杉野遥亮が主演を務めるドラマ「マウンテンドクター」(カンテレ・フジテレビ系)が、毎週月曜22時から放送中だ。本作は長野県松本市を舞台に、山岳医療の現場に放り込まれた青年医師が、さまざまな思いを抱えた山岳医や患者と触れ合い、現実と向き合いながら成長していく姿を描く山岳医療ドラマ。

 信濃総合病院に赴任し、過酷な大自然を相手に“山岳医”として奮闘することになる主人公・宮本歩を演じる杉野と、歩の同僚医師で歩の初恋の相手でもある村松典子役の岡崎紗絵、山岳看護師・鮎川玲役の宮澤エマ、歩の幼なじみで焼き鳥屋「しんちゃん」を営むバツイチ子持ちの小松真吾役を演じる向井康二に、作品の魅力や撮影現場でのエピソードを聞いた。

-本作の話を聞いたときの印象や脚本を読んだ感想、それぞれの役柄を演じるうえで大事にされていることを教えてください。

杉野 オファーをいただいたときは直感で面白そうだなと思いました。プロデューサーさんが長野県出身で、長野県を舞台にしたドラマを作りたいという気持ちを聞いて、熱い思いを持っている方と一緒に、お芝居を頑張りたいなと思いました。僕が演じる宮本歩は自分と共通する部分も多くあります。失敗するし、間違えるし、でも自分が思った道を行く人なので、共感を持ちながら、彼が愛される人になったらいいなと思いながら演じています。

岡崎 私はこのドラマの話をいただくまで山岳医療という分野を知らなかったので、山がこんなにも恐ろしい場所で、山の中で医療がこんなにも必要とされているんだなと勉強になりましたし、医療設備が整った病院と山小屋の中で行われる医療のギャップや臨場感も面白いなと思いました。私が演じる典子は芯が強い女性で、明るさや快活さも持ちながら自分が思ったことを言えるフラットさも持ち合わせている役柄です。お話の後半で、それまで見せていなかった部分や家族との問題も出てくるので、そこを繊細に演じたいなと思います。

宮澤 私が演じる山岳看護師は2022年の段階で日本に24人しかいない特殊な職業の役で、過去にトラウマになる事件が起きたことによって、山への向き合い方が分からなくなってしまった女性です。私は登山をしたこともないですし、自分に近いところが1つもないなと思いながら台本を読んだのですが、山の中で起きる事故や病気、それを治療していくチームの人間ドラマが描かれていて面白いなと思いました。考えてみると、日本の国土は大部分が山でできていて、山々に囲まれている国に暮らしているにも関わらず、都会に住んでいるとあまり感じないですが、山と共存して生きていくというのは、どういうことなのかと。医療もののテクニカルなことやヘリコプターが登場したりエキサイティングなところもありますが、根底に流れているのは、日本の人たちが山とどのように向き合って生きていくのかという大きな物語があるなと思ったので、そこにひかれました。

向井 この作品は山岳医療ドラマではありますが、歩をはじめとする登場人物1人1人にストーリーがあって、それぞれの過去がある中で今を頑張っていて。僕が演じるしんちゃんは、その過去を知っているので、皆が焼き鳥屋「しんちゃん」でお酒を飲んでいる姿を見ていると、グッと来るものがあります。人と人のつながりや命の大切さについて改めて気付かされるドラマでもあるので、それが大切に伝わってくれたらいいなと思います。しんちゃんは明るいように見えて裏では思うことがあるキャラクターなので、自分と似たようなところもあるのかなと思ったり…。バツイチの子持ちの役を演じるのは初めてなのでチャレンジではありますが、結婚歴がある感じや子どもとの関係性をうまく表現できたらいいなと思うので、楽しみに見てほしいです。

-杉野さんと向井さんは初共演となりますが、ドラマに入る前の印象と会ってみて印象が変化したことはありますか。また、皆さんの撮影現場での様子を教えてください。

杉野 向井さんは、よくしゃべる方だなと思いました(笑)。以前バラエティー番組で拝見したことがあったのですが、そのままの印象でした。これから先、物語の後半で2人で一緒にお芝居するシーンが増えるので、楽しみにしています。

宮澤 向井さんはムードメーカーですよね。カメラが回っているときも、いないときも全く変わらない方だなと思いました。最初はどんなふうに話し掛けたらいいのかなと思っていたのですが、近所にフラッとやって来たような感じで「どうも」と、すごくフラットに接してくださって(笑)。

岡崎 私も撮影初日は、すごく必死で緊張していたのですが、焼き鳥屋「しんちゃん」で撮影しているときに予定外に電話が鳴るハプニングがあって、そのときに向井さんが「誰か取って~何かの配達かな~?」と言って笑いに変えていたので、その対応力の素晴らしさに驚きました。

宮澤 まさに店のオーナーの“しんちゃん”がそこにいたよね。

向井 僕は撮影初日は1日中、焼き鳥を焼いていたので、焦げ具合とかいろいろあって、正直焼き鳥に夢中でしたね。帰りにマネジャーさんの車が臭くなってしまって、匂いはつきましたけれど、やっぱりお芝居は楽しいと思いましたし、これから楽しい皆さんとどんどん近づけたらいいなと思っています。実は2クール前のドラマでバーテンダーの役をやっていて、それをきっかけに焼き鳥店の店主役のお話が来たので、バーテンダーから焼き鳥店に転職しました(笑)。焼き鳥屋「しんちゃん」が皆さんの憩いの場になればいいなと思います。

-向井さんは現場のムードメーカーというお話が出ましたが、ほかの御三方は、それぞれご自身に現場でのポジションを付けるとしたらいかがですか。

宮澤 私はなるべく現場の空気を読んでバランスを取って、皆さんの橋渡しになればいいなと思っています。バランサー的な存在を目指します。

岡崎 私が演じている麻酔科医は、いろんなことを引きで見て全身管理しなくてはいけない役割なので、自分のことで精いっぱいではありますが、私自身も現場でも少し引いて客観的に見る視点が持てたらいいなと思います。

杉野 僕は役に集中したいときは1人で静かにしていることが多いので、その代わり、少し差し入れを多めにしたいなと思って、そこでバランスを取っています。スタッフさんも遠い場所でのロケは移動なども大変で疲れていると思うので、“差し入れ係”としても頑張ります。

(取材・文/小宮山あきの)