巨大地震と豪雨が同時に街を襲う恐れも(画像はAIで生成したイメージ)

7月4日午後0時12分ごろ、千葉県東方沖でM5.4、最大震度4の地震が発生した。

「この震源域で震度4以上の地震が発生したのは約4カ月ぶり。今年の2月29日~3月2日まで3日連続で震度4の地震が観測され、陸側と海側のプレート境界部がゆっくりずれ動く『スロースリップ』も確認されていました。再び千葉沖が揺れ出したのは不気味です」(科学ライター)

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昨年には関東地方で震度5クラスの地震も頻発し、これが東日本大震災の割れ残りを刺激するとの見方もある。

「そのため、東北沿岸の大地震を誘発する危険性も指摘されていますが、それ以上に警戒すべきは、やはり南海トラフ地震ですよ」(同)

今年4月3日には、台湾でM7.2、最大震度6強の大地震が発生。地震学者の間では、「日本と台湾の地震は兄弟関係にある」と言われているが、それが証明された。

「2週間後の4月17日に、九州と四国の間の豊後水道を震源とするM6.6の大地震が発生し、愛媛県愛南町などで最大震度6弱を観測しました」(同)

日台で大地震が起きたこと、以前から指摘されていた南海トラフ地震の震源域が大きく揺れたことで、一気に緊迫度が増しているというのだ。

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「いつ本震が発生しても不思議ではない」

防災ジャーナリストの渡辺実氏が言う。

「南海トラフ地震の震源域(豊後水道)で、このような大地震が起きたことを考えれば、いつ本震が発生しても不思議ではない。私は宮崎県東部の日向灘沖辺りから割れだす(発生する)ことになるとみています」

前出の科学ライターも、こう指摘する。

「実は、気象庁には南海トラフ沿いでM6.8以上の揺れが観測された場合、南海トラフ地震との関連性を伝える『地震臨時情報』を出すとした取り決めがある。豊後水道で発生した地震は、マグニチュードこそわずかに足りなかったが、ほぼこの状況に当てはまるのです」

ちなみに同地震が起きた場合、被害に遭うのは南海トラフが延びる東海から九州沿岸部にかけての地域と思われがちだが、首都直下地震と連動する恐れもあるという。

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が解説する。

「その証左となるのが、江戸時代末期の1854年に起きた安政東海地震(M8.4)です。同地震は駿河湾から遠州灘沖、熊野灘を震源として発生したが、32時間後に今度は紀伊半島から四国にかけて安政南海地震(M8.4)が発生。翌年11月には首都直下地震にあたる安政江戸地震が誘発され、1万人余りが死亡した。そのため、現在は南海トラフ地震に加え、首都直下地震も危惧されているのです」

なんとも恐ろしい話だが、こうした見解は今や政府や地震学会でも定説になりつつあるという。

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避難先で水害に襲われる

さらに、今夏は殺人的な暑さが続くと予測されている。

その原因の一つが、日本列島上空を覆う太平洋高気圧の上に、中国大陸から張り出したチベット高気圧が重なる「ダブル高気圧」と呼ばれる現象だ。

これは猛暑をもたらす典型的な気圧配置で、殺人的な暑さで熱中症患者が急増しているのはダブル高気圧の影響とされる。

「これからの時期に南海トラフ地震が起これば、想定以上の死者数になるのは間違いない。運よく本震で生き延びることができたとしても、停電が長引けば避難所は灼熱地獄になる」(災害取材を担当する記者)

しかも、気象庁は今夏の西日本の降水量を「平年並みか平年より多い」と予想。梅雨明け後もゲリラ雷雨などの発生に注意を呼びかけている。

「2018年には西日本豪雨に見舞われた。15個もの線状降水帯が発生し、記録的な大雨と川の氾濫、土砂災害などで多くの死者を出した。南海トラフ地震が発生し、多くの人が逃げ込んだ避難先を水害や土砂崩れが襲う最悪のケースも想定しておくべきです」(同)

日本海側でも能登半島地震が起こった今、日本列島に逃げ場はない。