やっぱりか――。そのような声が映画関係者の間から飛び交った。「第45回 日本アカデミー賞」の記者発表会が18日、都内で行われ、15部門の優秀賞と新人杯優勝が発表された。

 最多受賞に輝いたのは実に12部門で13の優秀賞を手中に収めた「孤狼の血 LEVEL2」だ。同作品で優秀助演女優賞、新人俳優賞のダブル受賞となった西野七瀬が注目を集めたが、受賞者とは別にもう1人、話題に上った“候補予想者“がいた。俳優・木村拓哉である。

 木村は昨年9月公開の映画『マスカレード・ナイト』(鈴木雅之監督)で主演。ホテルマンになりきり、潜入する刑事を熱演し、評判は上々だった。それが証拠に2021年の映画賞レースの幕開けとなる「第46回報知映画賞」で木村は同作品で主演男優賞を初受賞。映画関係者の間でも「日本アカデミー賞でも受賞確実」と目されていたが、いざフタを開けてみると優秀主演男優賞のノミネート5人の中にも名前はなかった。

 これについて「やはり、これまでの経緯が尾を引いているのではないか」と指摘する声は少なくない。かつて木村は2006年の主演映画「武士の一分」で優秀主演男優賞に水面下で選出されながらも、所属するジャニーズ事務所が賞レースに参加しない意向を示す方針をとっていたことから日本アカデミー賞受賞を辞退。授賞式には不参加の姿勢をとりながらも「武士の一分」はあらゆる映画賞を“独占“していただけに、こうした水面下の経緯を知らない人たちからは不可解な選考漏れに疑問が投げかけられ、事務局側が異例の事情説明を行わなければならない事態にまで発展したことがあった。

「だから今回のノミネート漏れも、この当時のことを根に持つ、日本アカデミー賞の協会員が数多くいたからではないか。ただ、近年のジャニーズは所属する俳優たちの授賞式参加にゴーサインを出し、むしろ積極的になっている。木村も報知映画賞で主演男優賞に輝き、授賞式こそ京都で撮影が入っていたため出席できなかったがビデオメッセージをきちんと式当日に送っている。それでも日本アカデミー賞に携わる投票権を持つ“有力者“たちとしてはやはり、あの『武士の一分』の時に生じてしまったミゾが簡単には埋まっていないという解釈をしているのだろう」と日本アカデミー賞にかかわる大手広告代理店関係者は裏事情を赤裸々に打ち明けた。

 ただ、木村本人は今回の日本アカデミー賞のノミネート選考漏れに関し、意外にもサバサバしながら全くショックを受けていないようだ。木村と親しい民放局のプロデューサーは次のように明かしている。

「木村さんは、むしろ今回の落選をプラスにとらえていますよ。『これは自分にとって“宿題“みたいなもの。アカデミー賞を受賞できなければ、また認めてもらえるような最高の演技をみせていければいいんじゃないですかね。逆に(賞を)もらって満足し切ってしまうほうが怖い。だから、全然ありなんじゃないですかね』ということを口にしてしましたよ。やはり木村さんはタダで転ぶような人ではないなと、あらためて確信させられました」

 どんな逆風を受けても意に介さず、前向きに己の道を突き進む。木村のポジティブ思考は2022年も不変のようだ。