顔のシワやシミを見つけて「老けたな…」と感じる人は多いと思います。しかし、実は人は顔からだけでなく、口の中からも老いているという事実が様々な研究から明らかになってきているんです…!
口の中の状態が悪いと、老いだけでなく全身の健康を損なう恐れもあるといいます。
そんな口の状態と健康についての最新の情報と、口腔ケア方法を、⽇本ヘルスケア協会 生き活きライフ部会主催のオンラインラウンドテーブルにて、ドライマウス研究会 代表 、前・鶴見大学教授(歯学部)斎藤一郎先生に聞いてきました。
老化のサイン!注意するべき“オーラルフレイル”とは?
口の役割は食べる・話す・笑う・歌うなど多岐に渡ります。また表情を作るという働きもあり「衰えてしまうと全身の健康に影響を及ぼしてしまうため、人生の最後まで維持したい機能です」と斎藤先生。
また、加齢や老化による要介護の前段階である「フレイル」という状態は、まず口から始まることがわかってきていて、これを「オーラルフレイル」と呼ぶのだとか。
具体的には滑舌の低下や食べこぼし、むせる、噛めないなどの状況が増えてきたら、オーラルフレイル状態に陥っている場合があるので注意が必要だそう。
その他にも口の老化のサインとして、上唇の縦しわ・口唇が薄くなる・フェイスラインのたるみなども筋力の低下や乾燥が進んでいる可能性もあるのだとか。
また70代以上の死亡原因の上位である誤嚥性肺炎やウイルスによる感染症など、口腔機能の低下が全身の健康を損なうことがわかっており、健康寿命を延ばすためにも口腔ケア対策が重要です。
歯がなくなると10年後の記憶力や身体的機能が低下し、歯周病は心血管障害や呼吸器感染、アルツハイマーや関節リウマチとの因果関係も示されていることなどが紹介されました。
(広告の後にも続きます)
口の中&全身の機能維持に必須な唾液の重要性
口の中には唾液が存在しますが、これがとても大事!と斎藤先生。
抗菌作用や粘膜を保護してくれる役割、さらに消化作用も。「よく噛んで食べなさい」というのはそれによって唾液が分泌され、胃に負担をかけないからだそうです。
そんな唾液ですが、加齢に伴い量が減り、65歳以上の3人に1人が唾液分泌障害、いわゆるドライマウスだということが明らかになっています。
ドライマウスは口の中が乾いたり、粘ついたりする症状が出ますが、これを常に自覚する重度の人の数は80万人もいるのだとか。さらに自覚者は女性の方が多いそうです。
ドライマウスに起因する病態として有名なのは歯周病や口臭、口の不快感等があるといいます。