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公開 2023年05月31日  

タブレット学習ねぇ…。渋々取り入れた最新学習が”絶対的存在”に変わったワケ

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今となってはすっかり「今後ともよろしくお願いします」という気持ちです。


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偏見っていうのは本当によくない。

気を付けているつもりなんだけど、ついつい凝り固まった頭で食わず嫌いをしてしまうことってやっぱりあって、私にとってそのひとつがタブレット学習だった。

いやだって、やっぱり紙と鉛筆って「基本のき」みたいなところがあるじゃないですか。

せっせと手を動かしてこそ、みたいな雰囲気も無きにしも非ずなところあるじゃないですか。


真ん中の長男がタブレット学習教材をやりたがったのは小学校2年生の冬。

それまでも何度か「やりたいなぁ」、「みんなやってるんだよ」とおねだりのひな形を繰り返していて、それがいよいよ本格的に熱を帯びてきたのだ。


ところが私の気が進まない。

だって、税金をせっせと納めて公教育を受けているのだし、小学校で一生懸命お勉強をしてきたらよいではないか。

学校で配られるドリルを100偏やればいいではないか。

どうしてわざわざタブレットを有料で借りてまで学校でやっていることをなぞらなければいけないのか納得がいかなかった。

それに、なんだか、ほら、浮ついた感じがするじゃないですか。

タブレット学習って。

もちろん偏見なのは百も承知。

あれこれ調べても、なんだか「しゃらくせえな」というのが頑固な私の気持だった。


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けれど、長男は夕方になると毎日のように「やりたいよう。だめ?」と私や夫にお願いをする。

いくら私の気が進まないからと言って、頭ごなしに「駄目だよ」と言えないのもまた、私だ。


きっとメリットも沢山あるだろうし、これだけ普及しているんだから、それなりの理由があるだろう。

そう思うくらいの柔軟さは持ち合わせているものの、やっぱりどうにも気が進まない。

やはりどこか「しゃらくせえ」と思ってしまって「いいよ」と言えない。

ホームページを眺めるけれど、どうしてもそのタブレットが家にあるところを想像することができないのだ。


そんな膠着状態を繰り返していたある日、

「うちは使ってるよ」

遊びに来ていた友人が言った。

友人には我が家と同じ年の三姉弟がいる。

「そうなんだ!長男がやりたがってるんだけど実際どう?」

「結構いいよ。検討してない人にわざわざお勧めしたりはしないけど、迷ってる人にはお勧めする」

なるほど、そっか。


その数日後、偶然、長女のお友達のお母さんからも同じような話を聞いた。

2人とも共通して「すっごくいい」ということではなく「結構いいよ」、というのがなんだかちょっと信頼できる。


結局長く続くのは人間関係でも仕事でも「結構いい」の感触だったりするものだ。

「結構いい」は信頼できる。


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さて、同時に長男の情熱は日に日に高まっていく。

やんわりとかわし続けるのもいい加減疲れてしまった。

そのうち諦めるのでは、という淡い希望はこの頃には消え失せていた。


「じゃあ、ちゃんとやる?」

「うん!!!!」

またしてもおねだり達成時のひな形みたいなやり取りをして、晴れて申し込みに漕ぎついたのが、去年の冬のことだった。

やれやれと胸をなでおろしたのは束の間、長女が黙っていなかった。


「私もやりたい」

言うと思った。

言うと思っていたのだけれど、彼女はなんせ宿題に時間がかかる。

毎日宿題の前に座っている時間が途方もなく長いのだ。

まず宿題を出すまでが長い。

声をかけてもあっちへウロウロこっちへウロウロして、まあ座らない。

好きにさせておけばみんなが寝ようとするころやっと宿題を出したりするし、なんなら朝、学校へ行ってからやることもしばしばだ。

うまく宿題を出したと思っても、問題を一問書いては計算用紙にお絵描きをしたり、喉が渇いたと言ってお水を飲みに立ってそのまま帰ってこない。

鉛筆を延々と削っていたり、紙を細かくちぎってみたり、こんなに気が散るって一体全体これはどういうことなんだろうと首を右に左に何度でも捻った。

捻りすぎて首を悪くしそうなくらい何度でも捻った。


ところが、「とにかく宿題をちゃんとやらないことには」と伝えて、1ヶ月。

彼女は本当によく頑張っていて、息切れをしながら、ため息をつきながら、ぐずぐず言いながら、弟のタブレット端末への憧れを原動力にそれはよく頑張っていた。

普段、宿題にまったりと何時間もかけている気ままな長女がちゃんと宿題をする、その様子は毎日がハードな登山のようだった。

さすがに夫も「これは許可してあげなくては」と思ったらしく、彼女も晴れて学習タブレット端末を手に入れることとなった。



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元々何でもてきぱきとこなす長男は、毎日せっせと取り組んでいる。

こちらは想定内。

朝早く起きて取り組んでいることもあるし、夕飯後にじっくり取り組んでいることもある。

思っていたよりはるかに沢山のカリキュラムが用意されていて、知的好奇心が旺盛なタイプの長男には合っていると思う。

タブレットを開けば退屈しないらしく、手持無沙汰な様子の時にもおもむろに手が伸びている。


想定外だったのは長女。

念願かなって手に入れただけあって、彼女もまたきちんと取り組んでいる。

そこまでは想像の範疇だったけれど、懸念していたのはもちろん宿題。

新たな課題を出したりしたら宿題ができなくなってしまうのではないか、とずっと心配だったけれど、まさかの杞憂だった。

なにがどう作用しているのか、学習タブレットを手に入れてからというもの、宿題がものすごくスムーズなのだ。

学習が定着して宿題が楽になったのか、タブレット学習をすることで体力みたいなものがついたのか、とにかくあのハードな登山みたいだった宿題の時間がなくなった。

長女にとってもそうだし、私にとってもストレスを手放すことができて本当によかった。

長女に尋ねると、授業中に取り組む課題も以前よりスムーズになったと言っていた。


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「しゃらくせえ」と食わず嫌いをしていたけれど、いざ導入してみればなんてことはなく、思っていたよりずっと彼らに合っていた。

何事も取り掛かりに時間がかかる長女はソファに転がったままボタンひとつでスタートできるというのが合っているなと思ったし、退屈に対してストレスを感じる長男にとっても充実したコンテンツとカリキュラムがいい暇つぶしになっている。

もともと勉強に苦手意識がない長男にとってはいい遊び道具がひとつ増え、長女にとってははっきりと学習意欲の変化が見て取れる、そんな結果になった。

新しいことを考えようとすると面倒が勝ってしまって、いちいち頭が固い部分が顔を出してしまうけれど、彼らが少し大きくなったことで、こうして無理やり新しい扉を開けざるを得ないことが時々ある。

重たい腰を上げてしぶしぶ開けた扉はたいてい悪くないらしい。


今やすっかり件のタブレットに「彼らのことを頼んだよ」という気持ちでいる。


※ この記事は2024年09月30日に再公開された記事です。

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