空港には24時間離発着が可能なところがある一方、市街地やその近郊にある場合は、騒音など環境への配慮から深夜から翌朝は利用できない。主要空港では23年度の旅客数4位の福岡空港は22時以降、同7位の伊丹空港は21時以降の離着陸が原則不可だ。
昨年9月と今年5月には、マニラ発福岡行きのセブ・パシフィック航空の到着が遅れる事態が発生。一度は約450㎞離れた関西空港へ着陸、一度は出発地のマニラに引き返している。また、3月には羽田発福岡行きのANAの臨時便が機材繰りの関係で出発が遅れ、到着地が北九州空港に変更された。
国内の各空港は、航空法によって離着陸可能な時間帯が定められている。実は、国内の空港で24時間利用可能なのは、羽田、関西、中部、新千歳、北九州、那覇の6空港のみ。なかでも羽田は夜間も国内線が数多く飛んでいるが、目的地の空港に門限が設定されている場合、出発時間が遅い便ほど到着できないリスクが高まることになる。
多少の遅延なら挽回も可能だが、これにも限度がある。それに到着先の空港上空が着陸待ちで混雑していることも少なくない。
羽田発福岡行きであれば、20時発のスターフライヤーとスカイマークの最終便の到着予定時刻は21時55分(※24年7月時点。以下同じ)で門限5分前とギリギリ。ANAは21時30分、JALは21時35分が最終便の予定到着時刻だが、どちらも多少の遅延が命取りとなる。
羽田発伊丹行きに関しても同様で最終便はJALが20時30分、ANAは20時35分。他では羽田発鹿児島行きのJALの最終便も到着が21時15分。門限15分前とタイトだ。
とはいえ、1分1秒の遅れが問答無用で着陸不可となるわけではない。悪天候が理由との条件はつくが、その場合は多少であれば門限オーバーの着陸も許容されている。実際、羽田が雷雨に見舞われ、夕方以降の多くの便が遅延・欠航となった7月6日には、スカイマーク機が福岡空港に22時8分に到着している。
確率的に出発地への引き返し、代替空港に着陸するケースは稀だがゼロではない。最終便など遅い時間に出発する便には、多少のリスクが存在することは知っておこう。
(高島昌俊)