卒乳とは、赤ちゃんが成長とともに自然に母乳を飲まなくなることです。
卒乳と混同しやすい言葉に「断乳」がありますが、卒乳と異なり、断乳はママの仕事復帰などの理由から授乳をやめることを指します。
親が主体となる断乳に対し、卒乳は子ども主体です。
自分のペースで満足がいくまでおっぱいを飲めるので、卒乳は赤ちゃんにとって負担が少ない方法といえます。
しかし、いつまで経っても赤ちゃんが卒乳してくれないのは、ママにとっては悩ましいことですよね。
赤ちゃんが言葉を理解できる時期であるなら、ゆっくりとおっぱいの卒業について話をし、卒乳を促すのも良いでしょう。
離乳食がスタートしても、しばらくは母乳やミルクを主な栄養源として与え続けることになるでしょう。
卒乳するタイミングについては赤ちゃんの発達や離乳の進行、家庭環境などによって個人差があるため、基本的にはママの判断に委ねられる旨を厚生労働省が発表しています。
一方、ユニセフでは、2歳またはそれ以上まで母乳を与え続けることが推進されています。
母乳を飲むことによって、赤ちゃんはママの身体から免疫を得られるからです。
前述したように、卒乳する適切な時期は赤ちゃんによって異なりますが、ママと赤ちゃんが「もうやめても大丈夫」と思える時期を目安としましょう。
具体的には、以下のようなタイミングを節目として考えてみてください。
・離乳食を毎日3食しっかり食べるようになった
・授乳以外に水分を摂れる
・母乳が出なくなってきた
・授乳回数が減少した
・おっぱいがなくても寝付ける日が増えてきた
・外出時におっぱいを欲しがらなくなった など
上記のような様子が見られるようになったら、そろそろ卒乳を検討してみる時期かもしれません。
ここからは、卒乳の準備や進め方についてご紹介します。
これから卒乳を進めようとお考えの方は、手順を押さえながらゆっくり進めていきましょう。
赤ちゃんに卒乳サインが見られるからといって、いきなり授乳をゼロにするのは避けましょう。
卒乳を目指す時期の数週間~1ヶ月前ぐらいから、少しずつ赤ちゃんに伝えていくのがポイントです。
「そろそろおっぱいとさよならしようか」「あと3日でおっぱいとバイバイだよ」などと予告しておくことで、赤ちゃん側も心の準備がしやすくなります。
卒乳を言葉で伝えて、赤ちゃんも少しずつ理解できているようなら、徐々に授乳回数を減らしていきましょう。
離乳食の後に与えていた母乳を牛乳に変えたり、お昼寝の寝かしつけを授乳ではなく絵本の読み聞かせにシフトしたりなど、授乳の減らし方は人それぞれです。
赤ちゃんが牛乳アレルギーの場合は、麦茶などで代用しましょう。
卒乳で最も苦労するといわれているのが、夜間の授乳をやめることです。
夜間の授乳は赤ちゃんにとって、空腹を満たすためだけでなく、ママの温もりを感じて安心するための手段でもあります。
卒乳を進める際には、夜中にお腹がすかないよう、寝る前にフォローアップミルクなどをあげるのがおすすめです。
また寝ているときには、授乳がなくてもママが側にいる安心感を得られるよう、近くで寄り添ってあげると良いでしょう。
卒乳は、ママと赤ちゃん両方にとって大きな試練です。
そのため、赤ちゃんとママの体調やコンディションを見ながら、焦らず卒乳を進める必要があります。
疲れやストレスが溜まっているときや、赤ちゃんの夜泣きがひどいとき、風邪をひいた後などは、無理して卒乳を頑張る必要はありません。
卒乳を成功させるためには、ただ授乳をやめるのではなく、赤ちゃんやママのことを気遣って行動することが大切です。
ここからは、卒乳を進める際のポイントについてご紹介します。
授乳回数を減らしたことにより、おっぱいが張ってつらいときには、シャワーやお風呂の際に搾乳することを検討しましょう。
搾乳機を使用しても良いですが、乳首が伸びるという声もあるため、気になる方は手絞りにしましょう。
それでもおっぱいが張ったり、痛くなったりなど気になることがあれば、助産院や母乳外来などに相談して適切なケアを受けてみてください。
卒乳は、赤ちゃんにとっても辛抱のいるステップです。
ママとの授乳タイムが減ることは、赤ちゃんにとって寂しいものといえます。
そんな赤ちゃんの気持ちを理解し、積極的に抱っこをしたり遊んだり、話しかけたりして、授乳以外のスキンシップを増やしてあげましょう。
また、赤ちゃんがおっぱいを我慢して頑張っている様子が見られたら、思いっきり褒めてあげてくださいね。
卒乳にトライしている間は、母乳が恋しい赤ちゃんが激しく夜泣きをして、ママが疲れ果ててしまうこともあるでしょう。
ママだけが頑張って疲れることのないよう、卒乳は家族全員で協力して進めることが大切です。
赤ちゃんが授乳以外に気持ちを向けられるよう、パパや周りの人が積極的にサポートしましょう。
卒乳を進める際の注意点について、厚生労働省は以下のように述べています。
「乳幼児期における哺乳びんによる不適切な飲料の与え方、あるいは卒乳時期を逃した授乳、とくに夜間の授乳は、特有のむし歯の症状を引き起こすことがあります。」
赤ちゃんは早くて生後6ヶ月ごろから歯が生え始めますが、卒乳時期に砂糖を含む食品やフルーツジュースなどを摂り始めると、虫歯リスクが高くなるといわれています。
とくに哺乳びんでジュースなどを与えると、成分が長時間前歯に触れることになるので、なるべく避けるのが無難です。
また、卒乳時期を逃して授乳が長引いたり、夜間の授乳を続けていたりすると、虫歯になりやすいといわれています。
就寝中は唾液の分泌が少なくなり、虫歯菌が繁殖しやすいからです。
このように、卒乳を進める際は虫歯のリスクについても理解し、歯のケアを適切に行いましょう。
今回は、卒乳の時期やポイントなどについてご紹介しました。
卒乳時期は赤ちゃんによって異なるため、焦らずその子のペースで進めていくことが大切です。
パパやそのほかの家族も協力しながら、徐々に卒乳を目指していきましょう。