2016年に結成され、動画配信サイトを中心にさまざまな活動を行う2.5次元アイドルグループ「すとぷり」。YouTube動画再生数82.8億回再生、YouTubeチャンネル登録者数313万人超えを記録するなど、今、絶大な人気を博している。2022年には5大ドームツアー、2023年には全国アリーナツアーを開催し、第74回NHK紅白歌合戦にも初出場を果たした。そんなすとぷりが、新たな挑戦としてアニメ映画を公開した。本作で描かれるのは、すとぷりのはじまりの物語。すとぷりの莉犬、るぅと、ころん、さとみ、ジェル、ななもり。に、映画への思いやこれまでの活動について話を聞いた。
-現在、公開中の映画『劇場版すとぷり はじまりの物語~Strawberry School Festival!!!~』はどのような内容になるのでしょうか。
ななもり。 タイトルにもある通り「はじまりの物語」です。メンバーの人柄やすとぷりがどんな存在かが分かる内容になっております。すとぷりを好きでいてくださるリスナーの皆さんはもちろん、初めてすとぷりに触れる方にも楽しんでいただける内容になっていますので、ぜひ一度、劇場に足を運んでいただけたらと思います。
-すとぷりにとって、初めてのアニメ映画です。できあがった映画をご覧になった感想を聞かせてください。
るぅと 僕たちが動く姿はもちろんですが、僕は楽曲制作にも携わったので、自分の曲が流れることへの感動がありました。自分たちが物語になっているというのは、不思議な感じですが、感動できる最高の作品に仕上がったと心の底から思いました。
莉犬 昔から「映画やアニメを作ってみたいね」と冗談のように話すことはありましたが、まさかそれがかなうとは思ってもみなかったので、努力を続けていればかなうんだと思いましたし、見てくれた方に勇気を与えられるような映画になったのではないかなと思います。
ころん 本当に楽しくて、ポップコーンが3倍、おいしく感じました。みんなに見ていただきたい作品です。
さとみ 自分たちではすごく良い作品になったと思ったので、ある種、不安にもなって、現役の声優の人に感想を聞いたら「マジで良かったよ」という言葉をいただきました。なので、めちゃくちゃいいものになっています!
ジェル 僕もアニメやミニコントのような動画を作っていますが、映画となると規模が全く違って、どのシーンも完成されたきれいな映像になっていて改めてすごさを感じました。映画を作るという貴重な経験ができて本当にうれしかったです。最高の映画になったなと思います。
ななもり。 僕たちはネットを中心に活動しているのですが、特に生配信では話したことに対してリアルタイムでコメントをいただけるんですよ。すぐ反応が分かるというのが楽しいところでもやりがいでもあります。そうした活動の中で、僕たちが唯一、長い時間をかけて準備している活動がライブです。それでも半年くらい前からの準備なのですが、今回の映画は3年以上前から準備してきて、本当に長い時間をかけて作りました。ストーリーもそうですが、録音の仕方をどうするかなど、細部にまでこだわって、勉強しながら作っていったので本当に大変で。これでリスナーさんに喜んでいただけなかったらどうしようと不安もたくさんありました。なので、実際に完成したものを見たときは、絶対喜んでもらえるものができたと確信しましたし、本当にやってよかったなと。僕たちの夢もかないましたし、自分自身も成長できたなと思いました。
-今作の中で、特に注目してもらいたいシーンを教えてください。
るぅと 音楽面の制作に多く携わったので、オープニングや挿入歌を映画館で大音量で楽しんでもらいたいです。ライブシーンの映像もすごくきれいですし、音楽もすごくいいので、ぜひ注目して聞いてみてほしいです。
莉犬 (7月19日に行われた)舞台挨拶ではころんくんのシーンをあげたのですが、一番思い入れがあるのは、文化祭でハプニングが起こってしまった後にメンバーの距離が縮まるシーンです。あの雰囲気がすごく好きで、思いもたくさんこもっているので、何度も見ていただけたらうれしいです。
ころん 個人的に好きなのは、ビーチバレーの大会をやろうと話し合うシーンです。僕が砂浜に埋められてしまうというかわいいポイントでもあるので見ていただきたいです。
さとみ 俺も舞台挨拶では、最後にみんなが「うん」というシーンを挙げて、声優の友達に褒められたという話をしたんですが、そこじゃなかったなと思っていて。「海の家をみんなでやるぞ」とジャンプしたときに、借り物のエプロンを地面に投げ捨てるところが面白いなと。
莉犬 多分、褒められた話があってるよ(笑)。
ジェル 自分のシーンなんですが、何回も録り直したのが、頑張る莉犬を励ますシーンです。アフレコでOKをもらっても自分からお願いして録り直しさせてもらったりしてかなりこだわったので、個人的に好きなシーンでぜひ見てほしいです。
