『ドラクエ3』で定番のパーティ編成といえば、「勇者・僧侶・魔法使い」に前衛職を加えた形がポピュラーです。しかし、その前衛職に「戦士」を選ぶか「武闘家」にするかは、誰にとっても悩ましい問題でしょう。
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』 画像は同作のAndroidアプリ版
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多くのプレイヤーが悩んだ、「戦士」か「武闘家」の選択
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、当時発売されたファミコン版はもちろん、後にリメイクされたスーパーファミコン版なども好評を博し、多くのゲームファンを虜(とりこ)としました。
本作のプレイ経験は忘れがたい思い出となり、何十年経っても鮮やかに蘇る楽しい記憶です。そうしたファンの根強い支持もあり、スマホを含む現行機向けにも『ドラクエ3』がリリースされており、まさしく時代を超えて愛されています。
マグミクスでは、そんな『ドラクエ3』のおすすめパーティ編成を紹介する記事を公開したところ、「自分はこういう編成で遊んだ」というコメントが数多く寄せられました。個性が光るものから効率的な攻略を狙う編成まで千差万別だったなか、特に多かったのは勇者、僧侶、魔法使いに前衛職を加えたパターンです。
ただし前衛職の候補は、「戦士」と「武闘家」で大きく意見が分かれました。それぞれに強みとネックがあるため、意見が二分されるのも当然の話です。このふたつの職業にどんな違いがあるでしょうか。
戦士は、攻防を備えた「安定感抜群」の前衛!
「戦士」は「ちから」と「たいりょく」が成長しやすく、戦闘で重要な「HP」も高くなるのが嬉しいポイントです。
誰かのHPが0になると、戦力はその分減少します。特に前衛を務めるキャラクターが倒れると、後衛が被弾しやすくなり、立て直しも困難になりがちです。その点、戦士はHPの高さから、盾としての役割も力強く果たしてくれます。
この戦士の守りをさらに固めてくれるのが、豊富な装備品の数々。装備可能な武器と防具が多く、その時その時で最高クラスの武具で固めれば、抜群の安定感を発揮します。もちろん攻撃面も頼もしく、重い一撃を着実に放つさまは重戦車のごとくです。
魔法使いの呪文攻撃も強力ですが、MPを消費するため連発はできません。特にダンジョン攻略といった長期戦では、MPの消費を抑えて進むのが基本なので、モンスターを倒すのはできるだけ前衛職に任せたいところ。この仕事を確実にこなしてくれる戦士の力強さは、頼もしいの一言に尽きます。
戦士の強さは着実で、序盤から終盤まで大きく変わることはありません。むしろ終盤は優れた武具が揃うため、最終的な攻撃力と守備力は武闘家を上回ります。また、装備の選択肢が多いため、攻撃力や守備力だけでなく、特徴や耐性目当てに装備を切り替えられる強みも併せ持ちます。
こうした強みを持つ戦士ですが、各種の装備が前提の強さなので、折々で装備品の購入が求められ、支出が増えやすいというネックがあります。もちろん、最新の装備を買わずに済ますという選択肢もありますが、装備が強さに直結するため、持ち味を活かせないのはジレンマに他なりません。
また、「すばやさ」が低く、成長もあまり見込めないのも難点のひとつです。「すばやさ」は戦闘の順番に大きく影響するため、行動順がどうしても遅くなりがちです。敵からの被弾を抑える最善の方法は、「攻撃される前に倒す」こと。しかし戦士の場合、敵の行動後に攻撃する場合も多く、被弾を未然に防ぎにくいのは残念な点です。
ただし、「すばやさ」の低さが有利に働くケースもあります。例えば、味方から「バイキルト」をかけてもらう場合、魔法使いや賢者より行動順が早いと、攻撃後に「バイキルト」がかかり、そのターンの支援を無駄にしてしまいます。
しかし戦士の場合、「すばやさ」が低いことが幸いし、「バイキルト」がかかってから攻撃しやすいので、無駄が少なくなります。「遅い」のはネックですが、それを活かした戦術を組めば、戦士の強みをより発揮できるでしょう。
HD-2D版『ドラクエ3』の戦闘画面。女戦士は、鎖鎌を手に持ち、腰には剣を差している。(C)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
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安定性の「戦士」に対して、「武闘家」の強みは?
