ゴルファーに「もっとも嫌なミスは?」と聞くと、さまざまな答えが返ってくるが、「ショット系のミスは『それはなぜ?どうなってしまうから?』と詰めていくと『OB を打ちたくないから』になります」とマスター今野。
たかが 1 打罰ではない “OB の恐ろしさ” について深く語る。
OBでの1打罰はかなり重い!
ヒデ 俺の今の課題はOBや池に打たない。セカンドでダフらない、アプローチを何度も打たない、3パットをしない、なんだけど。
今野(マスター) たくさんありますね(笑)
ヒデ そうなんだよ。だから今日はマスターに、どれから手をつけたらいいのか、を聞きにきたのさ。
今野 ズバリ!OBをなくす、です。
ヒデ 即答だね。短い距離でのムダな打数が多いのが気になってから、グリーンまわりでのミスを減らすことかと思った。
今野 ショートゲームの強化も必要ですが、まずはOBですね。ヒデさんは昨年100切りを達成し、今年は90切りともう100を打たないゴルファーを目指すことになり「OBと戦う時期」に入ったのです。
ヒデ 100叩きのころも戦っていたけど!
今野 腕が上がると同時にOBのリスクも上がったのです。
ヒデ うまくなったのに?
今野 100切りを目指していたころは、OBまで届くほどの飛距離も曲がりも出ていなかった。マネジメントもOBから離れた安全なエリアへ、だったのが、パーが獲れるように狙いを絞るようになりましたよね。
ヒデ そりゃ、飛距離も方向もある程度、狙いどおりに打てるようになったし、100切り用のゴルフじゃ90切りは無理だし。
今野 飛べば大きく曲がりやすい。攻めればリスクも高まる。それでOBが増えているんですが、OBはペナルティのなかでももっとも凶悪なのです!
ヒデ 凶悪とは物騒な。
今野 いいえ。アウト・オブ・バウンズ。プレー区域外から外れたものに対して残酷すぎる仕打ちです。日本には前進4打というローカルルールや、 19年の改定から「OBに入った地点の近くから2打プラスして」というルールもありますが、基本的には同じ位置から打ち直し。距離は1ミリも進まず、状況も何も変わらずに1打罰を受ける。
ヒデ たしかに、池や1ペナは前に進めるか。
今野 その恐怖が1打目から訪れる。OBを打ってしまったら、ゲームプランや動揺してメンタルも崩れてしまう。スコアはよくてダボ。取り返す余地もほぼなし。あぁなんて恐ろしい罰なんだ……。「神よ、いったい私が何をしたというんだ」という気持ちになります。
ヒデ 何って、OBを打ったからじゃない(笑)
今野 そうなんですが、正気を失うほどだってことです(笑)
ヒデ しかし、そう聞くと確かに重い罰だね。なのに、その恐怖への認識が薄かったわ。で、打たないための秘けつは?
今野 私の場合は、何万発とOBを打つことで克服しました。すると、OBを打ってしまう成分がわかってくるんですよね。
ヒデ そりゃ無理だわ!しかも、打ちたくないっていってんのに。要は曲げなければいいんでしょ。
今野 そうですね。「ティーショットで一番イヤなミスは?」と聞くと、チーピンやヒッカケという人が圧倒的に多い。それは結局、ボールがコースアウトしやすい。OBになりやすいからなんですよ。
ヒデ なるほどねぇ。元をたどればOBか。
今野 上級者が「ショートゲームの精度やレベルを上げたい」というのは、すでにOBは滅多に打たない腕前があるから。平均スコア90台の人は、そこは上級者らしい考え方をマネるのではなく、まずはOBを打たなくなってから次の課題に進んでください。
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OBは2打罰とカン違いするほど凶悪なペナルティ!
1打罰のなかで、もっとも恐るべきペナルティはOB!「ルールを覚えたてのころ “OBは2打罰” とカン違いしてしまうのも、受ける罰がほかよりも重いからです」と今野。
OBはロングショットほど打ってしまうリスクが高まるので、100ヤード以内まではとくに「OBだけは打たない!」を優先するコースマネジメントを心がけよう
マスター今野一哉
●こんの・かずや/1982年生まれ。本企画「スナックこんちゃん」のマスター兼ゴルフのプロコーチ・RainbowFM(88.5MHz)の「サタマ二♪」(第2土曜15:00-16:00オンエア)で、ラジオパーソナリティも務める。キッズゴルフクラブ代表。
写真=鹿野貴司
イラスト=野村タケオ
協力=LaFace