工事現場の監督から、「外してはいけない場所でヘルメットを外した」と、注意されたひとりの作業員。連帯責任として、同じ班の作業員たちが、理不尽な罰を科されてしまい……。Instagramで公開されたマンガが、「悪しき慣習ですよね」と話題の作者、福田雄一さんにお話を聞きました。



マンガ「現場の恐怖政治」のカット(福田雄一さん提供)

【マンガ本編】現場監督「連帯責任でトイレ掃除!」 今でもなくならない理不尽な罰が「完全にアウト」

ヘルメットをずらして汗を拭いたら罰!?

 横暴な現場監督から理不尽な罰を与えられた出来事について描いたマンガ「現場の恐怖政治」が、Instagramで合計2万3000以上のいいねを集めて話題となっています。

「外してはいけない場所でヘルメットを外した」と、汗を拭っていたひとりの作業員が現場監督から注意を受けました。そして連帯責任として、4人の作業員たちが罰を科されてしまい……。読者からは、「悪しき慣習ですよね」「危険な現場だからこそ、気を引き締めろってことなんですかね……」「時代は変わっているのに」などの声があがっています。

 このマンガを描いたのは、Instagramでマンガを発表している、イラストレーターの福田雄一さんです。福田雄一さんに、作品についてのお話を聞きました。

ーー福田さんの学生時代には、理不尽な「恐怖政治」がありましたか?

 私が学生の頃は、殴られることが当たり前の時代だったので、基本的に毎日が恐怖政治でした(笑)。

ーー福田さんは、このような現場の「恐怖政治」についてどのような考えをお持ちですか?

 いまの時代では完全にアウトだと思うのですが、大分マシになったとはいえ、現場ではまだ伝承されているように感じますね。「ないに越したことはない」とは思っていますが。

ーー「恐怖政治」をなくすために、どのようなことが必要だと考えますか?

「権力を持つと、勘違いする人」は一定数いると思っているので、人が人である限り、恐怖政治を完全になくすことは難しいのではないでしょうか。

ーー作品について、どのような意見が寄せられていますか?

「これは理不尽ですね」と今回のエピソードに同情していただける意見や、「似たような経験がある」という共感の意見などが多かったです。

ーーこの作品の制作には、どのくらいの時間がかかりましたか? また、描くときにこだわったポイントを教えて下さい。

 2、3時間程度です。仕事仲間の学生時代の思い出を再現した部分にこだわりました。

ーー今回のマンガを描いたきっかけを教えて下さい。

 現場では、普段の生活ではなかなか見られない出来事がたくさん起こります。今回は、そのうちのひとつをマンガにしてみました。