現在、手取りが20万円に満たない人の中には、手取り20万円に到達することを一つの目標としている人もいるのではないでしょうか。
しかしながら、手取りが20万円に到達したとしても、「東京で一人暮らしだと手取り20万円で満足する生活を送れるのかな」「地方在住で結婚する予定だけど、手取り20万円でやっていけるのかな」といった不安は残ると思います。
本記事では、そのような疑問を解消できるような、都市と地方、一人暮らしと一般世帯における手取り20万円の生活を具体的に紹介しています。
手取り20万円の給与所得はいくら?内訳と計算の仕方について
まず、手取り20万円を得るためには、月収(月の収入)がいくらになればよいのでしょうか。
それを考えるには、「収入」、「給与所得」、「手取り」について理解する必要があります。
収入は、税金や社会保険料が引かれる前の総支給額のことを指します。
給与所得は、必要経費にあたる給与所得控除などを収入から差し引いた金額です。
手取りは、給与所得から税金や社会保険料を差し引いた金額になります。
最終的に手元に残るのはこの手取り分であるため、生活に関わるお金の話をするときは手取りが重要になります。
・収入-各種控除額=給与所得
・給与所得-各種税金=手取り
※収入=基本額のほか、時間外手当、通勤手当、住宅手当、資格手当も含まれる
※各種控除額=収入から差し引かれる控除
※各種税金=社会保険料(厚生年金保険、健康保険、雇用保険)、税金(源泉所得税、住民税)
上記を踏まえると、手取り20万円に到達するには、前年の収入にもよりますが、月24万円程度の収入が必要になります。
年収にすると、ボーナスがない場合で約300万円です。ボーナスがある場合は、320万〜400万円程度になります。
ちなみに、2018年の国税庁が実施した「民間給与実態統計調査」によると、日本人の人口の約37%が年収300万円未満となっています。
これには、女性に多いアルバイトやパートで働く人も含まれているので、フルタイムで働いている人に限定すると、この割合は低くなります。
(広告の後にも続きます)
手取り20万円でできる生活とは
手取り20万円の人の生活はどのようなものなのでしょうか。都市部と地方に分けて、生活費の内訳を見てみましょう。
都市部×一人暮らし
まず、東京や大阪などの都市部在住で一人暮らしの場合の支出内訳です。
都市部に住むとなるとやはりネックになるのが家賃です。
支出の大部分を家賃が占めることになります。東京の一人暮らし物件の家賃相場は約8万円と言われています。
一般的に、家賃は手取りの3分の1の金額が目安となっており、手取り20万円ですと大体6万〜7万円になります。
都市部であっても、少し都心から離れた場所に部屋を借りたり、築年数が長い物件を選ぶなどすれば、家賃が7万円は十分可能です。
その他、食費や水道光熱費などの一般的な支出額で設定し、贅沢な暮らしをしなければ、月5万円の貯金も可能です。
突発的に大きい出費がある際に備えて貯金することは重要です。
【支出の例】
家賃 | 70,000円 |
食費 | 30,000円 |
水道光熱費 | 10,000円 |
通信費 | 10,000円 |
交通費(電車) | 5,000円 |
日用品 | 5,000円 |
その他(交際費、趣味、娯楽、衣服など) | 20,000円 |
貯金 | 50,000円 |
都市部×結婚
都市部在住で結婚していて、扶養者がいる場合はどうでしょうか。
手取り20万円から2人分の生活費を捻出しなければなりません。
誰かと一緒に暮らす場合、一人暮らしの時よりも広めの部屋を借りるのが一般的でしょう。
そうなると、自然と家賃も高くなります。しかし、手取り20万円の家賃の目安は先ほどお伝えした通り6万〜7万円です。
この金額を少しオーバーした家賃を支払うとなると、その他の支出額を抑えるしかありません。
扶養者がいる場合、食費や通信費、交通費など支出が2人分かさむことになるため、下記の支出例のように生活はきついでしょう。
毎月の貯金もわずかになるため、リタイア後のことを視野に入れると、扶養者にも仕事に就いてもらうか、自身の収入を増やす等する必要がありそうです。
【支出の例】
家賃 | 80,000円 |
食費 | 40,000円 |
水道光熱費 | 15,000円 |
通信費 | 15,000円 |
交通費(電車) | 10,000円 |
日用品 | 10,000円 |
その他(交際費、趣味、娯楽、衣服など) | 20,000円 |
貯金 | 10,000円 |
地方×一人暮らし
次に地方で一人暮らしをする場合の生活です。
地方と言っても地域によって生活水準は大きく変わります。
今回は、地方中枢都市を想定しています。
まず、都市部と大きく異なるのは家賃でしょう。
地域や物件の条件にもよりますが、一人暮らしの家賃相場は都市部よりも約3万円以上低いです。
ただ、地方の場合は車を保有していないと移動に支障が出る場合もあります。
車を持つ場合は、家賃の他に駐車場代がかかります。
その他、日々のガソリン代に加え、車検や車税、保険料が上乗せされます。(維持費は年間でかかる費用を12ヶ月で割った金額を維持費としています)
車の維持費によっては、地方に住むことによって家賃で浮いた分の支出額を超えてしまうかもしれません。
【支出の例】
家賃(駐車場代1万円含む) | 60,000円 |
食費 | 30,000円 |
水道光熱費 | 10,000円 |
通信費 | 10,000円 |
交通費(ガソリン代+車の維持費) | 7,000円 |
日用品 | 5,000円 |
その他(交際費、趣味、娯楽、衣服など) | 20,000円 |
貯金 | 50,000円 |
地方×結婚
地方在住で結婚していて扶養者がいる場合の支出内訳を見てみましょう。
都市部と違う点は、2人で一緒に移動するようにすれば、交通費は1人分の場合と変わらないという点です。
駐車場代があるといえど、都市部と比較すると家賃は抑えられます。
ですので、全体の支出を抑えることができれば、必然的に都市部での同様の条件下の生活よりは生活に余裕ができるでしょう。
しかしながら、心の余裕を持った生活ができるかというと、手取り20万円で生活していくにあたってはやはり厳しいでしょう。
【支出の例】
家賃(駐車場代1万円含む) | 70,000円 |
食費 | 40,000円 |
水道光熱費 | 15,000円 |
通信費 | 15,000円 |
交通費(ガソリン代+車の維持費) | 7,000円 |
日用品 | 10,000円 |
その他(交際費、趣味、娯楽、衣服など) | 20,000円 |
貯金 | 23,000円 |