。

そしてこの頃、長男は私を『ママ』って呼んでいたのよなあとしみじみしたり(現在は、お母さんの「お」を極力発音しない、母さん)。

果たして長男が選んだランドセルは、南洋の深海のような深い深い青。

それは活発な彼らしい、スポーツブランドとカバン専門店がコラボした限定品で、価格帯は当時としては一番多い5万円前後だったように記憶しているけれど、私の実家の両親が「これはお祝いだから」とその場で長男に買ってくれたので、そこはいまひとつ記憶があいまい。

その後深海の青のランドセルは、時々校庭にチョコンと置き忘れられつつ、ある日は「いってきまーす」と声のした後に玄関にポツンと取り残されつつ、春夏秋冬6年間、長男と一緒に小学校生活を全うしてくれた。

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ピンクのランドセルってどれくらいあると思う?

その2年半あと、また同じように実家のショッピングモールで購入した長女の、ちょっとハッとするようなフランボワーズ色が可愛らしいランドセルはまだあと1年現役で、これはすごく悩み屋さんの長女にしては

「これがいい」

と本当にものの3分程でサクッと決めてくれたもの、それだから

「孫と一緒にうだうだああだこうだと悩みたい」

と思っていたこの子の祖母、それやから私の母は少しびっくりしていて

「エッ、ホントに?ホントにこれでいいの?もっとホラ…あっちにもうすこし薄いピンクとか、アレ、あの赤とかもあるよ」

と言っていたけれど一度言い出したら聞かないことで有名な長女はぜったいこれが良いんだと言って現在も使っているフランボワーズ・ランドセルを背中から下ろさず、そのままこの時もまた、うちの実家にそれを買ってもらったのだけれど、価格帯としては長女の兄である長男のそれよりは若干お求め易かったランドセルを

「お兄ちゃんと一緒くらいの値段のに…」

と言っていたのがとても印象的だった、お祝なんだから、安いとなんだか、ねえという、ありがたい祖母心。

でもやっぱり本人に選んでもらった方がさ、6年も使うのだし、安いから悪い訳じゃないし、ほんでとんでもなく高いランドセルになっても困るやないのと言って母を宥めたのが6年前。

そしてさあ、今回が我が家にとって最後のランドセルとなる次女のランドセルは、それまでと様子が違いすぎて、本気で戸惑っている私がいまここにいて、さあ一体どうしましょう。

本人が使うものだから、やっぱり本人が見て、触って、背負って、みないとあかんやろねとは思うけど、今年の春は長男の塾やら夫の仕事やら、実家に帰るような感じではなくなってしまったし、それならやっぱり大きなショッピングモールか、デパートに見に行くのかな、まってまってカタログをまずは注文する…の?

次女はちょっと生まれつき病気があって、体力がないのでともかくも軽いものがベスト、という事情も加味されて、私はこの度、我が子が3人目にして初めて

「ようし、展示会やらデパートやらにいっちょう現物を見に行ってみましょう」

ということにしている。

育児はいつも未知なもの、これだけ情報と常識が移り変わっているのなら私も

「1人目ですの、ほほほ」

のような新鮮な気持ちで挑まなくては。

そうして当のランドセルをいずれ背負うご本人に

「ねえ、次女ちゃんは、ランドセルどんなんがええの?何色」

と聞きましたら

「ピンク!ぜーったいピンク」

と色だけは決まっているのだそう。

そうなんや、でもな、次女ちゃんランドセル売り場に行ったら覚悟してほしいねんけどな、ピンクって200色あんねん。

※ この記事は2024年09月12日に再公開された記事です。

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