愛猫の「ふくまる」と一緒に義父の家を訪れた神田。猫好きの神田は義父が飼っている4匹の猫と会いたくてたまりません。しかし、元々野良猫だった4匹は人間に対して警戒心が強くて……? 作者の桜井海さんにお話を聞きました。



義父の愛猫4匹とお近づきになりたい神田は泣き始める…… (C)Umi Sakurai/SQUARE ENIX)

【マンガ本編】人間が嫌い、来客があると姿を隠す元野良猫たち 「家にいる理由」の本心とは?

義父と猫たちの絆に「感動」

 猫好きの主人公「神田冬樹」は愛猫の「ふくまる」と一緒に、義父の家を訪れます。義父が飼っている4匹の猫と会いたくてたまりませんが、姿が見えません。もともと野良だった猫たちは人間に対して警戒心が強く、来客がくると隠れてしまうのでした。ふくまるが隠れている猫たちを見つけ、この家にいる理由を聞きます。すると、猫たちは義父に媚(こび)を売ってでもほしい食べ物のためだといい……?

 桜井海さん(@sakurai_umi_)が「来客がくると隠れる猫たちの話」としてX(旧:Twitter)掲載した『おじさまと猫』が話題です。今回は『おじさまと猫』第11巻(スクウェア・エニックス)に収録されている第96話をご紹介します。いいね数は6500を超えており、読者からは「こんな飼い主と出会えて幸せだろうな」「信頼関係が素敵です。泣きました」「猫の視点がとても面白い」などの声があがっています。

 桜井海さんは漫画家として活動しています。「ガンガンpixiv」、「月刊少年ガンガン」、「ガンガンONLINE」で連載中の作品『おじさまと猫』は、2024年6月12日にコミックス第13巻が発売されました。ペットショップで売れ残っていたもうすぐ1歳になる成猫が、紳士なおじさまに飼われることになり始まった心温まる日々を描いたマンガです。

 作者の桜井海さんにお話を聞きました。

ーー今作『来客がくると隠れる猫たちの話』を描いた理由や、作品に込めた思いなどを教えて下さい。

 子供の頃によく遊びに行っていた曾祖母の家に3匹の猫がいたのですが、私が家に入ると音もなくいっせいに隠れてしまうんです。家中を探しても見つからないのに、静かにしていると警戒心のない子が現れるんです。なのでいつも同じ猫が捕まっていました。

 今ならさらにじっとしていられるので、3匹全員を見つけられたかもしれません。なので神田に、その叶えられなかった願いを達成していただきました(笑)。猫には迷惑な話です。

ーー猫好きのふたりと隠れている猫たちが個性的に描かれていました。お気に入りのシーンやセリフを教えて下さい。

 四天王っぽい掛け合いにしているのですが、気付いてくれた読者さんが多くてうれしかったです。それとホラー作品あるあるの「集団行動が嫌いなんでね」ですね。一度使ってみたいセリフでした(笑)。



ペットショップで売れ残った成猫とおじさまの心温まる物語『おじさまと猫』第13巻 (C)Umi Sakurai/SQUARE ENIX

ーー義父とジョイをはじめとする、猫たちの関係性がとても素敵でした。それぞれのキャラクター制作でこだわったことがあれば教えて下さい。

 野良猫を飼うことが多かったので、彼らの警戒心や恐怖心を肌で感じることが多かったんですよ。でも根気よく優しく接していくと、必ず警戒心や恐怖心が薄れていきます。ちなみに警戒心があっても好きなものには惹かれてしまうので、いろいろな方法を試して仲良くなっていきます。

 ご飯が好きな子、おもちゃに釣られてしまう子、仲間の側が好きな子、そして撫でられるのが好きな子。4匹にはその部分を入れました。

 でも、どの猫も最終的には飼い主の側が一番好きになっていましたね。雨風をしのげる家でもなく、ご飯でもなく、飼い主がいるから猫は側にいるんだと感じました。その経験を伝えたくて描きました。