2024年夏アニメの初回放送が始まっています。さまざまな作品が高い評価を受けるなか、度肝を抜く展開で視聴者に衝撃を与えた作品もありました。
TVアニメ『逃げ上手の若君』キービジュアル (C)松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
【画像】えっ「地上波放送」しちゃったよ… これが過激な夏アニメです(4枚)
神作画とともに注目される夏アニメ
2024年7月という、1年の折り返しのタイミングでスタートした夏アニメ。今期も数々の名作が放送されることに期待がふくらむなか、1話で視聴者をさまざまな意味でざわつかせた作品がありました。
それが、『天穂のサクナヒメ』と『逃げ上手の若君』です。両作の「何」が視聴者の度肝を抜いたのでしょうか?
アクションと背景で今後の期待値バク上がり! 協力者にも注目
日本古来の「米づくり」を体験できる大人気アクションRPG『天穂のサクナヒメ』は、同人(インディー)メーカーが開発したゲームで、世界累計150万本を突破する「奇跡の大ヒット」を記録して大きな話題となりました。
同作のアニメ第1話で、とにかく魅了されたのが数々の名作画です。今作はそれほどアクションが多くなかったものの、「サクナヒメ」が羽衣を用いて神様が住まう天上世界「頂の世」の神都を飛び交うわずかな描写が見られました。そのなめらかな動きと立体的な挙動は、これから描かれるアクションシーンへの期待値を上げるには十分なものでした。
それと冒頭です。金色の稲穂が広がる田んぼのど真ん中でサクナヒメが地面へ倒れ込んだ瞬間、細かな草が飛び散る様子にも目を奪われます。細かな描写から見えるアニメーションは、どの部分を切り取っても非常に美しい背景描写でした。2話以降もこれを堪能できると思うと、ワクワクが止まりません!
また、『天穂のサクナヒメ』は取材協力に農林水産省と農研機構が、スポンサー提供にJA全農が付いているということでも話題となりました。同作はゲームにおいて、「農林水産省の公式ホームページが攻略wiki」と言われるほど、米づくりに対するガチ度で注目されています。アニメでも、そのガチっぷりがいかんなく発揮されるのでしょうか?
まるで映画のような作画からの落差
『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』など人気作品を手がけてきた松井優征先生によるマンガ『逃げ上手の若君』を原作とした同題アニメは、足利尊氏に抗い続けた幼将「北条時行」を主人公とした作品です。
作品を目にした第一声は、「映画かよ」のひと言でした。狭い廊下にて、武術指南役であるふたりの大人を翻弄し、鎌倉殿の屋根から屋根へと飛び交し、殺気あふれる戦場を縦横無尽に駆け回る、「日本中世版パルクール」にずっと見入ってしまいます。
ちなみに、筆者は崖上より戦場に叩き落とした「諏訪頼重」に抱きつき「死んだらどうする」と文句を言う彼の表情と、声優である結川あさきさんの演技に心を撃ち抜かれました……。
また今作では、作中のちょっとしたオマージュにも注目が集まりました。炎上する鎌倉の町で、立ち往生する母子の姿は、同様の時代を扱った大河アニメ『太平記』で描かれている母子と同じ構図が採用されているのだとか。
時代劇風なテロップも、一文字一文字手作業で書かれているなど、細かなこだわりや先人が撮ってきた作品へのリスペクトが散りばめられています。本編の描写はもちろん、次は制作者サイドの「真剣な遊び」が見られるのか、楽しみでなりません。