連続テレビ小説「虎に翼」で重要な役割を担っている、主人公・寅子(伊藤沙莉)の友人にして義姉の猪爪花江(森田望智)。その実際のモデルとなった人物は、生涯、夫への想いを大事にし続けていたという。

7月12日に放送された情報番組「ニュースーン」(NHK総合)では、花江のモデルになった人物について紹介。

今週の朝ドラ「虎に翼」では、家庭を顧みない主人公・寅子と友人にして義理の姉・猪爪花江が口論するなどある種の“修羅場”が描かれた。「虎に翼」の主人公・寅子のモデルとなった三淵嘉子さんを長く取材したNHK解説委員室解説主幹・清永聡氏は、花江のモデルとなった人物について「ご兄弟で戦死された方の奥さん、花江さんに近い人は存在します。それが武藤嘉根さん。今回初めてご紹介します」と話し、嘉根さんが、ドラマで言うと上川周作が演じた直道の妻であり、当時の2人の写真とドラマの中での写真を見せる。

清永氏はドラマの中で撮影された花江と直道の仲睦まじい写真同様、現実の嘉根さんの夫婦の写真も同様の雰囲気を持っており、清永氏は「この写真、わざと似せたわけではないんです。この写真は最近ご遺族から提供を受けたもので、偶然の一致なのですが、私も驚きました」と語る。

夫が戦死した後、嘉根さんは教員免許を持っていたので中学校や高校の教師となり、最終的には女子大の講師を務め75歳まで働いたそうで、清永氏は「彼女は再婚しませんでした。生涯、一郎さんへの思いを大事にし続けて、令和2年、99歳まで生き続けました。今は嘉根さんの遺骨は香川県の丸亀にある一郎さんの眠るお墓にあり、墓石には2人の名前が並んで刻まれています。実に75年の月日を経て、2人はまた一緒になったのです」と、ドラマ同様、夫への一途な思いを大事にしていたと語った。