「世界を目指せる芸」とトミーズ雅を唸らせた 『UNDER5 AWARD 2024』優勝の若手ピン芸人・清川雄司に迫る!

芸歴5年目以下の超若手芸人のNo.1を決める賞レース『UNDER5 AWARD 2024』で見事、優勝したピン芸人の清川雄司。彼の実力をいち早く見抜き、注目していたのがトミーズ・雅でした。自身がレギュラーを務めるMBS『せやねん!』(関西ローカル)で清川が特集された際に、「彼はすごい!」と大絶賛していたことも話題に。普段からさまざまな芸人と交流を深める雅の目に清川はどう映っているのか、直撃してきました。清川本人のインタビューと合わせてどうぞ。


出典: FANY マガジン

「よくこんな芸を思いつくな」と愕然とした

6月23日(日)に行われた『UNDER5 AWARD 2024』決勝に出場した清川は、ホッピングに乗ってハーモニカを吹きながら縄跳びをしたり、けん玉をしたりするネタで観客のド肝を抜き、見事、優勝を飾りました。

紙切りや腹話術、コサックダンスなど数々の「一芸」をシュールな間合いで披露する、若手世代の中ではひと際オリジナリティあふれる芸風。その清川を以前から絶賛していたトミーズ・雅に、その魅力や今後への期待を聞きました。

──清川さんのネタを初めて見たのはいつですか? そのときの感想は?

審査員を務めているNHK上方漫才コンテストで5分間ネタを見ただけで、実はまだ1回もしゃべったこともないねん。でも、腹話術は上手いし、切り絵をしながら、ハーモニカを吹きながら、あんな芸ができるのが怖い。

僕らの時代は、遊びたいし、モテたいから芸人の世界に入って無茶苦茶する人も多かったけど、清川くんなんて、ぜんぜん遊んでへんのとちゃうかな? と思うくらい、努力が見える。野球のことだけ考えて、関係のないことは省いていくメジャーリーガーの大谷翔平と清川くんは一緒やねん。


出典: FANY マガジン

あの芸があれば、なんばグランド花月はすぐに出ることができると思う。むかしは、寄席でアクロバットとか即興で絵を描いたりする人もいたから、清川くんもまずは“すごい枠”で出してもらったらいいと思うわ。

──まだ芸歴4年目なのに、雅さんにそこまでほめてもらえるのもすごいですね。

あの子は一生食えるよ。ライバルもおらへんやん。あんなところは誰も目指さへん(笑)。ただ、芸がすごいのとフリートークがおもしろいというのは真逆やから、今後、彼がどっちの方向にベクトルを持って行くかやなぁ。おもしろさを突き詰めずに、すごいといわれるほうに持っていくのか……。俺ら漫才師はおもろなかったらアカンけど、清川くんは芸のすごさを突き詰めるのもいいのとちゃうかな?

──清川さん的にはすごいだけじゃなく、おもしろさでも評価されたいそうです。

この世界、24時間おもしろいことを考えて、おもしろくなるための行動をとった人間だけが売れているからな。起きている間、なんやったら寝ている間も、夢の中ででもおもろいことないかなーって考えている。考える時間が23時間59分やと負けるから。

そらせやで、漫才なんてしゃべるだけ、おもしろいってことだけでおカネを稼がせてもらっているんやから、奇跡やで。おもしろいを目指す芸人はめちゃめちゃ数がいるからな。清川くんもこれから毎日24時間、おもしろく生きられるかどうかやな。まだ芸を磨くほうに意識がいっているかもしれへんけど、がんばってほしいね。


出典: FANY マガジン

──24時間……! 長年舞台で活躍されているトミーズ・雅さんの言葉、重みがあります。

清川くんに対する評価は、日本より世界のほうが高いと思う。いまよりもっとレベルを上げる必要はあるかもだけど、言葉がいらんから世界にもいける。そのうち、世界大会で優勝とか、そんな日がくるかもしれんな。

(広告の後にも続きます)

「サラリーマン清川」に芸風を変える寸前だった

以上のようにトミーズ雅がインタビューで語ったことを伝えながら、今度は清川本人にも話を聞きました。『せやねん!』で褒められていたことは本人の耳にも届いていたそうで、嬉しそうな笑顔も飛び出しました。

──トミーズ・雅さんが清川さんに関心を持っていると聞いてどうですか?

めちゃ嬉しいです。僕は、高校生のときに『M-1グランプリ』を見て漫才がやりたいと思い、NSC(吉本総合芸能学院)に入りました。でも、最初にコンビを組んだ人とは解散してしまって、当時のNSCのルールで解散後2カ月くらいは新しいコンビを組めなかった。

そのときに、コンビ活動にも役立つ特技を身につけたいと思って、まわりにやっている人がいない紙切りや腹話術を始めたんです。でも、芸歴2年目で壁にぶち当たってしまって。いまみたいな芸風でいくより何かキャラづけが必要かと思って、芸名を「サラリーマン清川」に変えて、ネタの方向性もガラリと変えるつもりでした。そのとき、たまたま出演が決まっていた、MBSの『オールザッツ漫才』でいい感じに反響をもらったので、この芸風を続けることになったんです。


出典: FANY マガジン

──ハーモニカを口の中に入れて吹く芸を得意としていますが、そもそもあの発想は、いったいどこから? 紙切りなどの芸も独学だと聞きましたが、簡単にできるものではないですよね。

ハーモニカを使って同期と遊んでいるときに、どうすればおもしろくできるかなと考えて。口の中に入れてみたら、スポッと入るし、吹いてみたら音も出せるし、ネタに使えそうだなと。

そこからはひたすら練習して、きちんと吹けるまで上達しました。紙切りも、新しいネタを作るときは500枚くらい紙を切って、勝手に手が動くくらいまで練習します。たくさん紙を使うのでSDGsな芸じゃないですけど、一応、再生紙を買ってやっています。

いまネタ数は20~30くらいあるのですが、同じことをやっていたらお客さんに飽きられてしまう。どんどん新しいものに挑戦しないといけないので、そこは大変ですね。倒立しながら折り紙したり、ブリッジしながら足で鍵盤ハーモニカしながら紙を切る、コサックダンスしながら後ろ手で紙を切るなどいろいろな技を組み合わせたりしています。

トミーズ・雅さんが、僕のことを芸にストイックで大谷翔平みたいって言ってくださったんですか? でも、けっこうサボってしまうこともあるんです。ネタを考えようと思ってもYouTubeで動物の動画を見てしまっていることも……。


出典: FANY マガジン