タレントの明石家さんま(68歳)が、6月16日に放送されたラジオ番組「明石家さんま オールニッポンお願い!リクエスト」(ニッポン放送)に出演。2021年に亡くなった俳優・田村正和さんとの共演秘話を語った。

かつて、連続ドラマ「古畑任三郎」シリーズ(フジテレビ系)のエピソード「しゃべりすぎた男」(1996年)で、田村さんと共演した経験のあるさんま。田村さん演じる刑事・古畑任三郎と対決する犯人の敏腕弁護士役を演じたが、「弁護士の役は、セリフが今まで言ったことない言葉ばかりやから、感情が入らないんです。歌うように、憲法何条何々とか、何々法により何々でっていう風な言葉ばかりなんですよ」と、難しい言葉の連続にセリフ覚えに苦戦し、出演を後悔したと振り返る。

しかし、そんな作品でも田村さんはNGを出さなかったそうで、さんまは「一度聞いたことあるんですけど、『田村さん、どういうふうにセリフを覚えてはるんですか』って。俺は写真で撮って、写真で撮る覚え方をするんだけど、田村さんは焚き火。朝な、落ち葉を集めて、焚き火して、火を、炎を見ながらセリフを。毎朝。田村さんのドラマ、12時以降なんですよ、開始が。それやるから。朝、焚き火でセリフを覚えて、火を見ながらセリフを覚えてきて、NGを出さない。どんな長いセリフも」と、田村さんのすごさを語る。

ところが、ある日の撮影で「俺が悪いのか、変な動きをしたのか知らんねんけど、田村正和さんが、噛まわったんですよ。(そこでさんまは)現場を救うために、『田村さん噛みましたよ』言うて。『俺噛む前に、田村さん噛みましたよ。皆さん、田村さんさっき噛みましたよね。もう俺、噛んでも大丈夫やね』って言うて、(場を)笑わそうと」したところ、田村さんは落ち込み、スタジオは笑いも起こらずシーンと引いてしまったそうだ。

そこで一旦休憩に入ったが、さんまはADから呼び出され、「田村さん、今までNGを出したことがないんで、初めてのNGで。すみませんがさんまさん、『噛みよったで』って言わないでください、と。我々(古畑任三郎のスタッフ)、リアクションに困る」と言われたという。田村さんは怒っていたわけではないが、さんまは「田村さんに対しては、もう大失敗っていうか」「スタッフ。現場が凍り付いたの」とコメント。そして、それまで一度もNGを出していなかった田村さんについて、改めて「MG出してない田村さんって、すごくない?」と語った。