ブックスタートとは、小さな赤ちゃんのいるご家庭に絵本をプレゼントし、赤ちゃんが絵本に触れる機会をつくる活動のことです。
ブックスタートは市区町村単位の事業として行われており、自治体の財源によって実施されています。
事務局となる機関や実施する機会、対象月齢などは自治体によってさまざまです。
多くの自治体では、図書館や子育て支援課、保健センターなど、子どもに関係する複数の部署が連携してブックスタート事業を進めています。
ブックスタートは、1992年にイギリスのバーミンガム市で始まりました。
“ Share books with your baby!(あなたの赤ちゃんと絵本を開くひとときを) ”をキャッチフレーズにスタートした活動は、人々の共感を呼んでイギリス全土に広まります。
日本では「子ども読書年」と呼ばれる2000年にブックスタートの概念が知れ渡りました。
杉並区で試験的にブックスタートの活動が実施され、その後に全国で本格的に活動が広まっていきます。
世界でもヨーロッパを中心に活動が広がり、オンライン会議などを通じて国や地域間での情報共有も進んでいます。
事業の名前や活動内容は国によって異なりますが、2018年には「Global Network for Early Years Bookgifting」と呼ばれる世界的なネットワークも発足しました。
「0歳から絵本を読むのは早いのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、ブックスタートには、0歳から始めるからこそのメリットがあります。
ここからは、ブックスタートの目的やメリットについてご紹介します。
ブックスタートでプレゼントされた絵本は、親子の絆を深めるきっかけになります。
絵本の内容や文字の意味がわからない赤ちゃんでも、大好きなパパママに話しかけてもらったり、微笑みかけてもらったりする時間はとても幸せです。
絵本は、パパママが赤ちゃんに優しく語りかけるひとときを自然につくり出します。
「絵本を読む(read books)」のではなく、「共に楽しむ(share books)」のがブックスタートの大きな目的です。
ブックスタートは赤ちゃんの感情を豊かにし、想像力を育むことにつながるメリットがあります。
身体の成長にミルクが不可欠であるように、豊かな心を育てるためにはパパママが温かく語りかける時間が重要です。
ブックスタートは赤ちゃんだけでなく、パパママにとってもメリットがあります。
赤ちゃんと座ったり寝転んだりしながら絵本を読む時間は、忙しい育児のなかでホッと安らげるひとときになるでしょう。
気持ちをリフレッシュさせるためにも、絵本を読む楽しい時間を大切にしてみてください。
ブックスタート事業は、保健師・図書館員・市民ボランティアなど、子育てを応援する地域の人と親子をつないでくれます。
絵本を介して職員・ボランティアとパパママのつながりが生まれ、状況に合った子育てのアドバイスや支援などを受けられます。
それまで頼る場所がなく、自分たちだけで子育てをしていたパパママも、地域の機関とつながることで育児への不安を軽減できるでしょう。
ブックスタートの対象年齢は基本的に2歳までで、ほとんどの場合は受診率が高い0歳児の集団健診で行われます。
0歳児の集団健診以外では、以下のような機会に実施されることが多いです。
・集団の母子保健事業(育児相談・BCG予防接種など)
・家庭訪問
・保健事業や子育て支援事業、図書館事業の機会 など
上記のように、ブックスタートの実施時期や場所は、自治体によって異なります。
お住まいの自治体で、ブックスタートがどのように実施されているか詳しく知りたい場合は、「ブックスタート+自治体名」などで検索してみてください。
ブックスタートでは、保健師や市民ボランティアなどが親子1組ずつと向き合い、絵本の楽しみ方や読み聞かせのコツなどをレクチャーします。
また、絵本や地域の資料などが入った「ブックスタート・パック」を無料で配布しています。
ブックスタート・パックの内容は、主に以下のとおりです。
・絵本
・アドバイス・ブックレット
・布製バッグ
・地域の資料
アドバイス・ブックレットとは、絵本を読み聞かせる楽しさを伝える冊子です。
とくに初めて子育てをするパパママは、ぜひ目を通してみてください。
また地域の資料では、絵本リストや子育て支援情報など、自治体ごとにお役立ち情報がまとめられています。
なお、ブックスタート・パックに入っている絵本の種類や冊数、地域の資料の有無などは、自治体によって異なります。
ブックスタートでもらえる絵本の冊数やタイトルは、自治体によってさまざまです。
ブックスタートでもらえる絵本は、3年に1回開かれる「絵本選考会議」で選ばれます。
絵本選考会議の審査員となるのは、絵本と赤ちゃんのかかわりに関する豊富な知識と経験を備えた5人の審査員です。
絵本選考会議では、中立的な立場で公平に話し合いが行われ、「ブックスタート赤ちゃん絵本」として毎回30タイトルの絵本が選出されます。
赤ちゃんへの読み聞かせを始める月齢に、明確な決まりはありません。
基本的にはいつから始めても大丈夫ですが、絵本を嫌がる赤ちゃんに無理やり読み聞かせるのは避けましょう。
また、絵本に興味を示さない赤ちゃんに無理をして読み聞かせても、楽しい時間にはなりません。
大切なのは、赤ちゃんがいつでも本に触れられるような環境を用意してあげることです。
読み物ではなく、おもちゃの感覚で絵本を日常のなかに取り入れ、赤ちゃんが絵本に興味を示し始めたら、いろいろな絵本を読んであげてみてください。
今回は、ブックスタートの目的や時期、内容などについてご紹介しました。
ブックスタートは、赤ちゃんと絵本の出会いをサポートするための市区町村による事業です。
ブックスタートによって、絵本を介した親子の絆が深まるだけでなく、パパママと子育て支援機関とのつながりも生まれます。
お住まいの自治体でいつブックスタートが行われるのかをホームページなどで確認し、ぜひ参加してみましょう。