ななもり。 0から100まで全部愛を込めて作ったので、全てがこだわりポイントなのですが、1番を挙げるならライブシーンです。リアルのすとぷりの活動と二次元のすとぷりの活動が重なる瞬間だと思います。夢のような空間に入り込む演出も含めて、いつも好きでいてくださっているリスナーさんにもリアルライブを思い出していただけたんじゃないかなと思います。
-「はじまりの物語」を描いたという本作にちなんで、グループ結成の経緯を教えてください。
ななもり。 結成前は、ニコニコ動画だったり、「歌ってみた」みたいな動画だったり、ゲーム実況だったり、その内容はさまざまでしたが、それぞれ別々に動画配信の活動をしていました。僕は2015年くらいから精力的に活動していましたが、同じ気持ちを持ってやる気があって才能のある仲間を集めていろいろなことに挑戦するグループを作りたいと思うようになり、声をかけていって集まったのがこのすとぷりです。
-今、配信だけでなく、リアルライブを行ったり、こうして映画を制作するというジャンルにとらわれない活動を行っているのは、もともと「いろいろなことに挑戦する」という思いがあったからなんですね。
ななもり。 リスナーさんに喜んでもらえるなら全部やろうというのがコンセプトです。(結成した)当時もYouTuberさんのグループやニコニコ動画出身のグループ、ゲーム実況者グループなどもあったのですが、「この領域をやる」というのが皆さん、決まっていたんですよね。「楽しいことは全部やろう」というグループは当時ほかになかったので、結果僕たちが最先端だったのかなとも思いますし、だからこそ喜んでいただけたのかなと思います。
-活動の幅を広げれば広げるほど、大変なことも多かったのではないですか。
ななもり。 楽しいものがある分、もちろん大変なこともたくさんあります。僕たちはダンスをやったこともなかったですし、今回もほとんどのメンバーは声優の経験もないです。ただ、苦手なことでも喜んでいただけるなら挑戦しようという思いが根本にあります。
-そうした活動の中で、特に印象に残っていることは?
るぅと 僕は初めてのライブです。もともとすとぷりは、ライブ活動をする予定はなかったんです。すとぷりとして歌を歌い始めて、歌えるならライブをしてみようと。実際に、SNS上のコメントでしか見たことがなかったリスナーさんが実在してるのかどうかという不安やワクワクがありながら、人生初めてのライブを行ったら、そこには応援してくれているリスナーさんがたくさんいて。マイクを通してリアルに自分の声を届けることができて、喜んでもらえて。すごく緊張したけど、感動して楽しかったことを覚えてます。
莉犬 思い出深いことはたくさんありますが、今、こんなにもすてきな映画に出ることができたので、それがやっぱり1番の思い出です。僕は、元々声優になりたくて活動を始めたのですが、結果、諦めてしまったという過去がありましたし、この活動の中でまさか自分たちの映画ができると思ってなかったので、今回の映画はすごくうれしかったです。
ころん 全てが思い出深いものなので、何か一つこれというのは難しいです。ただいつも、初めて挑戦することは、リスナーさんがどんな感想をくれるのかも気になりますし、それぞれの活動の良さや楽しさも感じられて印象に残っています。
さとみ 今、思い浮かぶのは最初にドームに立ったときです。普段、リスナーさんとはインターネットを通してリアルタイムで会話していますが、リスナーさんの顔を見て、自分たちの思いをマイクを通して伝えることができるライブは特別です。そんな中ドームでのライブは、見渡す限りたくさんの人たちが入ってくださっていて。普通に生きていたら絶対に見られない光景だと思うので、こうして会いに来てくれる人たちを大事にしようと強く思った瞬間でした。ここまで連れてきてくれてありがとうという感謝が溢れた瞬間でした。
ジェル 僕も莉犬と同じで、今です。こんなにも大きい挑戦をさせていただけることに感謝していますし、現在進行形で続いているので思い入れも強いです。こうした挑戦も、リスナーさんの応援や声があるからこそできることなので、そうした思いをかみ締めながら、ずっと挑戦して最高を更新し続けていきたいと思っています。
ななもり。 いろいろな活動を続けてきましたが、やっぱり1番、時間がかかったのが今回の映画なので、思い出にも残っていますし、やり遂げられたといううれしさとこれを届けたいという思いで今、溢れています。
-グループとしての今後の目標は?
ななもり。 これからも初めてのことに挑戦し続けていきたいと思っています。リスナーさんがリクエストしてくれる限り、全てやり続けたいです。とはいえ、僕たちはネット出身で動画配信を軸に活動しているので、動画配信の活動をもっともっと盛り上げたい気持ちが今は強いです。
(取材・文/嶋田真己)