「武闘家」も頼もしい前衛職で、特に目立つステータスは「ちから」と「すばやさ」です。ステータス面だけで比べると、戦士はHPがより高く、武闘家は「すばやさ」が強みといえるでしょう。
装備の面では真逆に近く、「武闘家」が身に着けられる武具はごく一部です。特にファミコン版ではかなり限られており、デメリットなしで装備できる武器は「てつのつめ」のみ。防具も、「みかわしのふく」が効果込みで最強クラスの防具といえます。
この辺りの事情はリメイク版で少し変わるものの、ともあれ身に付いた武術で戦う武闘家は、装備品で底上げできる幅が少なめです。しかしそれは、身体能力だけで十分戦えるという特徴でもあります。
その身ひとつで戦えるのは、優れた「ちから」が攻撃力を高め、「すばやさ」が守備力を一部補ってくれるためです。加えて、レベルを上げれば上げるほど、絶大なダメージを叩き出す「かいしんのいちげき」が出やすくなり、これが戦闘で大いに役立ちます。
通常攻撃も前衛職として十分、そして「かいしんのいちげき」で大ダメージも狙えるとあれば、その強さに惹かれる人が多いのも頷けます。自身の能力だけでこれだけ戦えるため、装備品が少なくともさほどデメリットにならず、むしろ「お金がかからない」というメリットがあるといえるほどです。
そして「すばやさ」の高さから、行動順もトップクラスの速さ。戦士では難しかった「敵が攻撃する前に倒す」を実行できるのも、大きな強みです。この素早さは物理攻撃だけでなく、例えば「いかずちのつえ」や「ゆうわくのけん」といった武器をアイテムで使う際にも役立ちます。
特に「いかずちのつえ」は、複数の敵を一度に攻撃できる手段です。これを武闘家に使わせたら、ベギラマと同程度の効果を真っ先に発動できます。武闘家+「いかずちのつえ」は、お勧め度の高い組み合わせです。
この職ならではという強みが多い武闘家ですが、戦士と比べた場合、どうしても安定性に欠ける面は否めません。「かいしんのいちげき」は強力な反面、常に発動するわけではなく、どうしても運に左右されるため、「欲しい場面に出ない」という恐れはつきまといます。
通常攻撃や守備力も、最適な武具を身に着けた戦士には敵いません。その傾向は特にファミコン版が顕著で、耐性を持つ防具を装備できる戦士と、装備できない武闘家の間には、超え難い差があるのも事実です。
ただし、スーファミ版などのリメイク作では、武闘家が装備できる武具が増え、その差は縮まっています。特に女性の武闘家なら、「ひかりのドレス」で身を固めることができます。
リメイク版でも、安定性の点では変わらず戦士のほうが有利ですが、武闘家の躍進ぶりも凄まじく、だからこそいっそう意見が分かれるのかもしれません。
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勇者・僧侶・魔法使いを前提とし、そこに加える前衛職の選択は、どの時代でも変わらずさまざまな意見が飛び交っています。前述の「戦士」と「武闘家」が有力候補ですが、「僧侶」や「賢者」の武器攻撃に期待する人もいました。その場合、武器によるダメージは少なめですが、豊富なMPを活かし、呪文攻撃や回復魔法で補う戦略となります。
またリメイク以降は、戦士や武闘家ではなく、新たに加わった「盗賊」を入れるという人も少なくありません。もちろん、好みで「商人」や「遊び人」を加え、クリアを目指す猛者もいました。
定番の「勇者・僧侶・魔法使い」に、もうひとり誰を加えるか。この選択は、昔から非常に悩ましい問題です。しかも、HD-2Dで蘇る『ドラクエ3』が2024年11月14日に発売されるので、単なる思い出語りだけでなく、これからのプレイに関わる「いまの問題」でもあります。あなたなら、鉄板の組み合わせにもうひとり、どの職業を加えますか?