『ONE PIECE』のシャンクスは、物語初期から登場しながらもその強さはまるで未知数です。そんな彼が満を持して本格的なバトルを繰り広げるエピソードが、ついにアニメで放映されます。これに先駆け、シャンクスが放つ「必殺技」の意味について注目してみました。
「Portrait.Of.Pirates ワンピース“Playback Memories” 赤髪のシャンクス」(メガハウス) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
【画像】え…っ? 「かっこよすぎる」「エフェクトも最強」 こちらが「神避」を繰り出す瞬間のロジャーです(3枚)
海賊王から受け継がれた必殺技
『ONE PIECE』の「シャンクス」は物語の第1話から登場するキャラクターで、作中最強格とされつつも、その強さや能力は本編で描かれたことがありませんでした。ですが、ついに2024年7月14日(日)放送のアニメ第1112話で、原作に続き本格的なバトルを繰り広げ、真の実力を発揮します。
※この記事では『ONE PIECE』のアニメ化されていないストーリーの記述を含みます。
今回放送される「激突!シャンクスVSユースタス・キッド」は、原作の第1079話に該当するエピソードです。「キッド海賊団」がエルバフに停泊する「赤髪海賊団」を急襲してきたことを受け、シャンクスがひとり前線に立ち、必殺技「神避(かむさり)」で「キッド」に対抗する、という内容になっています。
原作でこの戦闘シーンが描かれた当時、読者の間では大きな反響が巻き起こりました。というのもシャンクスの必殺技が作中で初めて披露されたうえ、その技が伝説の海賊王「ゴール・D・ロジャー」が使っていたのと同じ神避だったからです。
ロジャーが神避を使用したのは、「ワノ国編」の過去編にて、「光月おでん」と戦ったときのことでした。刀身に「覇王色の覇気」をまとわせる技で、非能力者であるロジャーを象徴する技でもあります。その技をシャンクスも使用しているということは、やはり彼もまたロジャーと同じ非能力者である可能性が考えられるでしょう。
もしそうなら「新四皇」である「モンキー・D・ルフィ」「バギー」「マーシャル・D・ティーチ(黒ひげ)」と違い、彼だけが非能力者ということになります。さらにそれぞれの「悪魔の実」の能力と照らし合わせると、「神の力vs神殺し」というテーマが浮かび上がってきました。
ルフィが食べた悪魔の実「ゴムゴムの実」のもうひとつの名が、「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル:ニカ」であることは、もはや周知の事実でしょう。また、同じ四皇のバギーと黒ひげに関しても、「神の異名」を持つ悪魔の実の能力者とする考察が囁かれています。
「インペルダウン編」にて、バギーの能力は含みのある言葉で紹介されていました。「クロコダイル」や「ボン・クレー」ら他の能力者は「スナスナの実」などと悪魔の実の名前が明記されたうえで説明されるなか、バギーだけ「『バラバラ』の能力解説」と遠回しに表現されていたのです。これはゴムゴムの実と同様、「バラバラの実」にも神にまつわる異名、能力が存在することを示唆しているのかもしれません。
また、「ヤミヤミの実」は歴史上もっとも凶悪な悪魔の実とされており、黒ひげは「悪魔の実図鑑」を読んだうえで自身の能力に選んでいました。それだけ悪名高い悪魔の実なら、神の能力を有していてもおかしくない気がしてきます。
作中では、「動物(ゾオン)系」の悪魔の実には「意思が宿る」と言われてきました。黒ひげは「ポートガス・D・エース」と戦ったときに、「この能力は俺を選んだ」と語っており、もしかするとこれは、「実はヤミヤミの実の正体は動物系の『幻獣種』の能力で、その意思によって黒ひげに食べられることを選んだ」ということを示唆しているのかもしれません。黒ひげは「白ひげ海賊団」時代の仲間「サッチ」を殺して、ヤミヤミの実を奪ったと言われていますが、その際に何か運命が黒ひげに味方するような出来事があったのでしょうか。
バギーには神避は効かないのか?「フィギュアーツZERO [EXTRA BATTLE] 道化のバギー -頂上決戦-」(BANDAI SPIRITS) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
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日本神話にも出てくる「神避」
そして、もし新四皇のうち3人が神に由来する能力を持っているなら、神避はそれに対抗するための技、という説も考えられます。神避は古事記も出てくる言葉で、日本神話の神「イザナミ」が火の神「火之迦具土神(ヒノカグツチ)」を産んだことで火傷を負い、死んだときに使われていました。このように「神の死」を意味する技だとすると、やはりシャンクスは他の3人にとっての天敵となり、大きな脅威として立ちはだかることになるのではないでしょうか。
後に四皇となる、ルフィ、バギー、黒ひげ、シャンクスが描かれていた単行本25巻の表紙の中央には、紙を食べるヤギ(当時の海軍元帥「センゴク」のペット)が描かれていました。ヤギが食べている紙の数は、見る限りおそらく3枚で、「このうちの3人が『神(紙)』の悪魔の実を食べている」ということを表しているのかもしれません。
また、シャンクス以外の3人はこの表紙で大きく口を開けており、これは25巻をセルフオマージュした105巻の表紙でも同様でした。やはり、ルフィ、バギー、黒ひげはシャンクスと対照的な存在ということなのでしょうか。
ただ、神避はあくまで剣の技なので、斬撃系の攻撃を無効化できるバギーとは相性が悪そうではあります。腐れ縁でもあるシャンクスvsバギーの戦いは、もしかしたら一筋縄ではいかないかもしれません。
果たしてシャンクスの必殺技「神避」が意味するものとは、何なのでしょうか。この技はシャンクスが麦わら帽子を託した、ルフィ(太陽神ニカ)にも向けられるのでしょうか。とにもかくにも、まずは来たる7月14日の放送でその威力を見届けましょう。