(画像はAIで生成したイメージ)
政府は今年12月2日に現行の「紙の保険証」を廃止するため、医療機関への支援金倍増まで打ち出し、「マイナ保険証」の利用促進に躍起になっている。
「政府は今年4月時点でマイナ保険証の利用率が6.56%と発表した。これを昨年4月の6.30%を上回り過去最高になったと宣伝しているが、裏返せば現状では約94%の人がマイナ保険証を利用していないということ。しかも、医療機関での利用率が増えているわけではありません」(医療ジャーナリスト)
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一体どういうことか。
「主に薬局です。ある薬局は患者に『マイナ保険証でなければ薬は出せない』との誤解を与えて謝罪に追い込まれた。また、医療機関でも通常の紙の保険証の患者より、マイナ保険証の患者の治療を優先して抗議を受けるなどのトラブルも多数発生しています」(同)
武見敬三厚労相は「1人でも多くの方にマイナ保険証を利用していただくように全力で取り組んでいく」と語っているが、患者からは「使いたくない。面倒くさい」の声が圧倒的に多い。
「患者さんが使いたがらない」
東京・江戸川区の内科クリニック院長が言う。
「マイナ保険証と通常保険証の2枚持って来た患者がいた。窓口で両方を見せて、看護師に『どちらを使えばいいですか?』と聞くので、『どちらでも大丈夫ですよ』と答えると、通常保険証を使っていましたね」
この院長は、診察中に患者に「なぜ通常保険証を選んだのか」と尋ねたそうだ。
「そうしたら、『面倒だから』と言われました。確かに、マイナ保険証はカードリーダーで認識させる時間と複数回《同意する》というボタンを押さなければならない。その点、紙の保険証は出すだけで済みますからね」(同)
5月から7月は「マイナ保険証利用促進集中取組月間」として、医療機関にトークスクリプト(説明用のマニュアル)を配布している。
それによると、患者に利用促進を呼びかけた病院には最大20万円、診療所と薬局には同10万円を支給。今後はさらに倍増させる方針という。
「マイナ保険証利用促進に協力すれば、協力金をもらえるといっても、肝心の患者さんが使いたがらない。強制はできませんよ」(千葉県市川市の『藤巻耳鼻咽喉科』藤巻豊院長)
実際、12月に紙の保険証が廃止されたらパニックになりそうだ。